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【簡単あらすじ】流星の絆(微ネタバレ)【東野圭吾/講談社文庫】



ある夜、ペルセウス流星群を見るため、真夜中に家を抜け出した3きょうだい。

天気が悪く流星群をみることは出来なく残念な気持ちで家に帰ると、家では両親が惨殺されていた。

それから十数年後、大人になったきょうだいは、力を合わせ犯人への復讐を考え行動を起こすが…

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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

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1.「児童養護施設に入る子供たちは沢山いるんだよ。身寄りがない子供は大抵そういう施設に入るんだ。決して珍しいことでは無いんだよ。で、そういうところを出た人でも、立派に社会に出て活躍している。大事なことは、そこからどう生きていくかなんだ」
2.「この世は騙すか騙されるかだ。要するに、上手くやった奴の勝ちなんだ。やられたらやり返す。」
3.「功一の勤める会社の経営者は、人生の勝負を新たに設立するというIT企業に、財産の全てと人生の勝負をかけていた。だが、会社は設立されず彼を誘った人間は行方不明になっていた。残ったのは莫大な借金と絶望感だけだった。といった意味のことが遺書には書かれていた」

P74/P110/P121


両親が惨殺されてしまい、学生時代を施設で過ごすことになった三人は、成人し、同居しながらそれなりの社会人生活を送っていました。

しかし、末っ子の静奈が「道端で声をかけてきた女性にエステティシャンの資格詐欺」にあってしまったり、長男の功一が「勤務していたデザイン会社の経営者にスケープゴート」にされてしまったりします。

自分たちに、他人からの悪意による不幸が続くことで、三きょうだいは詐欺師になることを決意してしまいます。

1.計画を立案・調査する能力に長ける、長男の功一。
2.誰にでも・どんな人間にも変装出来る「擬態の天才」、次男の泰輔。
3.美貌だけでなくうぶな男の心を掴む天分がある、末っ子静奈。

三きょうだいが自らの特長を存分に発揮し、その詐欺稼業が上手く行きつつあるとき、ターゲットにした男性が経営する洋食店のハヤシライスが、父親の料理した味にそっくりだと気づいてしまい…

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「犯人が人を殺す理由」
「被害者が殺される理由」


言葉は悪いですが、この二つが、残された遺族が納得いくものであれば、事件を自身内で消化し、次に進むことが出来易いのかもしれません。

今作品では、時間が経過し場面が転換するごとに、事件の状況や情報が更新されていくため、それにより登場人物たちの言動・感情などが人間くさく変化していくため、とても感情移入することが出来ました。

詐欺師になりながらも、出来るだけ泰輔と静奈にはまともな人生を送らせたいという、矛盾している気持ちを持つ功一を見ると、やはりきょうだいって良いなと思いますし、私は三きょうだいの末っ子なので、弟妹が欲しかったなあと改めて思います。

ある登場人物の器の大きさから、3きょうだいの将来もそれほど暗くないのではないかと思わせるような、スッキリした読後感があります。


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