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『Mrs.バタフライのお戯れ』

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その日のバタフライ邸は、珍しいことに朝から静まりかえっていた。

いや、正確には、、、

ただただ広い屋敷の、ただただ広いリビングの真ん中で、Mrs.バタフライがぽつんとひとり、肩を震わせながら、溢れそうになる下卑た笑いを必死に噛み殺していた。

「フッフッフッ・・・っ!クックックッ・・・っ!」

愉快で可笑しくて堪らないという様子で、痛くもない腹を抱えながら下品な笑いは徐々に声量を伴って響く。

そして、ある時、ついにたがが外れたように、笑い声と感情の渦がビッグバンを起こした!

「ククっ・・・ぬぅわぁっはっはっはっはっーーーーっ!!!よぉーーし!やったぞおーーーーっ!!ホラみろっ!!!よっしゃーーーーっ!!!うおおぉーーーーっ!」

まるで、未確認地底生物のうめき声のような・・・という表現がもはや正しいのかさえわからないくらいの聞いたこともない、恐ろしい地響きのような笑い声が、バタフライ邸にこだました。

その様子を影から遠巻きにそっと眺める、執事ルーベラ。

(うわあ。朝から関わりたくねぇ~。)

そんな執事が胸に抱いた小さな願い虚しく、女主人は彼を目ざとく見留めると、手にしていた新聞をずいっと彼の鼻先に近づけた。

「見てよ!ルーベラ!!!今朝の新聞にこんな記事が載っていたわ!!!」

鬼の首でも取ったようなしたり顔で、嬉々として紙面を指さすMrs.バタフライ。

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「やったわー!『Mrs.バタフライの憂鬱』は、先週特にスキを集めた創作の記事ですって!しかも、「落語はポップでもキャッチーでもない。」が公式マガジンに取り上げられたわ!」

凛々しく勇ましい勝利の微笑みを撒き散らす女主人。

「『目には目を!歯には歯を!noteの恨みはnoteで晴らさで!』だわーー!ひゃっほーい☆」

「・・・な、なんだか、よくわからないですけど、よかったですねぇっ」

この屋敷に奉仕するようになって、“愛想笑い”という特技が増えたことが一番の収穫なのかもしれないと、執事は小さく溜め息をついた。

そして、尚も独り言のように、ねちねちしゃべり続けるMrs.バタフライに、うっすら恐怖を覚えずにはいられないルーベラであった。

「(ボソッ)・・・別にね、取り下げることは仕方ないと思うのよ。(ボソッ)・・・ただね、100歩譲って、ひとこと欲しいと思うわけよ。(ボソッ)・・・ぢゃあ、さらに100歩譲って、無言取り下げでもいいとするぢゃない?(ボソッ)・・・でもね、だからと言って、わたしをブロックしなくてもいいと思わない!?(ボソッ)・・・で、タイトル替えて再掲載とかっ・・・」

・・・・・・

・・・

(こぇーよ。マジ、こえーよ。アンタ、一番敵にまわしたくないタイプだよっ!)






満足気に新聞を読み進める女主人。

「あ!なにかの企画の募集記事だわ!おもしろそうね!・・・なになに?『 #あなたの推しnote教えて 』『#旅のようなお出かけ』 へーー!いろんな企画があるのね!」

無邪気に瞳をキラッキラさせて、広げた新聞紙に頭ごとつっこんで熱心に読み漁る。


「ルーベラ!あなたも企画に投稿してみたらどう?『#旅のようなお出かけ』は締め切りが10/10までみたいだから、今から書くなら急がなくちゃね! あ。これが応募作品のひとつね!」


さらに、Mrs.バタフライが新聞をめくると『第3回 心灯杯』作品募集の宣伝記事が・・・

「ルーベラ、ありがとう。早速、第3回心灯杯の宣伝、出しておいてくれたのね!今回は年末だから、しかもこんな時勢の年末だからこそ、たくさんの人が参加してくれて盛り上がるイベントになるといいわね☆ 今回は誰でも参加できるから、みんなで楽しめるわよ♪・・・あっ!」




その時、Mrs.バタフライが目を止めた先の紙面には、なんと・・・

第2回 心灯杯 さや香賞!後日発表!

の文字が・・・!



と、同時にリリリリリリーン!と、屋敷の電話のベルがけたたましく響いた。

「奥さま、ルマンド伯爵からのお電話でございます」

女主人は、執事ルーベラから受話器を受け取った。ルマンド伯爵とは隣町に暮らすエリーゼ夫人の夫であった。名を、ルマンド・スナオ・サンドロビッチという。

電話の向こうのルマンド伯爵は、何やら上機嫌なご様子である。

「やあやあ!これはこれは、Mrs.バタフライ。ちょっと相談があるのだが・・・」

最後まで、その話を聞きいたMrs.バタフライは、あまりの驚きに目をまんまるくした。まさかそんな無謀な提案がルマンド伯爵からあがるとは思わなかったからだ。

「なんですって!?・・・でも、ちょっと・・・ううん、だいぶ楽しそう!!!・・・その話、乗った♪うふふー」




かくして、Mrs.バタフライは、ルマンド伯爵からの提案を呑むのだが、一体どんな相談だったのだろうか。この時は、まだ、“本当の”2020のゆくえを知るものは誰ひとりとしていなかった。






・・・to be continued!!!!










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