【簡単あらすじ】ダイイング・アイ(微ネタバレ)【東野圭吾/光文社文庫】
ある女性が、ある夜の未明、自転車に乗り帰宅する途中に交通事故で亡くなってしまう。
一方、バーテンである雨村が、退店後エレベーターに乗る直前に何者かに襲われる。
襲われた雨村は、一命をとりとめ病院で目を覚ますのだが…
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雨村は、襲われたときの後遺症で、自分が起こしたとされる交通事故に関わる記憶を失っていました。
その記憶を取り戻しスッキリさせるために、交通事故の関係者たちと接触します。
しかし、主人公の恋人や店のオーナー、主人公が起こしたとされる交通事故の被害者などの関係者等、全ての登場人物が、雨村のこの行動を好ましく思っていません。
それは何故なのか…
また、雨村が仕事に復帰後のバーテンの仕事中、一目見て「俺はこの女に溺れる」と直感するような、喪服を着た妖艶な謎の女性が現れます。
さらに、交通事故のことを深く調べると、単純なものではないことが分かり…
など、様々な人の思惑や言動を巡り、物語が進んでいきます。
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主人公雨村が夜の仕事(バーテン)だったり、男女の絡み&営みが結構多く・細かに記述されていますので、私のように、東野圭吾先生の作品を、ガリレオや新参者などシリーズものを中心に読んでいる方にとっては、少し毛色が違うと感じるであろう作品です。
物語が、雨村の一人称視点で進むので、もしかすると、「実は一人称視点の人物は雨村ではなく別人で、自分は雨村と思いこまされている。記憶が一部無くなっているのも当たり前」みたいな叙述トリックかな?なんて思ってたのですが、そんなことは全くありませんでした(笑)。
終盤になると、何故、冒頭の交通事故のシーンで、被害者の女性の感情や考えが詳細に記述されていたのかなど、きちんと疑問点が解消され、スッキリしました。
読了した後に、
「もし記憶が一部無くなっていたとしても、それを不自然な形で取り戻そうとすることは止めておいたほうが良い」
「自分の知人が、その人に似つかわしくない言動をしている場合には、自分に何かを隠しているのかもしれない」
と、私たちの日常生活でも考える必要がある、と思わせる一作です。
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