映画「ブラックスワン」美の探求の果てに魅せたナタリー・ポートマンの狂気。

秋の夜長に浸りたい映画特集 Vol.2

「レオン」のマチルダ役の衝撃で若くして伝説となった

ナタリー・ポートマンの到達点とも言える作品だ。

途轍もなく美しく、途轍もなくおぞましい。 

深淵なる美の世界の果てに

私たちは奈落の底で彼女の狂気を目撃する。

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全編、緊迫感が途切れぬまま彼女の狂気の果ての美しさを堪能し尽す。

彼女をダークサイドに導くミラ・クニスの小悪魔妖艶なインパクトも素晴らしい。

2人の感情のぶつかり合いをアップ中心の至近距離で見せつけられるので観ていて凄まじく疲れる。

ダーレン・アロノフスキー監督の執拗で悪魔的かつセクシャルな映像美。

印象的に多用される鏡に映される優等生な自分と野心的な自分の二重人格性。

白鳥と黒鳥の対極に挑戦するプレッシャーから幻覚と現実の境目が瓦解していく。

その狂気とエロスを体現したナタリー・ポートマンの凄みに圧倒された。

いつの間にかこんな凄い女優になったのかと思ったが「レオン」の衝撃度は凄まじかった。

ただ「レオン」の彼女の天才性から長い月日が経ち

この作品では堕ちていくバレエダンサーという難度高すぎる役柄を制したのは究極の努力の結晶のように思う。

あまりに見事にダークサイドの果ての狂気を描いているためにBlu-rayを持っていてもなかなか観直すことができない。

人間誰しも光と闇がある。

棒倒しのように右に倒れるか左に倒れるかで二面性のどちらにも転ぶ可能性がある。

ストイックかつ逃げ場のない過酷なバレエの世界で闇に堕ちていくリアリティ。

止めるこのできないノンストップ感が見事。当時劇場で没入し過ぎて圧巻のラストに打ちのめされた。

当時交流があったドイツで活躍しているコンテンポラリーダンサーの女性と神楽坂でこの映画を語り合ったことを思い出す。

ナタリー・ポートマン。

マチルダで伝説となった女優。

改めて「レオン」から「ブラック・スワン」2作立て続けに観たら歳月を超えて

彼女の唯一無二なる感情の迸りに胸を鷲掴みにされること間違いなし!


女性の美の探究の果ての狂気。

生まれ変わったら味わってみたい。

秋の夜長にあなたも美の深淵を覗いてみませんか?


世界に愛を届けるシネマエッセイストのクワン Q-Oneです。皆さまにとって、心に火が灯るような、ほっこりするような、ドキドキするような、勇気が出るような、そんな様々な色のシネマエッセイをこれからもお届けします。今年中に出版を目指しています。どうぞ末長くよろしくお願いします✨☺️✨