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映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』感想

予告編
 ↓


 昨日、間違えて途中だったのに一度投稿しちゃいましたが、改めて再投稿しますー。


 ……昨日わざわざスキしてくれた方々、ごめんね💦


はよ続きが観たい笑


 前作から引き続き、漫画としてもアニメーションとしても面白い本作。前作の感想(感想文リンク)で「モーションコミックの極致なんじゃないか」みたいなことを述べた覚えがありますが、それが更にブラッシュアップされたような印象です。もう映画の序盤から、何て言うんでしょうか、“アニメらしさ” や “漫画らしさ” みたいなものが窺い知れます。もちろん観に行く前から楽しみにはしていたものの、始まって早々にワクワクが止まりませんでした。



 冒頭、地下鉄の暗い車窓に人の影が映る。でもそれは、その場に立つグウェンの姿が反射しているわけではなく、彼女がその場で脳裏に思い描いている人物が映し出されていました。またある時は、彼女自身のもう一方の姿が映っていたりもする。その場の実像が窓ガラスに反射して映る虚像ではなく、彼女がその瞬間に頭の中で思い描いていることを窓ガラスに描写しているシーン。また、同時にそこで描かれる、映画『千年女優』をも彷彿とさせるような、本人の動きだけはシームレスのまま、コロコロと場面転換していく映像も面白い。セリフやモノローグに頼らない見せ方、テンポの良い場面転換を可能にできるのは、アニメーションだからこその魅力だと思います。

 一方で、“漫画らしさ” も序盤から抜け目ない。グウェンが父親と会話するシーン。漫画特有のコマ割りを模したような白い縦線で分割された画面の中で、父親とグウェンそれぞれの表情が同時に描かれる。この漫画らしい表現をアニメーションに持ち込むことで、このシーンにおける白い縦線が、まるで二人の心の壁を表しているようにも見えてきます。しかもその直後、その白線を突き破るかのようにして父親に駆け寄るグウェンが描かれる。このシーンでの会話によって、二人の心の壁が取り払われた様を、心情としての壁のメタファーにもなっていた白線を活用することで、より強く印象付けていたようにも見えました。漫画らしさを活かしつつ、アニメーションだからこその表現だったとも思います。


 そういった遊び心(というと軽薄かな?〈こだわり〉とか〈徹底ぶり〉の方が良いかな?)ある描写で言えば、上映開始直後、冒頭に流れるパラマウントの女神像や、SONY、マーベルのロゴマークのバグ感も面白い。様々な風合いで描かれ、且つ、時折挟まれる映像的バグ感は、作中で様々なマルチバースに迷い込みバグが発生してしまう主人公・マイルスの旅路を暗示しているよう。

 その他、スポットとの戦闘中に穴から穴へと連続して入っていき、コロコロと世界観が変化していく感じは、まるで『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(感想文リンク)の中でスティーヴン(ベネディクト・カンバーバッチ)が色んなマルチバースに飛ばされている際の描写と、構図なども含め非常に酷似しているように見え、それもまた面白い。



 そうやって、世界観が変われば絵柄も変化していく。テイストの異なるものが違和感なく共存できるのは、アニメーションならではの魅力の一つだと思います。もうとにかく、あちこちの世界と繋がっていくのが本作の魅力の一つです。前述の『ドクスト』に限らず、過去の『スパイダーマン』映画や『ヴェノム』など、MCUやらSSU、原作コミック等々とのクロスオーバーだらけ。大勢のスパイダーマンが描かれるシーンは、配信やソフト版で各所を一時停止しながらチェックして楽しみたくなってくる。そしてこれらの広がりは、現在進行中のマーベル作品群とのクロスオーバーの可能性までをも無限大に期待させてくれます。もうね、節操なんかどこへやら笑。最高です。


 また、それに併せ、セリフの随所で過去の『スパイダーマン』映画を思い出させてくるのも憎い。「アメイジングだ」というセリフもそうだけど、グウェンルートはバッドエンドと言わんばかりのフラグを立てるあたりなんかね……泣。これで来年の続編までお預けってのがまた憎い!笑



「大いなる力には大いなる責任がともなう」——。やはりスパイダーマンといえばこの言葉。とてもかっこいい言葉、けれどスパイダーマンが背負う悲しき運命をも同時に象徴している言葉。この言葉を見聞きする度、ヒーローの定義を改めて考えさせられます。

 そんな中、本作で提示されたのは〈犠牲〉のうえに成り立っているという考え。ある種の正論とも取れるこの考えに、たった一人、真っ向から感情で抗う主人公、マイルス・モラレス。〈仕方のない犠牲〉も〈全員を救いたい〉という考えも、どちらも間違っちゃいない。感想文の着地として、丸投げのまま終わらせてしまうのは如何なものかとも思いますが、次回作を鑑賞しないことには、何とも言えないというのが本音。ただ、「偶然、上手くいきました」「奇跡的に丸く収まりました」ではなく、運命に抗うこと等々への正当性や整合性、或いはヒーローとしての矜持などを示して欲しい。それが、次回作『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』に期待するところ。且つ課題なんじゃないかと。

 ……でも、きっと大丈夫な気がする。根拠は無いけど、ラストのあのスパイダーマンたちの並びを目にしたら、信頼と期待しか湧いてこなかったから。


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