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海外で活躍する為に真っ先に身に付けるべきこと(中高生からの質問2)

皆さん、こんにちは! 在米24年目、ニューヨーク在住の音楽家・文筆家、伊藤玲阿奈(れおな)です。

先日、私の本を副読本として採用してくれた日本のとある高校とNYの自宅をオンラインでつなぎ、外部講師として授業を受け持ちました。もうすぐ卒業する高校3年生約100名が参加する「将来学:海外で接する仕事」という特別科目です。

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マイクロソフトのTeamsを利用した授業でした

自分の経験・ビザのこと・海外との意識の違い・・

いろいろな話題をお話したのですが、質問を受ける時間がなかったので、応急処置として、質問があれば感想を記入する用紙に書いておくように伝えました。すると、何人かの生徒さんから質問が来たので、ひとつひとつ回答して、担当の先生へと託しました。

その中のひとつをご紹介したのが、先月のこちら👇の記事です。

さて、今回はこの続き。別の質問と回答を取りあげます。

生徒の質問:「海外に行く、過ごす際に気を付けるべきこと、身に付けるべきことは何ですか?」

この質問も大人にとって興味があることかもしれません。なので、以下に私の回答をシェアしようと思います(ただし今回はここでの転載にあたり、少し加筆しました)。

あくまで私個人の意見ですが、海外での活躍を目指したい方のヒントになれば幸いです。

私の回答

まず、海外で気を付けるべきことで一番大事なのは、日本の常識・思考回路が通用しないのを肝に銘じることです。

「空気を読む」とか絶対に期待しないこと。謙遜(けんそん)する(=自分を相手よりも格下において接する)ことは日本では美徳にしても、東アジア以外では通用しません。とくにアメリカでは自分を大きく見せることが普通です(あのトランプさんを見たら分かるでしょう?)。そして、それが出来ないと日常生活でも結構つらいことがあります。

短期間の観光なら、そこまで気にしなくていいですが、ある程度の期間で滞在する、勉強する、働くとなると、相手国の文化について本や経験者の話からよーく調べてみて下さい。

もちろん調べても急には自分を調整できません。ただ、何か変なことが起こったり、失敗したりしても、何が原因でそうなったのか分かりやすくなります。「ああ、あの時の誘いに嫌そうな顔をしてNOとはっきり言わなかったから、俺のことをゲイと勘違いして付きまとうのか・・・。愛想笑いや空気読みは絶対ダメなんだな」、という具合に(これ、授業で話した私の失敗談のケースね(笑))。

そして、海外で活躍する為に真っ先に身に付けるべきことについては、授業の最後でも強調した通り、しなやかな心です。相手の立場を尊重すること、相手の長所をみたり、受け入れる。そんな柔軟で、愛情をもった心です。

すごい英語力? 膨大な知識? 議論のチカラ?

いやいや! それらはあくまでもテクニック。国内はもちろん海外で活躍するにも、私たちの心そのもの、思考そのものの器量が大きいことが前提となってはじめて、それらのテクニックが本当に輝くのです。だって、テクニックを使いこなすのは心であり思考回路なのですから。これは私の本でも冒頭や終わりで強調してたはず。

人間同士のコミュニケーションってものは、スマフォの性能のように数字の大小で割り切れるものではありません。人が国境を越えて真に信頼される基本は、役に立つとか、役に立たないとかではないんだよ。あの人と一緒にいると元気が出る、嬉しい、あたたかい気持ちになる・・・――こう言われるような内面さえ持っていれば、極端な話、英語がそんなに出来なくても案外と活躍できちゃうものなんだよね。今はグーグル翻訳だってあるし(笑) そりゃ出来た方がより活躍しやすいに決まってるから、それなりに努力はしなきゃだけど。 

もちろん、受け入れても相手と相性が悪いなら、または不快に感じたなら、その人から離れてもいいのです。合わない人と付き合う必要はありません。むしろ、海外ではその勇気が日本にいる時よりも余計に必要になるかな。

ただし何かあった場合に、議論はしても、感情を入れて争わないこと。とりわけ国際交流の場合、自分の変なプライドにこだわると余計にややこしくなりがちですから。逆にそういう人にいたら、なるべく離れること。もしくは、上手くあしらうか、取り合わない(経験しないと少し難しいことだけどね)。

いずれにしても、何ごとも喧嘩(戦争)をするのは最低の手段なのです

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執筆者プロフィール:伊藤玲阿奈 Reona Ito
指揮者・文筆家。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、指揮者になることを決意。ジュリアード音楽院・マネス音楽院の夜間課程にて学び、アーロン・コープランド音楽院(オーケストラ指揮科)修士課程卒業。ニューヨークを拠点に、カーネギーホールや国連との国際平和コンサートなど各地で活動。2014年「アメリカ賞」(プロオーケストラ指揮部門)受賞。武蔵野学院大学大学院客員准教授。2020年11月、光文社新書より初の著作『「宇宙の音楽」を聴く』を上梓。


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