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渋谷系とは何だったのか? 都市と音楽から考える

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#サブカルチャー

「渋谷系」とは何だったのか? 〜都市論と現代POPS史から読み解く〜 part.7

・ポストモダン消費とPARCO文化の関係性 

 part6にて吉見・北田は1970-80年代PARCO文化が高度な消費文化を顕在的に現したものと述べているが、この先行研究が仮に正しいとした場合、このPARCO的という「消費文化」が同時代における「ポストモダン消費文化」と類似していると考えることができる。この節では間々田の著書を参考に「ポストモダン消費」の先行研究を踏まえ、PARCO文化との関係性

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「渋谷系」とは何だったのか? 〜都市論と現代POPS史から読み解く〜 part.2

3. 東京における戦後の音楽ルーツとエルビスプレスリーによる「毒」が与えた影響

前節では戦前の東京における盛り場に焦点を当てて論じたが、本節では東京における音楽文化のルーツについて述べていきたい。
まずポピュラー音楽の定義を2010年増淵 敏之「欲望の音楽「趣味」の産業化プロセス」のなかで著者はこう述べている。

「①大規模な、社会文化的に同質的な場合が多い聴衆集団に大量に分配されるものとして表

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「渋谷系」とは何だったのか? 〜都市論と現代POPS史から読み解く〜 part.1

2. 東京における盛り場から紐解く 〜戦前における盛り場の形成〜ここから数回については長すぎる渋谷系への布石となる。音楽とは懸け離れた文章になるので興味のない方は飛ばしていただければと思う。

渋谷という場所の先行研究として、吉見俊哉著書『都市のドラマトゥルギー』(1987)を参考にしていく。本書は東京の「盛り場」についての変遷とそこでの人々のダイナミズムを写している。

盛り場の「盛」という言葉

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「渋谷系」とは何だったのか? 〜都市論と現代POPS史から読み解く〜 part.0

初めましてゆうすけと言います。

簡単に自己紹介すると1995年東京生まれ、高校あたりから手当たり次第バンドを聴くようになり、音楽について深い造詣を持ちたいなと思うようになりました。

リアルタイムでよく聞いていたのはいわゆる「10年代シティポップ」と呼ばれるものであり、この音楽は周囲の人間も挙って好んでいました。

それともう一つ興味があったのが今回話す「渋谷系」です。

インターネットサイトや

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