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【簡単あらすじ】[映]アムリタ新装版(微ネタバレ)【野﨑まど/メディアワークス文庫】



約230ページというボリュームは少ない作品ながら、その中に、青春・恋愛・ミステリ要素が詰め込まれた傑作。

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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

私は、ツイッターをほどほどに楽しんでいるのですが、タイムラインをぼーっと確認して興味をもった作品です。

表紙の絵柄や出版社を考えると、SNSをせず普通に生活している場合、私が読む可能性はほとんどゼロだった作品ですが、内容は衝撃的であり楽しむことも出来ましたので、皆さんにも大変おススメ出来る傑作です。

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中心となる登場人物は、役者役の主人公・撮影係の女性・天才監督・音響と音楽全般係の四人であり、ほぼこの四人で狭い舞台で物語が進行します。

基本的にはとても読みやすい文章ですが、途中で句読点の表現を無くしたり、白紙ページをとても上手に使用していたりと変化があり、中身も、私とは縁遠い芸大や映画サークルの雰囲気を味わうことが出来たり、登場人物の一人が中々深いことを言っていたり(P14など)と、様々な・変化に富んだ読みどころがあったため、一気に読了してしまいました。

登場人物は大学生という設定でしたが、文章の途中に挟み込まれている小ネタが「沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)」「ハンターハンター(富樫)」などで、また、作品中のある二人の会話では、理解出来る・クスッと出来るツッコミが多かったので、私の年代のおじさんでも充分に楽しめる作品と思います。

全部で約230ページとボリュームは少なめですが、「映画製作に何故このメンバーが集められたか(一人いらないのでは?)「編集中の二人の会話の意味」「何故あの人が映画の編集をすることが出来たか」等、きっちりとした・さらりとした伏線が張り巡らされ、最後に回収されるという、そういった展開のミステリ作品が好きな方も楽しめると思います。

青春小説として始まり、紆余曲折あった後のほんわかムードで進んだ最後の最後でぞわっとさせる、「第Ⅵ章スタッフロール」での展開は必読です。


天才が持つ、狂気の一端を感じることが出来る作品です。

このレビューを読んでいる貴方、
生きてきた今までに、どこかで殺されてはいませんか?



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画像は【山本巳未】さまからお借りしました。ありがとうございます。

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