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エッセイ

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#エッセイ

noteの人たちへの親近感

noteの人たちへの親近感

noteが好きだ。
いや、正確に言えば、noteで繋がっている方々のことが好きだ。

私はだれかの日常や思想が垣間見えるような文章に惹かれる。今日何を食べたかとか、失敗してしまったこと、過去の思い出や、心を動かされたことば、などなど。だから知らない人の日記をよく読む。noteでフォローしている人たちの日記やエッセイに触れる機会はとりわけ多いので、ちょっと知った気になって、その人に親近感を抱いてしま

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中途半端なフェミニスト

中途半端なフェミニスト

このあいだ、バイト先の社員さんに、女子の意見としてどう思う?と訊かれた。それで私はとっさに、女子代表じゃないんで、と可愛げのない返事をした。

女/男という二元論が好きではない。
女なのだから、と生き方を制限されたくない。
男なのに、と責める人にもなりたくない。

そういう思いから、私は生活において言動に注意を払っている。
たとえばnoteの記事内で、必要のないかぎりは「男友達」とか「街で見かけた

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インスタからの逃避

インスタからの逃避

私はインスタのアカウントを持っていない。
以前は作ったこともあったのだが、それもごく親しい友達10人ほどと繋がっているくらいの規模しかなく、ほとんど見る専だった。そして今年に入ってからは本格的にインスタから距離を置いた。

インスタをはじめとするSNSは、私にとって堕落と紙一重の恐怖の存在だ。嫌いというわけではない。インスタのアプリを入れていたときはむしろ、暇があれば画面を開いて延々とスクロールを

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カオスな3人の覚え書き

カオスな3人の覚え書き

去年の秋に私が出会った、奇妙な3人組との思い出を話したい。

ひとりめとはTinderで知り合った。私はその頃、ただ喫茶店でとりとめのない話ができる相手を探していた。彼はプロフィールによくわからない彫刻の写真だけを載せていて、一言にはよくわからない格言を書いていた。顔も目的も不明だったので、本当に純粋な興味本位でスワイプした。
マッチして話すと、気難しそうなプロフィールとは裏腹にちゃんとした返信を

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あの子へ贈るプレイリスト

あの子へ贈るプレイリスト

その人に似合いそうな曲を詰め込んだ、彼/彼女専用のプレイリストを作って贈りたい。これは私が、周りの好きな人たちに対してひそかに抱いている願望である。

1. わがつま「犬が通る」

それは隣に住む子に対して、わがつまの曲が似合いそう、と思ったのがきっかけだ。わがつまは2019年から活動をはじめた宅録シンガーソングライターで、彼女の曲はどれも柔らかく、心地の良い単調さを持っている。

そして、私の隣

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隣人の咳

隣人の咳

隣人の咳が聞こえている。昨日くらいから、彼女はいたく苦しそうに、ケホケホと咳をしている。深夜3時前、それに気がついた私がベッドの上で壁越しに耳を澄ませると、音はやんだ。

22時頃に彼女に会ったとき、咳大丈夫?と聞くと、うるさくしてごめんね。と返された。とても気を遣う子だと思う。別に騒音が気になったから言ったわけではないのに。

私は、こういうふうに誰かが大変な状況にあるとき、可哀想だなとか、辛い

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伝えなかった言葉や、渡さなかった手紙

伝えなかった言葉や、渡さなかった手紙

しようとしたけれどしなかったことは、自分のなかに残り続ける。

残り続けるといっても、ずっと覚えているわけではない。多分すぐに忘れてしまうことも多い。何かのきっかけでふと思い出して、また忘れる、それを繰り返していくのだと思う。

会いに行こうとしてやめたこと、帰ろうと思いながら一緒にいたこと、最後まで書いたけれど渡さずに捨てた手紙、一度言って聞き返され、「なんでもない」と濁した言葉たち。
いつか経

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