見出し画像

【インタビュー】技能実習生をめぐる課題と今後の展望~なぜ彼らは失踪するのか?~(#プロスグループ)

初投稿の「リアルネパール訪問記」に続き、社内スペシャリストの安食のインタビュー第2弾を公開。

Gファクトリーの取締役で外国人材に知見を持つ安食に、今話題の技能実習制度!技能実習生をめぐる課題と今後の展望、普段中々聞くことができない彼らの失踪についても聞いてみました。

Gファクトリーの安食

外国人技能実習生と彼らの失踪について

―まずはG-factoryの事業の全体像を教えてください。

弊社は技能実習生・特定技能・技人国の紹介、雇用、派遣事業を運営しています。そもそも外国人技能実習生の雇用は、現地の送出(おくりだし)機関、技能実習を監理する団体(監理団体)、実習実施者(実習受入れ企業)、この三者が協働することで成立しています。もともと、G-factoryは10年ほど前から食品加工職の技能実習生を受入れており、そのノウハウをもとに監理団体を立ち上げ、他社の外国人材の受け入れに関してもサポートしてきました。

―元々は自社で技能実習生の受け入れをされていたということですね。技能実習生について、せっかく雇っても失踪してしまうということが報道でも取り上げられていることが想起されます。実態はいかがですか?

G-factoryでは、2015年11月に初めての技能実習生を受け入れていますが、それ以来失踪者は1名も発生していません。ただ他社の事例を見れば、一般的に報道されているところでもある通り、実習生の失踪というのが実習生を受け入れるにあたっての最も大きな課題になっています。日本に働きたいと思って来るが、結果的にいなくなる。これがなぜ起こるのかというところは、なかなか根深い問題があるんです。

技能実習生の来日費用について

―外国人技能実習生の来日費用はどのくらいかかりますか?

実習生は、一定の手数料を現地国で払って日本に来ています。国によっても違いますが、安いところでは15万円ほどですが、悪質で高価な手数料の支払いを求める送出機関だと100万円にもなるところもあります。この手数料の額は現地の送出機関によって異なり、この金額の差は、一概には言えませんが不当に儲けているところとそうでないところ、送出機関として実習生に対して行う教育レベルの高い機関は教育費が高くなる傾向になります。もちろん悪徳な送り出し業者の場合、教育もしてないのに教育費用が高くて手数料が高かったりもするのです。

―100万円とするとかなり大きな金額ですよね。実習生たちはどうやってこのようなお金を工面して送出機関に支払っているんでしょうか。

借金して一度支払って、その借金を返すということになりますが、それを返す見込みが立たないことがあるというのがまさに失踪の原因になるのです。仮に時給が1000円だとすると160時間働いて16万、そこから社会保険料を控除すると12万円、さらに寮費1〜2万円を控除。高いところだと寮費に5〜6万かかるところもあります。そうすると手取りが6〜7万円になりますね。入国時の手数料として100万円借金して金利もかかるので、返しても返しても借金が減らない状態になってしまうのです。実習期間の3年が終わっても借金を返せなかったり、手元にお金が残らなかったりする。その結果、突然いなくなって、違法な状態で仕事をする実習生が後をたたないのです。

悪質な監理団体とは?

―悪徳な監理団体の実態はどのようなものなのでしょうか?

例えば監理団体が実習実施者、つまり受け入れ先になる企業から10人の採用のニーズを受けたとしましょう。その採用ニーズを現地の送出機関にオーダーし、送出機関が20〜30人の候補者を集めて選抜します。この選考のプロセスの中で、不当な手数料の搾取や、業者間でのキックバックが発生するケースがあると言われています。監理団体が現地に面接に行った時過剰な接待が行われることもあり、そのような費用も実習生の手数料に上乗せされる。このような実態を日本の政府としても問題視しています。

―そんな悪徳な送出機関を、なぜ実習生たちは利用してしまうのでしょうか。

悪徳な送出機関は、不当な搾取を背景にして資金力があるので、仕事を紹介してくれる監理団体とのつながりも幅広いのです。なので、こうした送出機関の世話になることで、自分の仕事が早く決まる、というメリットが働き手にもあるんですね。1日でも早く日本で仕事をしたい方々なので、すぐに仕事が決まって、すぐに日本語学習などの教育のプロセスに入れる方がいい。それで借金して高い手数料を支払って日本に来て、その後返済がままならなくなり、失踪につながる・・・こういう構造があります。

―そのような悪徳な業者ではない、良質な送出機関に台頭してもらえるといいですよね・・・どのような対策がありえるでしょうか?

政府としてもそうした業者を取り締まるために、送出国政府との間で二国間協定を締結しています。このような協定が未締結の国に関しては新たに締結していく方向に動いています。また最近は、SNSによって悪いところが叩かれたりもしています。弊社としても、極力良質な送出機関を選定して支援していく必要があると思っています。良質な送出機関は営業力が無かったりもするので、より良い案件を準備してあげたり、教育内容について助言をしたりします。また志はあっても実習生からの手数料が少なく会社の基盤がなってなかったり、先生の教え方のレベルに差があったりするのでその辺りも我々が支援していきたいところです。

今後の展望

―安食さんの今後の展望を聞かせていただけますか?

上記のような不幸な状況が起きている中で、そのような人を減らしたいんですよね。日本できちんと生活ができて、技能や技術を習得して、かつ母国にお金を送れるような形にしていきたいなと。そのために、極力安い手数料で送り出していて、大きな借金をつくらず入国できるような送出機関と提携することで、不幸な形で日本で働く人材を減らせると思っています。我々自身が良質な監理団体として事業展開し、うまくメリットを伝えてわかってもらって、失踪も減っていくといいなと願っています。

▼プロスグループの外国人材事業についてはこちら

この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?