短編小説 寂しいおじさんと二年後に死ぬ乙女
乙女に「おじさん」と渾名されるは快、「寂しい」まで添えられれば欣快の至りだ。こちらが独身独居とか俗世的交際ぎらいとか足腰の衰えとか公言せずとも嫋やかなる目は全部お見通しで、そんな時ほどその奥にシャーロック・ホームズばりの洞察力が冴ゆるを見るも心憎い。
「はいどうぞ」
「……先生なんか慣れてる」
「慣れてる?」
「スタバよく来るんですか?」
「たまにな」
「え~もっとあたふたするかと思ったのに~」
「なんだそれ。だからスマホ構えてたのか」
「そ。緊張してるかなって」
「緊張