美しいもの

死のうと思っていた。

生まれて数年、青いスモックをきて、私はなんの変哲もない保育園の子供をやっていて。

周囲の全てや、無理矢理押し殺した周りから感じる殺意の明かな気配を感じながら。

何度「生まれてきたこと」を呪われただろうか?

何度「生きていること」を否定されただろうか?

「お前なんていなければ」そんな視線を何度感じて苦しんだだろうか?

***

私は生きてしまった。

腹が立って、なんでこんなに理不尽なんだと苛立って、何かを作って、何かを学んで、この歳まで生きてしまった。

今死んだって、20歳で死ぬことを決めた彼女や彼らより遥かに醜いし

もう全て遅いんだと、わかっていた。

死体になった今の自分の醜さを想像すれば、それはそれで吐き気を催すぐらいに。

***

私は醜く生きて醜く死ぬんだろう。

誰からも思いだされず、忘れられて、それでそっと息を引き取るんだろう。

そんなの悔しいから、私は特段食べたくもない食事を取るのをやめた。

せめて自分が認められる自分でいきたいと思った。

それは、多分、生まれ変わったらあなたになりたいと思った心の残滓。

真っ白な横顔と、華奢すぎる手首と、

その全てを私のものにしたいと思った、その残滓。

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