見出し画像

【簡単あらすじ】仮面病棟(微ネタバレ)【知念実希人/実業之日本社文庫】

療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女性の治療を要求した。

その病院で夜勤中だったため事件に巻き込まれた外科医は、女性の治療後に力を合わせ病院からの脱出を試みるが、その過程で病院に隠された秘密を知ってしまい…

著者初の映画化作品です。



ーーー

『はじめに』
私は自他共に認める出不精です。さらに冬の寒さをひしひしと感じ、外出する頻度が減っているのですが、それに反比例して読書量は増加しています。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

ピエロのマスクを被った強盗犯。
強盗犯に撃たれた女性。
ある外科医。
病院長と看護師たち。
舞台となった病院。

ーーー

登場する人物・舞台が、それぞれ謎があり(仮面を被り)、それを夜勤中の外科医速水秀悟が解き明かす作品です。

銃を所持し使用することも躊躇わない凶悪な強盗犯に対し、病院に閉じ込められた人々が知恵を絞って何とか脱出(解決)しようと奮闘する。

という作品の初めに提起された、『凶悪犯vs病院関係者』という対立軸は、物語が進むほどに変化し形を変えます。

ーーー

舞台となった田所病院は、精神科病院だった頃の名残りから「刑務所のような鉄格子の窓と扉が備え付けられている」閉鎖空間ですが、ただ単に「このような舞台から感じられる薄気味悪さ」を醸し出すために、著者が作り出したのではありません。

行き当たりばったりの計画のような強盗犯
患者を第一に考え行動していた病院長
速水に当日の当直を代わってもらった先輩医師
 など

今回の事件が発生した本当の理由が分かったとき、何故この舞台(病院)が選ばれたのか、本当の解決とは何なのかということも全て分かります。

以前レビューしました、「天久鷹央の推理カルテ」はユーモアを散りばめた短編がスピーディーで小気味よかった作品でしたが、今作のような長編も面白く、どちらの形式も上手な著者さんと思います。

時間の流れ・緊張感に上手な緩急がつけられていますので、(巻き込まれた速水先生は踏んだり蹴ったりかもしれませんが…)、多くの方が爽やかで納得の読了感を味わえる作品だと思います。

特に、病院内で殺人事件が発生してからは、一気に読み進めてしまうこと間違い無しです。



★他の小説レビュー★


記事を読んで頂いた方に、何かしらのプラスを届けたいと考えています。