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【簡単あらすじ】屍人荘の殺人(微ネタバレ)【今村昌弘/創元推理文庫】

大学のミステリ愛好会に所属する明智と葉村は、「事件の無いまま夏を過ごすわけにはいかない」という、ミステリ好き特有?の考えから、映研の夏合宿に同大学の剣崎比留子と参加する。

夏合宿の舞台となるペンション紫湛荘を訪れた、明智らと映研部員等のメンバーは、合宿中に誰も想像だにしなかった事態に見舞われ、ペンションに籠城せざるを得なくなる。

さらに次の日の朝、ペンション内で部員が惨殺死体となって発見されて…



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『はじめに』
最近めっきりと涼しくなり、秋を感じることが多くなり、読書がしやすい季節になりました。ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

ベストセラーのため映画化もされ、シリーズ三作目兇人邸の殺人が発表されているというところでようやく読了しましたが、とても満足しました。 

何を食べようか迷っている女子学生の昼食のメニューを推理で当てる(しかも推理はハズレ…)という、気の抜けてしまうような平凡でゆったりとした日常からの本編突入、というスピード感にやられてしまい一気に読了してしまいました。

「夏休み、大学生の男女たちが合宿(という名目)で、避暑地にあるペンションで数日間過ごすということになれば、そこで何も起こらないわけも無く…」

というテンプレではありませんが、合宿初日から問題が発生します。

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初めは、合宿メンバー内でのちょっとしたいざこざ(精神的・物質的)の発生のため、これから起こる殺人事件の前兆なんだろうな、という軽めの印象でしたが、その夜に行われたメンバー参加の肝試しから、一気に(いきなり)クライマックスと言って良いほどの危機に陥ります。

その内容は知っている方も多いと思いますが、実際に読むほうが強い衝撃を受けると思いますのでここでは描写しません。

簡単にまとめると、裏表紙に書いてある「想像だにしなった事態に見舞われ、」という表現がぴったりの状況です。

しかもそのような状況にありながらも、立てこもった紫湛荘では連続殺人事件が発生します。

その動機については奇抜という訳ではありませんが、殺人方法や殺人者の考えなどは、上記の「想像だにしなかった事態に見舞われ、」という状況だからこそという所も多く、大変まとまった作品だと思います。

ですので、舞台背景についてはかなり奇抜なものですが、「トリックなど、作品全体で整合性が取れていることが最重要」と考えているミステリ好きの方にもおススメの作品です。

誰かに請われたり、自分から望んで事件に首を突っ込んだりしたことは未だに一度もないもの。危険で奇怪な事件にばかり引き寄せられるという、呪いにも似た私の体質。

P241/242より

と、自分で言っている剣崎比留子が活躍する(であろう)、次回作「魔眼の匣の殺人」・最新作「兇人邸の殺人」も大変楽しみです。



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