【簡単あらすじ】午後のチャイムが鳴るまでは(微ネタバレ)【阿津川辰海/実業之日本社】
阿津川辰海さんは、最近読了した、紅蓮館の殺人や星詠師の記憶の作者さんであり、私がハマっている作者さんです。
本作は初の学園ミステリーという、今までの作品と少し毛色の変わった新作ですので、私は、発売当初にハードカバーで購入するという一択しかない作品でした。
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作品は、そこそこ名門と呼ばれる九十九ヶ丘高校の文化祭前後の校内を舞台に進みます。
皆さんも経験済みでしょうが、学生時代の文化祭は独特の雰囲気があり、学生だけでなく先生を含め、テンションが上がり・ふわふわしたなかで様々なドラマが生まれます。
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1.RUN! ラーメン RUN!
同級生のユーキとアキラ。
二週間後に迫った文化祭に特に思い入れは無い二人。
しかし、その日の朝の二人はとても興奮していた。
誰にも見つからず・食べたという痕跡も残さないで、学校敷地外の店のラーメンを食べるという、大きなミッションを抱えていたからだ。
2.いつになったら入稿完了?
文芸部は、文化祭でオフセット印刷(印刷所に頼んで刷ってもらうもの:コミケなどの本と同類)で特別号を発行する予定だ。
完成のために余裕を持った予定を組んでいたが、中々計画通りには進まず、印刷所へ提出の締め切りである当日13時が迫る。
部誌全体を描くイラストレーター・司麗美のイラストはまだ提出されていなく、家で仕上げ作業をしていると思われた。
しかし、楢沢芽以と川原聡は、昼休みの体育館裏で司らしき人物を見つける。
締め切りが刻々と迫るなか、楢沢と聡は校内を探し回るが…
3.賭博師は恋に舞う
2-Aの男子13名は、彫刻刀で消しゴムにトランプのような細工をし、それを使ってポーカーをするという遊びに興じていた。
ポーカーで勝ったとしても特に高額な商品を得るわけでなく、ただ単にバカ騒ぎをすることが主目的だった。
しかし、ある日のポーカー大会では「学校のマドンナである斎藤茉莉へ告白する権利」をかけての戦いとなった。
自分を救うのは…自分だけっ…! ざわ…
絶対に負けられない戦いが、ここにはあるっ!! ざわ…
4.占いの館へおいで
「星占いでも仕方がない。木曜日ならなおさらだ」
占い研究会部員の斎藤茉莉は、部室へ忘れ物を取りに来たところ、部室の外で、ある男がそうつぶやいたのを聞いてしまった。
誰が何の意味でつぶやいたのかわからなかったが、翌日の昼休み、友人のエミが「文章から真相を推論してみせる」と言い出したため、茉莉は男のつぶやきを話す。
茉莉と友人らがつぶやきについて推論していくと、思わぬ方向に話は進み…
5.過去からの挑戦
2004年9月20日号の学校新聞「ツクモ新報」の一面にはこう書いてある。
『天文台より、女子生徒消える
――――学校による隠ぺい工作か』
九十九学園七不思議の一つとなったこの事件、現体育教師・森山は当事者の一人だった…
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内容が軽くさらにスピード感があるため、阿津川辰海さんに興味を持った方や、まだ読書が趣味になっていない若年層へのエントリー作品としてとても良い作品です。
読みやすい内容ですので、SNSで「大学内書店での反響が大きい」という投稿があったのも納得です。
私は、高校時代は男子校だったため、実体験を思い出しながら読み進めることが出来た第1話と第3話が特に刺さりました。
男子高校生って、理由ははっきりしませんが、こういうノリが好きなんですよね…(遠い目)
私には、
学校のマドンナと呼ばれるような妹はいませんし、
文芸部・美術部で作品を作れるような才能も無く、
十年以上続いている恋にも出会ったことがありません笑
しかし、こういった特別な学生時代を過ごしてなくとも、
私のように、高校時代はバカをやって何だかんだ楽しく過ごした方や、
文化祭の雰囲気を思い出したい(浸りたい)方、
何の変哲もないありふれた日常に詰まっている数々のミステリーに出会いたい方々に、大変おススメの作品です。
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また、仙台丸善で購入したところ、マンガ家でありイラストレーターさんである、オオタガキフミさんの五枚のカードが添付されていました。
この方のイラストを見るのは初めてなのですが、素朴さを感じる第一印象ですが、妙に記憶に残る印象を持ちました。
個人的には、このテイストでのホラーイラストを少し見てみたいです。
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