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【うた#5】「向かい風」

描く理想はどこまでも旅をする
僕自身は靴も履かないまま
自分らしさをどうにか残したくて
踏み鳴らすも 足音は響かなくて

いつも向かい風の吹く道を歩いている
振り返れば 追い風に変わるというけれど
自分を偽って 風を味方にして
その先の世界で僕は笑えるかな

思い出すのは君の横顔ばかり
僕の見てる半分で笑っていて
残りの半分で君は泣いていたんだろう
真正面から向き合えていたらきっと

いつも当たり前の幸せに気付けない
失くしてから面影を探して迷い道
自分も失って 無理に笑ったりして
あの頃の未来に僕は立っていない

いつも向かい風の吹く道を歩いている
振り返れば 追い風に変わるというけれど

いつも駆け抜ける時の中を生きている
後戻りも追い越すことも決してできないんだ
自分と向き合って 明日を夢見ながら
その先の世界で 僕は笑えるかな

愛せるかな
叶うかな
幸せかな


――――――――――


向かい風に吹かれて辛いとき、
振り返れば追い風に変わる。
誰かが言ったその言葉に、
僕は疑問を持った。
果たして、
それは本当に幸せなことなのか。

確かに、振り返れば追い風になる。
自分の背中を押してくれる。
でも、自分が目指していた場所は、
向かい風の先にあるんだろう?
そこに行きたいんだろう?
だったら、
振り返って追い風にしたところで、
幸せにはなれない。
新しく前を向いて進んだところで、
幸せから、遠のいていくだけだ。

楽しい時間は続かない。
しんどい時間はすぐにやってくる。
その度に、
楽な方へ、楽な方へと風に身を任せていたら、
本当の幸せには辿り着けない。

もちろん、
方向性を180度変えることで報われることはある。
でも、
もがきながらも夢を叶えようとすること、
嫌いながらも大切な人を愛そうとすること、
その先に自分が本当に辿り着きたかった
明日が待っている。
そう信じて、
今日も向かい風の中を。


――――――――――


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