女の朝パート58


『身体には無数の筋肉がありその筋肉の活動が身体となるの。』

 

吹いていた風が止んだ時のように、女の声が何かに遮られたようだ。

アイスコーヒーを飲んでいた女はその原因が気になったのか、姿勢を正すと店内を見回し始める。

女の額に汗が滲んだ。

 

 


 

写メを撮り終えた女は知っていた。

その声の主がこの店内のどこかにいることを。

しかし女は口をつぐみ自分だけの秘密にした。

 

その時だった。

店内を見回していた女の様子が何故か変わってゆく。

脇の下が濡れ始め唇がわなわなと震えはじめたではないか。

緊急事態発(生)声。

女は大きなソファー椅子にもたれスマフォの小さな画面を必死に叩き始めながら、

ナニカを必死に叫んでいるようだ。

 

しかし、

写メを撮り終えた女にとってその女のことは正直どうでも良かった。

余りにもアイスコーヒーが美味しくて感動したのだろう。

唇が震えて当然だ。

だってアイスコーヒーは冷たいお飲み物なのだから。

もしくわ自分の身体に起きた変調に救急車でも呼ぼうとしているのかもしれない。

 

 

暗転

 

 

その女はスタバに来ると必ず写メをした。

いつの日からかそれが女の決まり事となり、

今となっては、我思う故に我ありみたいに、

スタバ思う故にスタバあり、みたいになって仕舞ったから。

 

 

今、女のスマフォにスタバの写メが残されたのは、

10月30日水曜日の11時1分。

紛れもない事実だった。

場所は八王子のサザンスカイタワー2階のスタバ。

写メを撮り終えるとその女の歓びは増した。

切手や骨董品等を集める事を人生の生き甲斐にしている収集家のように、

女は自分の端末にスタバの写メが蓄積されていく歓びを知って仕舞ったからだ。

ただ、この自分だけが知る歓びをどう伝えてよいものかわからなかった。

そんなとき、女は窓の外を眺めた。間の抜けた顔で。

そして女は、

大きな空から、言葉と言う種が落ちてくる事を願った。

 

女は、

沢山集まったスタバの写メを見る時間が好きだった。

何故ならば、

女は、スタバに来ると必ずスマフォの画面ばかりを眺るから。

ひたすらニヤニヤし、その証拠に指が震えるようだった。

一体何枚のスタバの写メがそのスマフォに収まっているのだろう?

きっと誰も知らない。そして知りたくもない。

だってその女も把握していないだろうから。

 

 

その時だった。

止んでいた筈の風が又吹き始めるように、

女の声も再開した。

 

 

身体には無数の筋肉がありその筋肉の活動が身体となるの。

 身体は骨と水と肉の塊で出来ているの。

そして肉の塊こそが筋肉と脂肪の正体な訳ね。



筋肉の種類は、先ず2つよ。

自分の意思で動かす事が出来る横紋筋と、

自分の意思では動かす事が出来ない平滑筋。

 

一般的に、

関節を曲げたり伸ばしたり、

筋肉の伸縮活動をするのが前者の方ね。

そしてここにも赤、白、(最近は)ピンクの、

三種類の筋肉が存在するわ。

それぞれに性格があってそれぞれに役割がある訳よ。

鍛え方もそれに合ったものが必要よ。

 

変わって、後者の方はピラティスで鍛える事が出来る筋肉なのね。

 

そして、RANBOX と言うプログラムはその両方の筋肉を鍛える事が出来るエクササイズなの。

付け加えるならば、

その固有の筋肉にあったトレーニング要素も盛り込んでいるから、

心配機能や関節可動域、柔軟性の維持や向上も見込めるわ。

そうなると自然にそれに相応しい筋肉もついてくる。

例えば、

筋力、持久力に必要な筋肉、

心肺機能を高める為に必要な筋肉といった風に。。。

 

ピラティスで鍛えることの出来る平滑筋については、、、

 

 

 

又、風がピタリと止む。そして女の声も止まる。

 

 

 

女は限られた場所と時間の中でしか生きてゆけないようだ。

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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