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オランダのレンタサイクル屋さんでシリア人の青年に会った

結婚前に夫とヨーロッパを旅行したときの話。

オランダって自転車が有名ですよね。
ということで、アムステルダムでは絶対、自転車に乗ってみる!と決めていた我々。
フォンデル公園のすぐ近くにあるA-Bikeというレンタサイクル屋さんに行ってみました。

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すると、店員さんはアラブ系っぽい顔立ちの方。

夫は、あんまり同郷(国としては違うけど)の人に声をかけるタイプではないんだけど、店員さんが声をかけて来てくれました。

「あなたは、エジプト出身では?
僕はシリア出身ですが、エジプトに住んでいたことがあるんですよ。あなたにはエジプトの方の雰囲気があると思って」

あんまり国単位でくくられるのは好きではなさそうな夫ですが、青年の真面目そうな雰囲気もあってか、うなずいて会話を続けていました。

青年がシリア出身ということもあったのかもしれません。
シリア、という言葉を聞いた瞬間に自分の頭に浮かんでしまったのは、やはり戦争のイメージ…
彼がオランダに来た理由も内戦の影響かもしれません。
「シリア、今大変ですね」なんて言葉にすることすら軽すぎるというか、無神経だと感じました。

「シリアの学校に通えなくなったので、オランダで医学の勉強をしているんです。ただ、オランダ語も勉強しないといけないから、大変なんですけど(笑)」

青年は事実を淡々と語ります。いろいろと苦労もあろうに、カラッとした口調で話すのが、余計に真実味を感じました。
私が問題なく聞き取れていたということは、なまりのない英語だったと思います。

「学位が取れたとしても、言葉やビザの問題もあるし、オランダで医師としての働き口を見つけるのは難しそうなんです。だから他の国も視野に入れようと思って」
服装や立ち振る舞いからなのか、もしくは明らかに東洋人らしき風貌の私と一緒にいることから判断したのでしょうか、青年はこう続けました。

「あなたは海外経験が豊富そうだ。どうやって外国で職を見つけたんですか?気をつけるべきことはありますか?よかったら、教えてください」

この言葉を聞いて、なんだか圧倒されてしまいました。

すごいな、こんなに出会ったばかりの人からも情報を集めようとするんだ。きっといつでもアンテナを張ってて、どんな小さなチャンスの欠片でも逃さず、そこから学んでいくんだな…

医学を学ぶためにオランダに来られるという時点で、シリアでは裕福な層に入るのかもしれないけど、ハングリー精神というか、生命力の強さを、すごく感じたんですよね。

海外に行って、周りの人の積極性に驚く場面はすごく多いんだけど、彼の場合は礼儀正しく洗練された態度と言葉選びが、積極性と共にあって、それが特に印象に残ったのかもしれない。

だって日本だったら、普通に大学に通ってる立場の子じゃないですか、でも、そんな子が、普通に自分の頭で考えて、その場で判断して話してるって感じがすごくあって。
日本の大学生だったら、なかなかできないかもなぁ、って思ってしまいました。(いや、私ができなかっただけで、ひとくくりにしちゃいけないと思いますが。今時みんなしっかりしてるし…)

ちなみに、夫によると、外国で生活するにあたって気をつけることとは、
「いくら貰えるかじゃなくて、いくら手元に残るかを考えること」らしいです。

その心は、国によって税制とかって違うじゃないですか、だから、自分の国の常識的な金額より、めちゃくちゃ引かれてしまうこともあるから、そのへんは実際に住んでる人によく聞いたり、調べることが大事とのこと。

後、物価も違うしね。国によって思わぬものが高かったりするし、特に家賃とか電気、水道、インターネットなどインフラは、払い続けるものなので、よく調べるべきらしいです。

「いくら残るか」は手取りの収入というだけでなく、生活必需品を抜いてどれくらい残るか、ということでもあるんですね。

外国で生活すると、旅行でなくても一時帰国の機会で飛行機代も必要だったりしますから、自分の国に住むより何かとお金かかることもありますしね。

まぁ、向こうの店員さんって、すごくフレンドリーだし、お客さんに長年の友達のように接することがいい接客とされているって聞いたこともあるから、彼だけが特別じゃないかもしれない。実際、他の場所でも「日本ってどう?自分も行ってみたくて」って話してくださる方もいたからね。

でも、私にとっては、この旅の中で本当に印象に残ったことのひとつでした。すごく遠くに感じていたシリアのことも、当たり前にそこに住んでる人がいると思ったし、これはヨーロッパ全体で思ったんだけど、ヨーロッパと中東ってめっちゃ近いね。

なんか全然うまく言えないんだけど、ホントは自分も、仕事で人と会ったりとか、いろいろ学べるポイント絶対あんのに、けっこうボーッとしてたりとか(笑)、喉元まで聞きたいこと出かかってんのに、「なんか今言うことじゃないしな」とか、変に一線引いちゃって、逃しちゃうこととかある気がするんだよね。だから、余計に刺さったのかもしれない。
全然、失礼とかにならずに、ちゃんと聞ける言い方もあるじゃん!って本当に思わされたから。

ということで、最後にフォンデル公園とアムステルダム市街の素敵な風景をご覧ください。

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