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【簡単あらすじ】むかしむかしあるところに、死体がありました(微ネタバレ)【青柳碧人/双葉文庫】

『 浦島さん、私の背中に乗ってください 』


誰もがあらすじや結末を知っているおとぎ話を舞台とし、その中に現在のミステリー要素をふんだんに取り入れた短編集。

ほのぼのとした背景に、ドロドロした人間関係。
次々とランキング入りした話題作の文庫化です。

おとぎ話は、昔に作成されていたからほのぼのとした話であって、現代に作成されたら、このくらいのイヤさが散りばめられた作品になっていたのかもしれないと感じられる作品です。



『はじめに』
ついに梅雨入りが発表され、気温がだんだんと上昇することで日常生活が不快に感じることが多くなっています。
私の地域でも最高気温が30度を超えることが増え、不要不急の外出は減らしている時期ですが、エアコンを起動し、自室で飲み物を飲みながら読書をするという、絶好のシチュエーションを得られる時期が到来したとも言えます。ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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特殊設定ミステリーは、最近かなり多く出版されており、皆さんも読了されている作品があるのではないでしょうか。

そう言う私も大好きなジャンルで、

① 屍人荘の殺人/今村昌弘

② 袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる/日部星花

③ 星詠師の記憶/阿津川辰海

などなど、現実にはあり得ないことを舞台・メインテーマにした作品たちが多く、読了後時間が立っていますが、未だに内容の詳細を思い出せるほどのインパクトがありました。

そして本作も、上記作品に負けず劣らずお気に入りの作品になりました。

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本作は、各章の題名が、

一寸法師の不在証明
花咲か死者伝言
つるの倒叙がえし
密室竜宮城
絶海の鬼ヶ島

となっており、多くの日本人は題名を見るだけで、「ああ、あの作品がモチーフだな」と分かり・ある程度の筋書きが分かると思います。

しかし、各作品とも、舞台とあらすじについては昔話を基本にしているものの、登場人物や話の構成などは上手にアレンジしていますので、読み進めるうちにおとぎ話ということを忘れることになると思います。

個人的には密室竜宮城がお気に入りです。

竜宮城を舞台に、登場人物を乙姫さまやお供の魚介類にしているのですが、これを、例えば「学校」「芸能界」などの舞台に変化すれば、実際に起こりそうな事件と結末です。

最終盤での浦島太郎の心境を考えると、自分も寂しくなってしまう結末でした。

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この作品の凄いところは、舞台設定を「おとぎ話」にしたということです。

本作品は、一寸法師・花咲かじいさん・つるの恩返し・浦島太郎・桃太郎という、有名作品を扱っており、ほとんどの方が内容と結末を知っています。

そのため、作品中の設定について詳しく解説しなくても、ある程度の内容は読者が知っていますし、そしておとぎ話を舞台にしたことによる少々の無理やり感があったとしても、大きな批判は無いでしょう。

そして、多くの読者が子どもの頃に触れあったおとぎ話ですので、拒否反応を起こす方も少ないのではないでしょうか。

本作品は、続編もあるということですので、そちらの作品も時間があるときに追いかけたいと思わせる、魅力的なシリーズでした。

「昔話×ミステリー」という前提に少しでも興味が湧いた方は是非読了ください。



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