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僕は君たちに武器を配りたい 瀧本哲史 後編 by エシモの備忘録

【インベスター】
◆投資家のあたまで考えろ
投機と投資の違い
・投機:ギャンブル、賭け、得する人とその他大勢の損する人が生まれる、FXなど短期的なリターンを求める。
・投資:種まき、発芽、収穫のゼロからプラスを生み出す行為。関係したみんなにプラスになる。長期的なリターンを求める。

◆日本人が投資という権利ビジネスに疎い理由
・豊臣秀吉以降の搾取管理体制を皆が受け入れた
→鎌倉室町時代までは豪族たちがそれぞれの権利を主張し合い、時には農民も戦に出た
・御恩と奉公→滅私奉公
・武士は食わねど高楊枝→働きアリ、サラリーマン精神
・長年続いた搾取構造は高度経済成長を上手く使って維持できたため、働きアリ精神のまま賃金を上げられた。本物の資本主義に向き合わなくても人生を送れた。

◆この時代、究極的には二つの道しかない
資本主義の終焉と言う人もいるが、まだまだ資本の力は絶大。究極的には投資家になるか、投資家に雇われるか、どちらかの道を選ばざるを得ない。

株式会社=資本家なしにはこの社会は維持できない。家も車も電車も電気も水も食料も、全ては投資家のおかげで流通している。自分が株式会社に勤めているのならば、その時点で自分という労働力を株主に提供して見返りとして報酬を得ている。

◆会社は株主のもの
株主が資本を投資しなければ会社も雇用も生まれないし、社会の安定も維持できない。つまり会社は株主のもの。社員は株主の目的と利益に貢献するために働くのだ。つまり資本主義の国で生きる以上、株主の意志のもとに生きざるを得ない。それならば、自分自身が投資家として積極的にこの資本主義社会に参加した方が良いのではないか?
→すごく孔子的な意見だと思う。老子的なヒロシさんのように「ひとりで生きていく」と決めた人は趣味を見つけて楽しくザバイバル生活を送る道もある。どちらを選ぶかは自由。瀧本先生は投資家に振り回されるのではなく、投資家の考えを読み、自らも投資家としてふるまうと世界が違った形で見えてくるよと言っているんだね。

◆投資の機会はなるべく増やせ
・リスクとリターンの把握が何よりも大事
・シリコンバレーの投資家はリスクを見込んでも投資機会を増やすことを重視する。なぜなら「分母」が大切だから。一案件だけ投資するのはカジノのルーレットで1箇所だけにチップを置くようなもの。重要なのはできるだけたくさん張ること。トータルで好成績を残すためにはリスクを恐れずに積極的に投資機会を持たねばならない。確実に儲かる案件だけに投資することは、結果的に自分が得られたかもしれない大きな利益を遺失することにつながる。ハイリスク・ハイリターンの投資機会をなるべくたくさん持つこと。ただし、自分で管理できる範囲でリスクをとること。

◆ローンを組んでまで家を買うな

・35年の住宅ローンはリスク計算できないサラリーマン向けの商品

35年間で年収も上がってずっと健康で会社勤めができる人などもう日本にいない。

◆サラリーマンはハイリスク・ローリターン
大企業の倒産は、社員にとっては秘密裏に、そしていきなり起こる。例えるならば「安全です」とアナウンスされているジャボジェット機の乗客が、5分後に墜落しますと言われるようなもの。もし自分が操縦士する小型のセスナ機に乗っていれば、すぐに異変に気付き、危険と判断すればそれを回避する行動に移せるし、最悪は近くの空港や広い土地に緊急着陸できる。それがリスクを自分で管理するということ。サラリーマンとは他の人に自分の人生のリスクを預け、管理されちゃう存在なのだ。→山一證券の倒産だって、SHARPEの買収だって、社員とってみれば寝耳に水だよね。いつイノベーションが起きて自社の業績がガタつくか分からなくなった現代の企業は社員一人一人の人生に気を配っている余裕なんて無いんだ。

◆バフェットの教え「投資は長期的に考えよ」
本来、真の投資家は、目先の利益を無視して、長期的なリターンを考える。
バフェットの投資哲学は長期的に勝ち続けている会社、30年後にも伸びると予測できる会社だけに大きく投資し、株を買ったら一切いじらない。商品やブランドに熱狂的なファンがいて、顧客が簡単にいなくならない企業を選ぶ。

良い商品を恒常的に生み出す企業が時間をかけて規模を広げ、世界中に市場を拡大してゆく。

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「短期的な儲けではなく、よく人を見て、長期的な視点で意味のあることに投資せよ」

信者ビジネスは顧客レベルがどんどん下がるため、長期的には無意味な社会貢献活動である。

★リスクが取れる範囲のハイリスク・ハイリターンをたくさん選べ。
・サラリーマンは自分の人生を他人に丸投げするハイリスクな生き方。
・投資の判断は長期的に富を生み出し続けるか。人が信頼できるかで選ぶ。

◆日経を信じるな
・投資家として読むのは必須だが、そのまま信じれば怪我をする。世の中のトレンドについての意見、社会経済全般の動向を知るための一つのツールとして読むべき。新聞からの情報で「この会社はこれから伸びそうだな」と思っても、同じ考えの人が数十万人いる。その時点ですでにコモディティ化しているのだ。新聞には誰かがアナウンスしてほしい情報のみ載っている。利益を追求する株式会社の情報なのだから、大衆を権力者の望む方向に誘導するためのメガホンだと考えた方が良い。真に価値のある情報というのは、みんなが知った時点で無価値になる、つまり、新聞には載っていない情報なのだ。

◆トレンドとサイクルの見極め方
投資家用語トレンドとサイクル
・トレンド:インパクトをもたらす事象によって、世の中が不可逆的にどう変わっていくかを予測するのがトレンドの視点。一度起こると元には戻らない。
・サイクル:短期的な繰り返される変化のこと。一時的な現象により株価が下がっていても、時間が経てば本来の価格へと戻っていく。タレントの評判や龍声のファッションや話題のデザートなど。変化が循環するため元の状態へと落ち着く。

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・世の中の出来事をトレンドとサイクルで見極め、どんな影響を及ぼしていくのかを考えるために良い方法は、2年前の日経ビジネスや経済情報誌をしばらく読んでみること。トレンドとサイクルを見誤った会社とそうでない会社を見比べることができる。

・世の中の動きを見るときには、サイクルなのかトレンドなのかを正確に判断すること。

◆資本主義の仕組み
資本主義では「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みになっている。

・市場の歪みを見つけろ
歪みとは「本来であればもっと高い値段がついていいはずの商品が不当に安く値付けされていたり、もっと多くの人が買ってもいいはずなのに商品が認知されていないといった状態。
歪みを正すことが社会のメリットになる。

・歪みに気づく方法
人とは違う情報を得る。未公開情報を得て、投資する。→「株式投資ではない形でインサイダー投資をする」→必ず伸びる、伸びないとおかしいと思うことに自分の労働力、時間、人間関係を費やす。→2015年時点でYouTubeの可能性を確信したYouTuberは歪みに気づけた人

・発想力と行動力の時代
生産性革命の時代は工場や機械の設備に投資すればよかった。しかし、今は違う。絶えずイノベーションを起こす知性、全く異なる属性を結びつけてオリジナルなものを生み出す発想力を持った人材が資産となっている。

★トレンドとサイクルを見極めることでリターンを得られる
機関投資家は個人投資家をカモにしている。

◆投資家という仕事の意義
人類が生み出してきたこれまでの叡智をさまざまな角度で組み合わせ、資本を投入し、イノベーションを実現することで、人々の生活をより豊かに幸福にすること。

今ある技術を組み合わせることで、世界を救うイノベーションを生み出すことはいくらでもできる。

イノベーションは科学や技術の専門家だけの仕事ではない。現在、そして未来の人々がどんなことに困ると予想されるか。どんなことができたら幸せになれるか。今まだ顕在化していないニーズを見つけて実現するのは、マーケター、イノベーター、リーダー、インベスターの仕事だ。

◆マーケットの大きさは言語で決まる時代
・インターネットでリアルタイムで繋がれる現在、マーケットの大きさを決めるのは国境ではなく、「言語」になった。日本語ユーザーは1.3億だが、英語ユーザーは15億。グローバル資本主義の時代では、新しいサービスや技術のアイディアを生み出し、実現に向けて行動して、それを世界に向けて売っていくことのできる人の価値が高まっていく。自分のスキルと英語のコミュニケーション力を組み合わせれば自分の価値を何倍にも高めることができる。

◆投資家は自分で調べる一手間を惜しまない
自分で考える=自分で調べて考えて結論を出す

ex)あるゲーム会社の株があるバグの影響で下がったとき、作者はお客様窓口まで電話して、実際にバグが起こる頻度を確認した。すると特定の条件でしかバグは起きないことを知りその会社の株を即買いした。

・投資先をずらす決断
トレンドを読み、投資先を見てもすでに株価が安くなっていることはよくある。世間の多くの人は気づかないくらいのトレンドの関連企業やニッチなレベルでここだと思える企業にまとまったお金を投資する判断ができるかどうかで投資の成功は決まる。

◆自由になるための勉強をせよ
リベラル・アーツは武器となる。
リベラル・アーツ:人類が歩んできた歴史や、過去の叡智の結晶である哲学、芸術や文学、自然科学全般のこと

幅広い分野の学問領域を横断的に学ぶことにより、「物事をさまざまな角度から批判的に考える能力」「問題を発見し解決する能力」「多様な人々とコミュニケーションする能力」「深い人格と優れた身体能力」などの力を身につけることを目指す。リベラル・アーツは投資家として資本主義の仕組みを理解して物事を判断していくうえでも、非常に重要になる。
ex)名門ブラウン大学で教養を身につけたエマワトソンは出演料を他の出演者とは違う形で得ている。作品ごとに額を決めて得るのではなく、自分の出演作品の売上に応じた成功報酬にしたため20歳で20億円もの資産を持つようになった。

・成功した起業家の多くは学生の頃から企業のために努力していた人などほとんどいない。自分が長年興味と関心を抱いていた何かに心から打ち込んでいるうちに、たまたま現在の状況につながったというケースが多い。
→将来について考え続けることは無意味

・自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識のみが社会で使える本物の武器になる。武器は難しい課題を解決したり、ライバルを倒していくことで初めて手に入る。

◆自分自身の人生は、自分以外の誰にも生きることはできない。たとえ自分でリスクをとって失敗したとしても、他人のいいなりになって知らぬ間にリスクを背負わされて生きるよりは、100倍マシな人生だ。

★資本主義は悪でも善でもないく、ただの社会システム。現状の最適解
重要なのはそのシステムの中で生きる我々一人ひとりが、どれだけ自分の人生をより意味のあるものにしていくかだ。

・社会全体のパイが小さい今の日本で公務員という選択はナンセンス。公務員はパイを分配する側。分配仕様がない袖は振れない。優秀な人はビジネスに行け。ビジネスはパイを大きくする。

★投資家として生きることで世の中の見方が一変する。
・公開情報からでも普通の人がやらない一手間をかけることで大きな果実を手に入れられる
・大学では奴隷の勉強に時間をかけず、リベラル・アーツを学べ
・本当の資本主義の時代に本当に人間らしい関係を探っていこう。→君達はどう生きるかにインスパイアされた作者からのメッセージ

【エシモの所管】
これは、これからを生き抜く全ての人へのバイブルになり得る本だと思う。
資本主義の本質を理解できたし、その上で人が何を求めるのかも分かった。しかし、それを提供する側にならないと生き抜けない。しかもただ提供する側ではもう勝ち抜けない。先ずは一日の空いた時間をリベラル・アーツの復習に費やし、興味のある会社で働きながら業界の人、物、金の流れを熟知し、同時にマーケターになるための財務諸表や貸借対照表の見方など経営の基礎を勉強するべきだと思う。これは、もうやるしかないんだ。やらない人から残酷な資本主義の荒波に負けて引きずられて行く。いつの時代も大きな流れには人間は逆らえない。苦しくとも運命を受け入れて一歩ずつ強くならないといけないんだ。

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