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30歳、生まれて初めて占いに課金した話

最近、占いに登録してみた。インスタの広告で見かけた、星ひとみさんの占いサイトである。何やら、人生のターニングポイントがわかるとのことだった。もうすぐ三十路。人生100年時代と言えども、30歳は一つの分岐点なのではないか。深夜、一人でコソコソと会員になった。

そもそも私は、占いなんぞ興味なし。の人生を地で進んできた、占い好きが発狂するレベルの反逆者である。
いい感じのこと言ってるだけじゃん。統計学じゃん。星座12個とか何人同じ人いるんだ。……と、ここまでにしておくが、縁がない人生だったことをご理解いただきたい。

そんな反逆者が、なぜお金を払ってまで占いに登録したのか、これには訳がある。

昨年、20代ラストの年だった私は、30歳に向けて種まきをしていた。新しい仕事を始め、恋愛は結婚を考えるフェーズに、家族ともいい距離感。趣味も好きなバンドのライブが再開され、しっかり参加。友人との飲み会も顔を出したし、とにかく多方面に、30歳の私もよろしくお願いします。と風呂敷を広げまくった。順調な滑り出しだったと思う。

しかし、人生はそんなにうまくいかない。
一年の半分が過ぎたころ、病気に罹った。私の算段では、今頃新しい仕事を拡大していて、年末あたりに結婚して、仕事もプライベートも薔薇色〜!のはずである。こんな展開は期待されていない。最悪だ。広げまくった風呂敷は、畳むのはもちろん、回収するのに大変な時間を要した。

私はネトスト(ネットストーカーの略です。)気質があるので、インスタをよく利用している。インスタもネトストに使われるのは心外だと思うが、一人くらい許してください。悪いことはしてません。
深夜2時。ストーリーズの更新も止まり、意味もなくフィードのスクロールを繰り返す。くるくると回るローディングマークを眺めながら、電波悪。なんて悪態をつく自分がいた。子供の写真、初詣行ったよの報告、美味しそうなレストラン、おしゃれなカフェ……結婚の報告。
やり過ごす投稿も、この日は違っていた。何も感じないはずの他人の日々が、突然何かのモンスターに見えたのだった。そいつは、黒くて、私の心なんて一飲みしそうなくらい、大きくて深い。一瞬にして、私は深い闇に落ちた。

あれだけ頑張ってきた20代。何かやり遂げたのかと言えば何もしていない。けれど、少なからず将来には期待していた。実際はどうだ。30歳を迎えるのに何もないじゃないか。なんなら、風呂敷大撤収してきてしまった。

あー…困ったな。こんなはずじゃ…。

そんな時にたまたま見かけたのが、星ひとみさんのインスタ広告だった。恥ずかしながら、テレビがない家なので星ひとみさんのことをその広告で知った。大変有名で、よく当たる占い師らしい。そして、人生のターニングポイントを見てくれるとのこと。

人生のターニングポイント。

もう一度言うが、私は占いなんぞ信じて生きてはいない。ただ、その謳い文句に、強烈に惹かれてしまったのである。
3時を回っていた。私は生まれて初めて、占いに課金した。人生の分岐点を知るために、迷いはなかった。

占いの結果をここに書くのは野暮だと思うので、特に記すことはしない。が、結果的に闇のモンスターから救ってくれたのは星ひとみさんだった。こんなにも簡単に、占いで心を救われてしまったことをお伝えしたい。
星ひとみさんのサイトには、人生ターニングポイント以外にもプラス料金が発生せず占ってもらえるコンテンツが多々ある。正直、ターニングポイントは残念な結果だったのだが、ある意味でまあこんなもんか。と思えるきっかけになった。
占いの回数をこなすうちに、その気持ちはだんだんと大きくなり、まあ占いだし。なんとかなるし。こうはなりたくないな。などと、占い反逆者が顔を出した。しかし一度降伏した手前、心のどこかで受け入れ体制ができあがっていたらしい。夢中になって、コンテンツを読み進めた。あれほど私には必要ないと思えた占いが、いとも簡単に、鬱々とした気持ちをサラリと流していった。

流行りの病が世界を恐怖に陥れてから、占いという商売は右肩上がりらしい。先の見えない状況を、整理整頓したいと思うのは皆同じということか。
私のように、ままならない人生だと感じた人がいたならば、ぜひ騙されたと思って一度占われてみてほしい。


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