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通訳ガイドのこぼれ話

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通訳案内士の経験からのエピソードや外国人案内に役立つ話をまとめてあります
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#英語

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

通訳ガイドのぶんちょうです。
正式名称は「全国通訳案内士」です。外国から日本に来た旅行者に付き添って各地を案内する仕事をしております。

この職業はあまり知られてないようなので、ざっと書いておきますね。

ガイド期間は、数時間から数週間位まで。案内人数は、1人から数百人位までと色々です。あまり人数の多い場合はガイドが複数つきます。徒歩と公共交通機関の組み合わせや、専用車のみでの移動、団体を率いて大

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のんびりツアー願望

のんびりツアー願望

通訳ガイドのぶんちょうです。
先日の観光客はブラジルからでした。
朝の待ち合わせはホテルのロビー。

約束の時間に近づくと、そろそろ現れるはずのお客様を迎えるべく、ロビーでキョロキョロと辺りを見回します。

今日は6人家族のはずだから見逃すことはまずない。むしろ目立つはず。でもいない…。

ガイドが不安になるのは、約束の時間になってもお客様が現れない時です。

ひょっとしてホテルが違っていないか、

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全国通訳案内士試験

全国通訳案内士試験

今週末は全国通訳案内士試験という国家試験が行われます。私もこの資格でガイドの仕事をしているのですが、世間一般には、あまり知られてい試験ですよね。

試験科目は五科目。「外国語」(私は英語です)「地理」「歴史」「一般常」「通訳案内の実務」です。1次試験は全て筆記で、科目によって差がありますが、目安として7割くらい取れると合格です。1次に合格すると2次試験に進めます。2次試験は口述(面接)のみです。2

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通訳ガイドは何でも屋さん(団体編)

通訳ガイドは何でも屋さん(団体編)

外国人のガイドをしているとよく「添乗員さーん」とか「ツアコンさーん」とか「通訳さーん」と呼ばれます。厳密には全く違う職業なのですが、ガイドは添乗員の仕事も通訳者の仕事も兼ねています。

添乗員はツアーコンダクターとも言い、資格は「旅程管理主任者資格」が必要です。通訳者になるには必須の資格はありません。旅程管理主任者資格はバスなどで団体を案内するときに必要な資格なので、おそらく多くのガイドは通訳案内

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ガイドの食事場所選び

ガイドの食事場所選び

通訳案内士としての大事な仕事の一つはレストラン選びです。しかも、これが結構、難しい時もあるのです。好み、アレルギー、宗教による制約、場所、さらに人数が多いほど、これをクリアする条件に合うレストランは絞られていきます。そして、なるべく和食を選ぶようにします。

例えば、4人家族の案内をしている場合、お父さんは肉だめ。お母さんは エビ、カニなどのは甲殻類だめ。息子ナッツアレルギー。娘ベジタリアン。など

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外国人の好きなランチ、ベスト3

外国人の好きなランチ、ベスト3

来日外国人の一番人気の食事は何か、一通訳ガイドとして勝手にベスト3を選んでみました。ちなみに私の場合は欧米の方が多いです。

来日の目的が「食べること」という人はかなり多く、特に若い人の食に対する期待は高いです。「食べ倒して帰るぞ」という意気込みを感じます。それだけ日本食はバラエティに富んでいるのですね。

ガイドの苦労のひとつが食事場所選びです。それについての記事はこちらです。https://n

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もっと遊んでおけばよかった

もっと遊んでおけばよかった

これはガイドになった時に思ったこと。通訳案内士は神社仏閣、日本庭園、伝統文化などのお堅い系だけでなく、カラオケ・猫カフェ・ゲームセンター・パチンコ屋・メイドカフェなどの場所や知識も求められます。

人生どちらかと言えば、真面目に、別の言葉で言えば、退屈に生きてきてしまったので、B級な文化にあまり縁なく来てしまいました。学校の帰りや会社帰りは、せいぜい友達とお茶かご飯をするくらい。あー、もったいない

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日本で盗難にあってしまった外国人

日本で盗難にあってしまった外国人

東京でアメリカ人の新婚さんをガイドしたときのことです。最終日、銀座の有名寿司店にお送りして案内の仕事を終えました。本当に幸せそうなカップルでした。

翌日、オフで自宅にいた時に一本の電話がかかってきました。私の下の名前を言ったきり無言です。でも発音から外国人であることはすぐにわかりました。英語で応対すると、きのう、お別れをした新婚さんでした。どうしたのか聞いてみると「自分たちがどこにいるのかわから

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初仕事を振り返る

初仕事を振り返る

もう何年も前の話になるけれど、初めて通訳ガイドの仕事をしたときのことを振り返ってみます。どんな仕事も同じかもしれないけれど、ガイドも準備が一番大切です。

通訳ガイドというのは、ほとんどがフリーランスで、その多くが複数のエイジェントに登録して、そこから仕事をもらいます。初仕事は、すでにコースも決まっていて、それに従って都内を一日案内するというガイド初心者向けの仕事でした。

それまでの経験は、会社

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ガイドと神社

ガイドと神社

通訳案内士のぶんちょうです。ガイドが一番行く場所はどこでしょうか。おそらく神社ではないでしょうか。ほとんどの一般的なツアーには、少なくとも一カ所は立ち寄り場所として神社が入っています。

ガイドになってすぐに研修で行くのも神社。そこで参拝方法の説明の仕方について実践練習をします。ですので、ガイドと名乗る人は誰でも神社について、その人専門の外国語で、それなりに説明できるはずです。

でも、神社の説明

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外国人の疑問

外国人の疑問

通訳ガイドのぶんちょうです。コロナの前はバリバリにツアーをしていました。その頃、ほぼ毎回受けていた質問です。「なんでみんなマスクしてるの?」確かにパンデミックでもないのに、冬から春先にかけて特に、街を歩いても電車に乗っても、多くの人がマスクしてましたね。日本の風物詩かも。

日本では当たり前のその光景でしたが、マスクは病気の重い人がするものと考える訪日外国人(特に欧米の人)には不思議なんでしょう。

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妥協しない人

妥協しない人

通訳ガイドのぶんちょうです。通訳案内士の仕事は普通、海外のゲストの観光案内するのですが、時々変わりダネの仕事が来ることもあります。その仕事はエイジェントから「ガイドしなくていいよ」と言われていました。「ガイドにガイドしなくていいよ、って一体何をすればいいんだろう」と思いながら、いつものように都内のホテルでゲストを待ちました。

そのゲストはある企業の有名人(アメリカ人女性)とご家族だったので、ちょ

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日本文化 箸置き

日本文化 箸置き

通訳ガイドのぶんちょうです。きのうの箸の話に続き、今日のテーマは箸置きです。英語でも、そのまま 箸+休みで chopstick rest と表します。可愛いらしい形や色の陶器の箸置きを見つけると、つい買ってみたくなりなす。外国人観光客にも人気のお土産のひとつです。

箸置きの歴史について少し調べてみました。きのうの箸の話に出てきましたが、箸は神様に食べ物をお供えする神事の時に使われたのが起源でした

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東京の変貌

東京の変貌

通訳ガイドのぶんちょうです。今日は東京の街についてです。コロナによるパンデミック(世界的流行)が起きるなんて露ほども思っていなかった頃、東京の街のあちこちをツアーで歩き回って感じていたのは、「東京再開発まっしぐら」。とにかく、どこへ行っても工事中ばかりでした。

駅では長いこと覆いが被せられ、駅の喧噪がかき消されそうなほどのけたたましいドリルの音が続きました。ある日、その覆いが取れると真新しい壁や

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