見出し画像

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』感想

予告編
 ↓


 遅ればせながら、『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』観てきましたよー。

ということで本日は、前作『スパイダーマン:スパイダーバース』の感想文を投稿しますー。


ちなみに最新作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の感想文はこちらから

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』感想|どいひー映画日記 (note.com)


モーションコミックの極致


 まず、絵を考えてみようかと。絵そのものの話。そこにセリフ(吹き出し)を書き足せば漫画の魅力となり、或いは少しずつ違う絵を連続して見せることでアニメ―ションの魅力となり、人が声を当てたり、科学技術で音響効果を施し、現代のアニメ作品の魅力が出来上がる。それぞれが素晴らしいものであり、どれが一番優れているなんてことはない。

 しかしながら、殊 “モーションコミック” となると話が変わって来る。若干動く絵、タイミングをずらして表示される吹き出し。はたまた、絵はそのままにセリフや効果音、BGMなどを付けることで音に特化した漫画となる。どちらも意味はほとんど一緒ですが、メディアによってはボイスコミックと呼ぶこともある。画面を眺めているだけだったり、フリックやスワイプなど自身の操作が影響したり、閲覧するメディアによってもまた違いが生まれ、「アニメーションとして」「漫画として」など、何を重視するかによって大きく印象が変わってしまう。ペンタゴングラフで言えば一部が尖っていたり凹んでいたり、異様なまでに歪な作品。漫画としての様式美を保ったままアニメーション等、他ジャンルの魅力を付加するのは非常に難しい気がします.。


しかし!! 見事な五角形でやって見せてくれたのです笑、この『スパイダーマン:スパイダーバース』がっ!!!


 TVアニメ版の『ジョジョ』の擬音描写を初めて観た時も驚きだったけど、個人的にはそれ以上に面白かった本作の漫符アニメーション(形喩、戯画化など呼称が定まっていないっぽいので本項では「漫符」を採用)。まるでスクリーントーンを思わせるようなドットの数々と、奥に行けば行くほどピントがずれ、それに比例して原色が増えていく背景描写など、まるでアメコミの様式美を想起させるようなビジュアルが作品全体に施されているため、飛び交う漫符が作品のテイストに非常にマッチしている印象でした。

しかも、動くスパイダーマン(実写やアニメ等)ならではの醍醐味の一つである “スイング” シーンにおいても同様。加速して大きくスイングし、頂点に届いて次のスパイダーウェブを飛ばすまでの一瞬の “間” ——運動エネルギーが位置エネルギーに変換されていき、運動エネルギーがゼロになり空中で停止したかのように見える瞬間——、その刹那、そこで手描きだからこそ可能な完璧なまでの滞空ポーズが、まるでコミックの見開きかのような見栄え抜群のワンカットになっています。アニメ、漫画の両方の魅力を最大限に味わえているかのように錯覚させる程の感動がありました。そしてこの魅力は何と言っても、劇場で、欲を言えば3D上映で鑑賞するとより一層楽しむことができます。



 そんな飛び道具的な面白さだけでなく、映画的な表現でも非常に素晴らしいものがある本作。だからこそオスカーを獲得できたんじゃないかと。幾つもあるけど、例えばメイおばさんの家の小屋から秘密の地下へ行く場面が特に印象に残っています。ガラス越しにピーター・パーカーのスパイダースーツを眺めるマイルスの姿が、そのガラスに反射して映り、スパイダースーツと重なって見えるカット。これによって彼の心の中でスパイダーマンとしての自覚が芽生えたことを印象付ける。その後、別のシーンで、苦難を乗り越え、敵と戦う心意気を胸に、改めてスパイダースーツの前に立つマイルス……。

ここで前のシーンと異なるのは、ガラスに映る彼の姿がスーツとピッタリ合っていること。前のシーンでも重なってはいたものの、スーツの頭の位置と彼の頭の位置が合っておらず、シルエットがズレていた。要するに、目線や目指すベクトルはスパイダーマンに向いていたけれど、憧れ故か若さ故か、まだ本物のヒーローにはなれていなかった証拠。

しかし今度のマイルスは違う。ここからが “新しいスパイダーマン” の本当の始まりなのだとワクワクさせてくれる。そして実際に、メチャクチャ興奮させられた♡



 また、スパイダーマン作品なので、本作では誰がベンおじさん的ポジションを担うのかと勘繰りながら観ることでしょう。最初は彼の叔父がそんな風に見えるけど、名前が……なんて思っていたら、異次元から来たスパイダーマンたちがそれを担ってくれた。なんと嬉しい展開! ちゃんとスパイダーマンとしての魅力も忘れていないのも素敵でした。


#映画 #映画感想 #映画レビュー #映画感想文 #コンテンツ会議 #Marvel #アニメ #マーベル #スパイダーマン

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,711件

#映画感想文

66,387件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?