#217 奉仕の精神
崖から落ちそうになっている時に助けようとしてくれるヒトが
「ファイットォォォォォ!」
などと叫びながら手を伸ばしてきたらその手につかまりつつ、やはり「イッパァァァァツ!」で返さないといけないのだろうか。
そんなテレビCMがあったことを思い出した。
今もやっているのだろうか。
「ああ・・すみませんねぇ・・ホント申し訳ない、助かります」
などと言ってはチカラが入らなくなって引き上げられなくなってしまうのかもしれない。
そもそもファイトの数え方は「発」なのだろうかとは思うものの、そのようなことは取り敢えず措いておこう。
生還したのち助けた人、助けられた人、2人で飲む栄養ドリンクはさぞかし美味なのであろう。
冷えているのかな。
またそんなものを持ってあの危険なルートを踏破しようとしていることに驚くが、まぁそれもいいだろう。
何れにしてもあの絵ヅラは好きになれない。
なんとなく。
これが「一発」ではなく「二発」であったら、持ち上げるヒトも助けてもらうヒトもかなりシンドいのではないだろうか。
言ってみるがいい。
「にはぁぁぁぁつぅぅ」
手に力が力が入らんし、持ち上げる方だって(なんだよお前)と思うことだろう。
身体に力の入る言葉、入りやすい掛け声はあるようだ。
テニスの試合など見ているとサーブなど凄いものがある。
「ア"ア"ッ!」とか「ウッ!」とか文字で表すのは不可能に近いが、聞き覚えのあるアレ。
確かに力のこもった強いサーブを打てるのかもしれないが、ここは逆に 相手の虚を突く掛け声を発するというのは戦術的に効果があるのではないだろうか。
例えば今までさんざん「あー」だの「うー」だのと吼えていたところをイキナリ
「・・ちゅるん?」
などと可愛らしく(しかも甲高く)サーブを打てば相手が「え?」と思った頃にはサービスエースである。
らぶ : ふぃふてぃーんなんである。
或いは
「同一線上にある3点O,A,Bに対して、次の式を満たす点Pの存在する範囲を求め・・」
これは難しい。
同じくサービスエース必至である。
ただこれは前もって紙と鉛筆を渡しておいてあげないと礼儀に反するだろう。
暗算で答えさせるのは余りに酷だからだ。
そして勿論言う方だって大変だ。
だが、もう らぶ : さーてぃなんである。
しかしである。このサーブ。
英語ではSERVE。
つまり"仕える, 務める, 出す, 勤める,尽くす,仕え奉る"であって、サービス(奉仕、奉公)の語源だろう。
つまり元々は「はい、どうぞ打ってください」と相手に差し出すのがサーブなのだ。
そうであるにもかからわず、トッププロなどの時速160km/h にもなるパワーサーブとはどういう了見なのか。
失礼極まりないもてなしだろう。
運ばれてきた琥珀色の美味しい美味しいアイスコーヒーを思いっきりテーブルに叩きつけているようなものではないか。
私が17世紀の貴婦人だったら怒っているところだ。
そこに奉仕の精神はあるのか⁉︎
と問うてみたい。
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