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仕事を分解して働ける人を増やすワークシェアリングが根付いた理由。「得意なことを頑張ってください」

株式会社アールナインnote編集部です。
突然ですが、苦手は頑張って克服するもの。そう教わってきた方も多いのではないでしょうか。だから筆者はアールナインという今の会社に入って「苦手なことは他の人にお願いすることもできるので、得意なことを頑張って下さい」と言われた時、少なからず驚いたものです。

昔から苦手なことを、大人になって得意に変えるのは難しい。それならかたまりの仕事をバラバラに分解して大勢で分け合い、各々が得意ことだけをして全体の効率を上げる。そうして一人あたりの業務量を減らし、育児や介護で短時間しか働けない人にも仕事を行き渡らせることができたら?
 
私たちの会社の根底にあるのは、このような考え方です。いわゆる「ワークシェアリング」のビジネスモデル。今日はこの起源を、創業初期からいる取締役のJPさんに聞きます。(※新入社員から代表取締役まで全員あだ名で呼び合う文化の会社。JPさんは普段下の名前で呼ばれています)


■ちなみに何の会社?「毛皮は洗濯機に突っ込まないよね」

従業員と談笑するJPさん(右端)

――本題に入る前に、簡単に会社の自己紹介をしましょうか。私たちは他の会社の採用をお手伝いする会社ですが、具体的には?

JPさん そうね。採用を手伝うって言うと「え、そんな大事なものを社外の人がするの?」って驚く人もいるけど、全部丸投げじゃない。社内にない専門的知見や人手が必要な時だけ、外から借りて補強する形ですね。

――基本はその会社の方にしていただきつつ、必要に応じて私たちが助言したり、手伝ったりする形ですね。

そうそう。家で洗濯する時、シャツは洗っても、毛皮まで洗濯機に突っ込まないよね。そのためにプロのクリーニング店がある。全部、クリーニングに出す必要はない。普通は困った時だけ助けてもらえれば十分だよね。採用もそういうふうに難しい部分だけ社外に切り出す時代です

――コンサルティング会社も、企業の経営を良くする方法一つとして採用の戦略を立てるお手伝いをしているようです。どう違いますか?

コンサル会社は戦略を立てても、それを実行する時のお手伝いはしないのが一般的。つまり手は動かさない。私たちは、戦略作りも実行も両方手伝う採用支援会社です。人事は忙しい。戦略だけもらっても実際にやってみるマンパワーがなくて困っている。両方手伝える会社が望まれるよ。

■「得意をとことん活かす」テトリスを組み立てる

――ワークシェアリングの話に入ります。一般的に、私たちの同業者はどのようにして他の企業の採用を手伝っていますか。

「あなたはこの会社の担当ね」と決められた社員1~2人が、お客様である企業の先に常駐して、あれもこれもお手伝いする会社が多いですね。専任の担当を作って一人が責任を負う。日本の普通の働き方です。

――何か、問題がありますか?

その1人がダウンしたら機能しないんじゃないかな?あと人事は1年の半分だけが繁忙期なので、人が足りないからってうちの従業員が通年でお客様先に常駐してしまうと、閑散期の人件費が回収できないんだね(笑)
その企業が人事部員として、新たに社員を採用しても同じ問題が起きる。雇ったのは良いけど、暇な時期にしていただく仕事がないな、と。

――どうすれば良いのですか。

だからアールナインではお客様の相談に乗り、採用の悩みを解決するため計画・戦略を立てるのは従業員、それを実行するのは社外のフリーランスや副業人材の方々(2024年1月時点約1450名)に任せるモデルです。社外に「業務委託している」と言うんですが、この役割分担が最大の特徴ですね。

――どこから生まれた発想ですか。

 個人の才能や能力に依存すると危ないという考えからです。なんでもそうだけど「優秀な人が手伝ってくれれば成果が出る」と考える人は多い。でも誰がしても同じ成果を出せる仕組みを作って、最終的には相手が自立できるよう伴走する。これこそが、本当の意味でのお手伝いではないかな。優秀な1人に頼って、その方がいなくなってしまったらどうするのかな?

――業務を委託するとは具体的にどういうことですか。

うん、世間一般で採用=面接官の仕事のイメージが強いと思うんだけど、実はメール作成、日程調整、説明会、面談…目に見えない違んなタイプの仕事がある。一人で全部抱えたら、苦手なことも出てくる。だから分解。メールは文章が得意な人、説明会は大勢の前で話をするのが得意な人、面談は1対1で話すのが得意な人…とか、業務の委託先をよく考えていますね。

――仕事を分解して、それぞれが得意なことを中心にする?

そう。誰かの苦手も、誰かにとっては得意でしょう?テトリスのようにそれぞれの得意分野を組み合わせたら、働く側も楽しめるんじゃないかな。食わず嫌いしないで、まず挑戦してみてほしいけど、どうしても昔から苦手な分野もあるよね、人間なんだから。得意にまで変えるのは難しい(笑)

■創業当初は女性9割「1日3時間しか働けない」方にも雇用を

――いつから、なぜ、こうしたビジネスモデルなのですか。

2009年の創業当初からだね。現実的な話をします。ベンチャー企業って最初は経営がうまくいくかどうかわからないから、一家の大黒柱を自覚するような働き盛りの男性は、あんまり集まらないんだよね。今は働きやすさから女性の方がずっと多いけど、創業当初は女性が9割だったんです。

――女性が多いと、仕事が分解されるのですか。
 
特に多かったのが、今は育児で1日数時間しか働けないけど、昔はバリバリ働いていた。限られた時間でも再び働きたいという女性だったのね。まず正社員だけじゃなく、契約社員や業務委託などライフスタイルに応じて雇用形態を選べることが大事。そして業務委託、契約社員は労働時間に制約があるから、仕事をかたまりのまま渡しても難しい。短時間で効率良く働いていただくには得意なことをお渡しするのが一番ってところにたどり着いたよ。

――それが面倒だから女性を積極的に採用しない会社もありませんか。

そうねえ。でも、少子化で働き手が減っていく国で、長時間労働に耐えうる男性正社員しか活躍できない会社って、どうなのかな。日本の人口の半分は女性だよ。「全部、従業員でやるんだ」と抱え込まず、適切に社外に切り出すことで、従業員側も長時間労働を防止できるメリットがあるよ。育児や介護をしながら働くのは、当たり前の時代になっているからね。

――この文化の浸透を阻む障壁があるとすれば何でしょうか。

簡単に言うと、面倒なこともあるからだね(笑)
仕事を分け合うと、全体をまとめる人が必要になるでしょう。「プロジェクトマネジメント」と呼ぶ。これが、慣れないと大変だね…。

――何が大変なのでしょうか。

自分ひとりなら、自分さえわかっていればいいから、ある意味楽でしょう。他の人と共有するには今、自分が抱えている仕事を整理して、切り出せる内容をマニュアル化して人に教えないといけない。
うちは創業初期からこういうビジネスモデルだから、文化的に分け合うことが当たり前だけど「できる人に任せた方が早い」と考える会社では、なかなか根付きにくいかな。この話は奥が深いので、また色々話しましょう。

オフィス玄関前で椅子に座るJPさん

■私たちについて
採用ノウハウを持つ専門会社が、企業に代わって採用業務を担う「採用代行(RPO)」と呼ばれるサービスが広がっています。少子化や働き方の多様化による採用難、人事担当者のマンパワー不足などが背景にあります。第三者が支援することで、客観的かつ公平に候補者を見極めることができるメリットも認知されつつあります。2009年に創業した当社はこのビジネスの国内における先駆者です。これまで計約630社の支援実績があります。


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