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海外で<ザ・日本人>シリーズvol. 6イギリスで評価の高い日本のモノ「意外こんなものまで?」

去年は暖冬で2017年に来英して以来、初めて雪がふりませんでした。ふるといってもロンドンの気候は東京と似たようなものなので、12月や1月に数回ふる程度ですが。かわりに今年の3月に入って、急にヒョウがふったり粉雪が舞ったのも東京に積雪があった日と同じでした。

春になるとやはり東京と同じくが咲くのですが、それも今年は例年よりひと月ほど早い2月から早々に花を咲かせていました。家の近所で初めて見かけたときにはかなり驚いたのですが、その昔、日本から桜がもち込まれた結果のようです。日本の桜は世界的に有名だと思いますが、イギリス人のママも「いつか日本の桜をみに行きたいワ」というほどここ、イギリスでもよく知られています。桜といえば桜つながりで、こんなものまで評価を得ていることを最近知りました。以下、イギリスで評価が高い「メイド・イン・ジャパン」を4分野に分けてご紹介します。

その1:日本の文具類

イギリスでSakuraといえば、cherry blossomのほかにクレヨンやクーピーでおなじみの「サクラクレパス」社製のペン類があります。メタリックカラーで暗い紙に映えるジェルボールペンは、私も中学生のころに買い集めた記憶がありますがイギリスでは

Sakura Gelly Roll pen

がジェルペンの代表的商品として売られています。トンボ鉛筆も海外ではTombowというブランドで進出しており、カラーペンの代名詞のような存在になっています。特に太ペンと細ペンが両端についているdual brush pensはクリエイターもよく絶賛しています。柔らかな消しごこちが私も大好きで、家に大量のストックがあるMono消しゴムも同ブランド。

ペンテルの筆ペンなんかも人気で、筆之助というブランドがPentel Touch brushとして展開。Posca ポスカは外国のものかと勘ちがいしていましたが、これまた三菱鉛筆の商品だったんですね。意外なことに、墨もインクがわりに重宝されていて商品名もそのまま

Sumi

として売られています。文房具のストックが切れたからといってうっかり現地の海外製品を買ってしまうと、「テープは切れない、鉛筆も消しゴムもかたくて書けない、消せない」と、その質の悪さにたいていへきえきし、日本製品の素晴らしさにあらためて気づくことがあります。

だからといって海外で純正日本製品を買おうとすると、どれも日本の2、3倍とお値段が張ります。日本人としては気軽に買う気になりませんが、現地ではそれだけ一目おかれているということですね。

その2:日本の食

日本の代表的な国産ワインと言えば「甲州」が有名で、海外のコンクールで金賞を受賞する商品もでてきたそうですが、ことイギリスにおいては日本のウィスキーがブームのきざしです。

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©︎Christmas 2019 Waitrose & Partners Drinks

Mike Gerrard というイギリスのスピリット(酒類)専門家が、雑誌の記事で次のように述べていました。 「20年前に世界で1番のウィスキー生産国はどこかと聞けば、スコットランドと答える人が多かっただろうが、21世紀の現在においては

Maybe Japan or Tasmania. おそらく日本かタスマニアである。」
(参照記事:Gerrard, Mike. “Does the best vodka come from Eastern Europe?” Waitrose & Partners Drinks Christmas 2019: 78 Print.)

実際日本のウィスキーがプレミアムな贈り物として紹介されているのをときどき目にします。変わったものでは、廃線になったトンネル内の樽で熟成された

Togouchi Blended Japanese Whisky 戸河内のウィスキー

や、ウィスキーではありませんが白米から作られた日本のウォッカ、白 Haku Vodka なんて日本でも珍しそうなものがありました。

2019年1月に高級ビール「ロンドン・プライド」などをようするイギリスの老舗ビール会社を買収したアサヒビール。そのせいもあるのかないのか、日本のビールが登場するときはたいていアサヒのスーパードライがまっさきにでてきます。

Japan’s No.1 beer is brewed using superior ingredients to deliver its trademark dry, crisp taste -known as “karakuchi”-

と、ごていねいに辛口の説明までつけて紹介されています。(参照記事:“Party drinks” Waitrose & Partners Drinks Christmas 2019: 101 Print.)


その3:日本の著名人

片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんは、近年世界的に有名になった日本人のひとりだと思いますが、イギリスでもここ数年でブームをとおりこしてすっかり定着しました。大型デパートのジョンルイスでは、2019年からスタートした近藤さんの Netflix 配信の影響で収納関連の売上が急増したそうです。(出展: Daily Mail 電子版)この記事以外にも、名前で検索するだけで驚くほどたくさんの記事がヒットするので、イギリスでもその片付け術が広く受け入れられている、という話にも納得です。

今やトキメキの代名詞とも言えるspark joyという言葉を見かけると、ほぼ間違いなく彼女に関する記述です。

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©︎April 2020 Costco Connection

最近では近藤さん自身について話題にするのではなく、

’Perhaps it’s the Marie Kondo effect in cocktails but, with so much choice, people now want simplicity’ 「近藤麻理恵効果だとは思うけど、カクテルもいまや種類が多すぎてシンプルなものが求められている」

と、とあるバーのマネージャーがコメントしたように、Marie Kondoが

decluttering 断捨離

の代名詞としてすっかり定着しているのを見て取れます。実生活でも彼女の名前はママ友との会話でよくでてきて、今日もそういえばでてきました・・!イギリスでは、それほど身近です。

他にハリウッド俳優の渡辺謙さんも、舞台『王様と私』のロンドン公演で来英しているので知っている人もいるかもしれませんが、それよりは水玉模様が特徴的な芸術家、草間彌生さんの知名度の方が上ではないでしょうか。

a carpet covered in Yayoi Kusama-like brown circles.
草間彌生風の茶色い円形で覆われたカーペット

のような表現が注釈なしで文中に出てくるほど知られていますが、それもそのはず。草間彌生さんは2012年に引き続き、今年も同じくテート・モダンというロンドンの近現代美術館にて Infinity Mirror Roomsという展示会を開催しています。現在はコロナウイルスの影響でこちらの美術館は閉鎖されていますが、幸いにも展示会は来年2021年の5月9日まで開催中です。

その4:日本の芸術と文化

最後に、ある歴史上の画家と日本の着物文化についてご紹介します。「富嶽三十六景」と言えばご存知、江戸時代に活躍した浮世絵師、葛飾北斎の代表作です。これは日本各地から見た富士山を描いた版画シリーズですが、中でも特に有名な荒波が描かれた「神奈川沖浪裏」は、これまでにおよそ5000枚から8000枚ほどすられたそうです。(参照記事:Eikoku News Digest)現存する「神奈川沖浪裏」は約100枚ほどですが、大英博物館はこのうちの3枚を所蔵し、2017年には「Hokusai: beyond the Great Wave」が開催するなど、これまで北斎に深く関わってきました。

特に Hokusaiをイギリス国民のみならず、世界中から訪れる観光客に広く知らしめているのは、同館のおみやげショップではないでしょうか。日本でもこれだけ北斎作品をモチーフにしたグッズが一堂に会しているところを、私は見たことがありません。

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リアルタイムで開催されている日本関連の展覧会としては、ロンドンの国立博物館ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の「Kimono:Kyoto to Catwalk」があります。過去400年にわたり着物が世界のモードに与えた影響を解き明かす展覧会です。

こちらの博物館(通常V&Aと省略)は芸術デザインを専門分野とし、普段からイギリス貴族が着ていた豪華なドレスや宝飾品などが常設展示されていますが、西洋以外のファッションをこれほど大掛かりに取り上げるのは初の試みです。それほど注目度が高く貴重な展覧会にも関わらず、現在は新型コロナウイルスのおかげで無期延期中なのが残念でなりません。予定では今月の6月21日まで開催ですので、1日も早く再開されることを願っています。

このほかにも日本が評価されているモノはまだまだたくさんあるはずですが、今回は芸術といった代表的なものから、文具やお酒といった個人的かたよりのある視点からまとめてみました。

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