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#218 50cmの距離
既に使われなくなって久しい路線のレールと並走するようにバスは走る。
太陽の光が車窓越しにでも暑く感じるほど、季節外れの陽気がどこまでも青い空と、木々の緑に強く鮮やかなコントラストを生じさせている。
途中、道を塞ぐように両側から塊感(カタマリカン)の強い短いトンネル状のものを幾つかくぐりながら、バスは北へ向かってゆく。
乗客全ての目的地は同じで、そこは「板門店」と呼ばれる緊張感の高く張り詰めて
#217 奉仕の精神
崖から落ちそうになっている時に助けようとしてくれるヒトが
「ファイットォォォォォ!」
などと叫びながら手を伸ばしてきたらその手につかまりつつ、やはり「イッパァァァァツ!」で返さないといけないのだろうか。
そんなテレビCMがあったことを思い出した。
今もやっているのだろうか。
「ああ・・すみませんねぇ・・ホント申し訳ない、助かります」
などと言ってはチカラが入らなくなって引き上げられなくなって
#216 Don't think ! Feeeel !
言葉を連ねて何かを述べるのは誰にでもできる。
そこで本日は文字をひとつも書くことなく、読むヒトに伝えることができるか試してみようと思う。
よく言えば壮大で斬新な実験、悪く言えば無謀で単なる手抜きの投稿である。
(『既に文字書いてる』という野暮な方は私はあまり好きではない。)
私の考えていることを念じる。
決して捻る(ねじる)ではない。
想いを載せる。
考えるな。感じるんだ。
では始める。
#215 花を持って会いに行く
宿というものは大抵チェックアウトの期限が決まっていて午前10時辺りであることが多い。
その時間までに色々しなければならないのはリミットを嫌う私にとって好ましいことではない。
しかしいくら好ましくないと言ってもその期限は迫り来るのだから従わざるを得ない。
始末に追えないなといつも思う。
さて、チェックアウトした後の予定は特になく、その時点で分かっているのはその日の夜行でその街とサヨナラすることぐ
#番外編 こんな音楽聴いてきたVol.8
ブリティッシュインベイジョンと呼ばれる、英国から米国へ渡った文化の余波はここ日本にまでも届き、ブルースに根差したロック、所謂ブルースロックにはまり込んでいく一方で、当然米国のバンドの音も届いては来る。
アメリカ南部の熱気や西海岸辺りの風に乗ってこりゃカッコいい!と思わせるバンドも多数存在した。
「英国人のブルース好き」とはよく言われる言葉だが、(私の中では)そもそもブルースは米国南部発祥の
#214 こんなもんじゃない
現在、功成り名を遂げた人々の中には若い頃の武勇伝や、悪さをしていたことを嬉しそうに話すヒトがいるが、何故なのだろう。
いや、名を遂けていないヒトの中にも一定数いる。
「若い頃はヤンチャしてまして」
「まぁ、、悪かったので。」
「大きな声で言うことでもありませんが」
昔、どれだけ社会通念から外れたことをしでかしたのか自慢げに、また嬉しそうに、隠せぬドヤ顔で語るのを見るとなんだかなと思う。
#212 Rか、Lか、それが問題だ
ここnoteで私はRed Roosterを名乗っているのだが、最近RedをLedに変えようか熟慮している。
ホントは軽く浅く、であるが。
なんかZep (Led Zeppelin)やジェフベックの曲 "Led Boots"のようでカッコいいではないか。
Redではなく、Led (鉛の) Rooster (雄鶏)。
大横綱・双葉山の連勝が69で止まった時「未だ木鶏(モッケイ)たり得ず」と言った
#211 立ちながら
ニンゲンには立ちながらすることがあるように思う。
歩くこともそうだし、立ち食い蕎麦はそうしないと呼称矛盾になるし、横になりながら信号待ちする者も居らぬだろう。
また、立ち話も座っていてはできないし、勿論、立ちションも不可能だ。
色めき立つことだって難しい。
(それは違うぞ)
丹下段平が「立て、立て、立つんだジョー」と言うのも立たなければ負けてしまうボクシングだからである。
いや、ボクシングで
#210 What a going !
大学生のカオルにはとても仲の良いヒロミという友人がいた。
気は合うし、意見も合う。
互いに自分に無いものを相手の中に見つけ、それを認め尊重し合う。
多くの場所へ出掛け、また長い時間語りもした。
2人が歩んだ道は友と言う名の思い出となり、且つ強固な支えにもなっていた。
ところが、小さな穴から堤防は崩れ出す。
ちょっとした誤解が新たな誤解を生み、固く糾われた縄のようだった関係は緩みを見せ始め修復
#209 新たな景色
私がここで休むに似た考えを述べたり感じたことを書いたりしている時、それを読む人は私を「ここ」に感じているのだろう。
音楽や絵画などの作品に於いて作者の息遣いや気配を感じるように。
勿論、表現者ではない私の書くものは言葉の羅列に過ぎないし、作品と呼べるようなものではない。
しかし目の前でナニゴトカを言う訳ではないのだから、PCであれ、タブレット、またはスマートフォンであれ、この無機質な アクリル
#208 北へ向かう列車
国境は日本人にとって実感することは稀であり、馴染みの無いものだが、地続きになっている国々にとっては大きな意味を持つ。
例えば38度線。
正確には国境では無く、軍事境界線だが、人を分かつと言う意味に於いてほぼ同義だろう。
家族、血縁であっても「向こう側」にいる者とは容易く会えない現実。
水鳥は自由にむらがり飛び交っているのに。
或いはアメリカ合州国・メキシコ国境。
アメリカ側から見る国境は単
#207 印象と打率
面白い人が好きである。
「面白い」には笑いを含まず「興味深い」という場合もあるが、本日は笑いを喚起するという意味での話を少し書く。
「あの人は面白い」と言う場合、2つのパターンがある。
細かく分けると約78パターンほどあるのだが、今は理解しやすいように2つにしておこう。
一つは自分から面白い事を言ったりやったりするタイプ。
当然ながら周りが笑うと嬉しい。
もう一つは本人はそのつもりはな
#番外編 こんな音楽聴いてきたVol.7
ビートルズを入り口に洋楽の森へ分け入っていくことになったのは既に述べた。
中学2年生の夏頃から、周りの音楽好きの間ではネクストビートルズの音として、幾つかのバンドの名前があがっていた。
その中のひとつ、ビートルズ同様英国からやってきたこのバンドに耳がとまる。
Led Zeppelin
ヘビー且つキャッチーなリフがなんともカッコよく、またビートルズには感じられなかった「ヤバさ」を持つこのグル
#206 PLUTO
手塚治虫氏の描き出す作品に慣れ親しんだ者にとって、その筆頭にくるものはそれぞれ違ってくるのだろう。
時に鉄腕アトムやリボンの騎士、またはジャングル大帝であったり、火の鳥、ブッダ、ブラックジャックと其々のキャラクターに思い入れがあるはずである。
私は、鉄腕アトム世代であり、なんとも言えない不思議な音階のホールトーンスケール(ド レ ミ ファ# ソ# ラ# ド)で始まるイントロを聴くと今でも身体に十