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映画『THE FIRST SLAM DUNK』感想 

予告編
 ↓ 


【 ’23年5月18日追記】
 公開からしばらく経った今、中国でも大ヒットらしい本作。公開当時はなんやかんやでアレコレ言われていたのが噓のよう。時の流れって不思議。時間が経って、毛羽立っていた感情が落ち着いてきたのかな?

 そんな、”なんやかんやでアレコレ言われていた” 当時の感想文です。




なんか、、、一足遅い感じもあるけど、せっかく書いたので投稿。
公開直後は、なんだかんだで賛否両論あったっぽくて……。読み返してみると、そんな世間の雰囲気に、気ぃ使いながら書いていたんだろうな、というのがヒシヒシと伝わってくる笑。

そんな『THE FIRST SLAM DUNK』の感想文ですー。



毀誉褒貶の激しさは良作の証かも


 ……常々思うのは、熱狂的なファンが存在する作品の感想文は気ぃ使ってしまうってこと笑。「スラムダンクはまぁ普通に好きだよ」ぐらいの男の感想だと思って大目に見てください。あとネタバレあります。っていうか観た人しか読まないだろうという前提なので、その辺はご容赦ください。


 キャスト変更に関しては、本当に人それぞれって感じです。幸か不幸か、リメイクやリブートではなかったために、作品の連続性というものを期待している方々には受け入れづらかいかも。

作り手の目指すベクトルが完全に別モノなので、こればっかりはしょうがないんじゃないかな。今さらTVアニメ版のスラムダンクを知らなかったことにはできないので笑、TVアニメ版スラムダンクを知らない人達がどう感じるかまではわかりませんが、一部のファンにとってはその連続性の欠如は重くのしかかりかねないし、それが故に、大きなマイナスの先入観は拭えない。



 しかしある意味では、原作には無い新たな要素を描く余地が生まれたとも見て取れる。ここは好き嫌いの話もあるのかな? 残念ながら、 作品そのものとは別の、作品外の諸々の事情でマイナスイメージが先行してしまったという印象です。




 井上雄彦先生が原作、監督、脚本、とはいえ、演出が6人ってね。作り手の意気込みが凄まじいですが、この「監督、脚本は井上雄彦」ってのが重要だと思います。本作からは、スラムダンクの魅力以上に、これまでに井上先生が描こう としてきたものについて考えさせられました。(少し話が脱線するかも……)



 漫画『SLAM DUNK』の主人公は桜木花道。ド素人ながら体格にも恵まれ、ドリブルもできなきゃルールも知らないような時点でもダンクシュートを決められるような才能の持ち主。非常に週刊少年ジャンプ的なキャラクターとも思える。

そんな男が主人公の物語の、最終決戦・山王戦。本作でも描かれるこの試合の決着は、本人の大好きな、そして何よりタイトルにもなっているダンクシュートではなく、短期間ながら死に物狂いで培った努力の結晶である、何の変哲もないジャンプシュート。それまでずっといがみ合っていた流川からのパスを受けてのこのシュート。

私自身、バスケットについては素人なのですが、(日本人だからかな?)どこか才能の象徴のようにも見えるダンクシュートではなく、努力が報われるジャンプシュートだったことに意味があったように感じます。



 (ここでまた別の話)同氏原作の『BUZZER BEATER』は、ゴル星人という宇宙人たちが活躍するバスケットボールのリーグに、体格や運動能力で劣る地球人が挑むという物語。才能溢れる仲間たちと共に「いざこれから」という時に、主人公が実はゴル星人だったことが判る。バスケが上手かったのは、たまたまゴル星人だったからなのか……。
構図でいうと、NBAと日本のバスケットボールを暗に示していることはよくわかる。才能や努力に関して、そんな様々な葛藤が描かれた名作だと思っている。




 ……だいぶ話が逸れちゃったけど、本作の中枢が宮城リョータだったことや、そしてラストに描かれたその後の物語……、たしかに原作とは違うかもしれないけれど、才能や努力といった、それこそスポーツに限らず、何かを目指す人たちにとっては避けられない要素を、 『SLAM DUNK』という名作に落とし込んだ。そんな印象です。毛嫌いもわかるけど、逆に本作があることによって、原作をより好きになれそうな気がします。



 宮城の過去から現在までを描くパートも良かったと思います。たとえば各シーンで、仮面を着けたままだったり、背を向けたままだったり。こういった顔を合わせない・直視しないという小さな振る舞いから、リョータと母親が共に目を背けている事柄があることがわかる。

でも最期には、ようやく二人が向き合うシーンがあることで、過去を乗り越え前に進めていることもよくわかる。



 前述の〈何かを目指す〉という過程の中で避けられない、 或いはぶつかるのは、才能や努力といった、個人だけに留まる要素だけではなく他にも存在し得る、そして同時に、これら全てを含めて一人の選手(人間)が形作られていくのだと語られているようにも見えます。

何より、試合シーンと回想シーンの繋ぎ方が素晴らしい。ただねじ込んでいるわけではなく、試合の流れに沿って回想シーンへ移行し、そしてその回想シーン(ある種そのキャラクターの思考)が、ちゃんと試合中の動きに反映されているように見えました。



 あとは、試合のスピード感も良かったし、それでも見せ所ではスローも織り交ぜられていたから見応えがあったし、革新的なアニメーション表現を堪能できたし、僕は本作を観ることができて良かったと思っています。

半ば必然というか、様々なことでマイナススタ ートになってしまった感が否めない本作ではありましたが、あれこれ言い甲斐のある作品なのであれば、やいのやいの言って、観終わってからも語り合うのが醍醐味なんだと思います。


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