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8,000キロ離れた「元彼」と大雨の中で泣きながら祝杯をあげた話 💖
今年の3月、高校卒業と同時に1年半付き合っていた同級生の彼氏と別れた。
彼とは2年生の時に同じクラスになり、夏に校庭の隅で告白された。わたしも一年生の時からスポーツ万能でかっこいいなぁと思ってた人で、突然の告白にうれしくて心から飛び跳ねた。
それからすぐ付き合うことになって、席も隣同士や前後になることが多く、お互いちょっかいを出しながら楽しく過ごしていた。
3年生になってクラスが別々になってしまったけれど、SNSでやり取りしながら、毎日一緒に通学して一緒に帰宅していた。わたしの青春のほとんどを彼と過ごしたため、人生の中で忘れることのできないとても大切な存在になっている。
わたしは地元の国立大学へ進学。彼はオーストラリアのシドニーの大学に進学が決まっていた。卒業後は、遠距離恋愛も考えたけど、お互いの将来を考えて恋人関係を解消し、それぞれの道を歩むことになった。
8,000キロというのは、日本とオーストラリアのシドニーとの距離のことだ。離れ離れになってしまったけれど、SNSを通じて今でも時々やり取りをしている。
※こちらは、コンテスト #また乾杯しよう の応募記事です
わたしは、高校時代バスケットボール部で、運動することは比較的得意な方。彼は陸上部の長距離選手で足が速い。
部活がない休日などは、図書館で一緒に勉強したり、映画やランチもよくしたけど、一番多かったのは、友達からもちょっと変わったデートだねってよく言われた、
「ランニングデート」笑。
わたしの部活が早く終わって彼を待つことが多く、待っている間は彼の走っている姿を見るのが好きだった。
ある日の帰り道の会話
『なあ、明日の朝7時くらいから一緒に河川敷走らんか?』
と、彼がわたしに尋ねてきた。
「え?走る?走ったら汗かいちゃうし。。。映画見に行こうよ~♪」
『朝一緒に走ってくれたら、映画と昼飯おごってやるわ!』
「え? まじっ!? うーん... それならオッケ~♪ 約束ね~♪ 走ったら一回帰ってシャワー浴びて着替える~♪ そのあとお昼と映画ね~♪」
休日に一度、一緒に走ったことがきっかけで、いつの間にかランニングのデートが当たり前になった。わたしも繰り返し走っているうちに、走ること自体が好きになっていった。
彼の呼吸や、額から流れる汗、頑張っている姿にうっとりして、一緒に走ることが好きでいつも一緒に走りたいと思うようになっていった。
さすがに彼のペースは速いけど、いつもわたしに合わせてくれた。
一言でランニングといっても、彼のことを見て、彼のことを想って走ってるし、走り終わった後の会話の妄想とか、走っているときのフォームや呼吸、足の着地など、意識することがとても多く、
おかしな表現かもしれないけど、
走っている間はとても忙しい。笑。
走る距離は、毎回10キロで、だいたい1時間くらいだった。走った後は、近くの自動販売機で、スポーツドリンクを買って乾杯し、完走の喜びを分かち合うのが日課だった。
彼の口癖はこうだ。
『走った後のスポーツドリンクは格別だなあ』
『この喉ごしたまらんなー』
『このために走っているといっても過言ではない!』
って、ビールかよ。笑。
そんな彼も、卒業後はオーストラリアの大学に進学することが決まっていたから、大学を卒業したらまた一緒に走ろうと約束を交わした。
わたしはそれから、走ることが好きになったので、朝活として毎朝5キロを走るようになった。
そんな彼から、今年5月、SNSで
『7月にオーストラリアのゴールドコーストで、マラソン大会があるから一緒に走ろう』って言われた。
「ゴールドコースト?えっ?行けるわけないでしょ!何言っているの?」って返したら
『オンラインマラソンだから一緒に走れるよ』って。
「オンライン?オンラインでマラソン?どゆこと?」
オンラインマラソンとは
新型コロナの影響で、国内外問わず多くのマラソン大会の中止が相次いでいる。そんな中、世界中のランナーに対して、何かしら楽しく走る機会をということで。オンラインでの大会が現在流行している。
【参加方法】
①一か月くらい大会の期間が設けられていて、各自が好きなコースを好きな時間帯で走ってよい。
②大会にエントリーして専用アプリをダウンロードしてGPSで計測。
→エントリーした距離を達成すれば、記録が自動送信される仕組み。
ゴールドコーストの大会は。、フルマラソン・ハーフマラソン・10キロ・5キロの種目があった。しかもどの種目も、参加料は無料。
『せっかくだから、フルマラソン走ろうぜ!』と彼が言う。
「えっ?うそでしょ?10キロまでしか走ったことないよ~。10キロにしようよ」
『いつもと同じ距離じゃつまんないから、じゃあ、お互いの間を取ってハーフにしよう!』
「えーーっ?そもそも、そんな長い距離を走るところがない、信号あるし、坂道あるしタイムロスが出て記録がうまくとれないよ!」
「違うよ。陸上競技場を借りるんだよ。大会は一か月間あるから競技場がいつ使えるか聞いてみて!」
(陸上競技場を使うって。。そりゃ、それができれば一番いいけど、どれだけお金とられるのか。。)
近くの陸上競技場に電話してみた。地元のマラソン大会にも使用される1周400メートルある大きな競技場だ。
なんと、一日使い放題で500円!しかも、ロッカーシャワー付き。安っ!陸上競技場はイベントがない日などは一般開放している。初めて知った。
彼とも連絡を取り合い、日時を決めた。オーストラリアとの時差は向こうが1時間早い。競技場が9時に開くから、ウォーミングアップは場外で実施して、9時半スタートとした。
当日までに、まだ一か月以上ある。毎日5キロのランニングを10キロにして体力をつけていった。10キロを毎日走れるからと言って、20キロを走れるわけではない。
ハーフマラソンというと約2時間走り続けるってこと。
それは私にとって未知の世界。一度競技場で練習しようかと思ったけど、せっかくなので当日の楽しみにとっておいた。
結局、2時間走った実績がないまま、当日を迎えることになった。
7月末、今年の梅雨は長く、今日も曇り空。降水確率は30%で、今にも降り出しそうな天気だがわたしのコンディションは悪くない。
オーストラリアは真冬。こっちと同じ曇り空。
LIVE映像で連絡をとりあい、彼は寒さで震えている。真夏よりむしろ冬の方が走りやすそうだ。お互いが無理をしないように完走を目標に走ることを誓った。
カウントダウンを始めていざスタート!
スタートしてすぐに雨がポツポツ降り出した...。仕方ない。今更やめれない。
競技場を2周半したところで、アプリが1キロごとのタイムを教えてくれる。競技場もトラックのため、普段のアスファルトと違って、地面が柔らかく走りやすい。
走りながら思うことは、高校の時の彼との思い出。とにかくずっと一緒だった。そんな彼とのことを思い出しながら、走っていた。
走りながら青春を振り返るとエネルギーがこみ上げてくる。彼に対する思いが強くなる。やっぱり好きだ。離れ離れになっても好き。大好き。
いつもよりペースが速くなる。早くゴールして彼と話したい。今まで、走っているときに苦しいと感じたことはない。苦しくならないようにセーブして走っていたからだ。
でも、今回は違う。
苦しい。ゴールまでが遠く長い。
彼に早く会いたい気持ちからオーバーペースになってしまった。雨も次第に強くなる。でもあきらめない。絶対に完走してみせる!そう強く誓って腕を振る。
トラックを何度も周回しているせいか、景色が変わらずモチベーションが上がってこない。いつもは、川のせせらぎ、鳥のさえずりなどを耳にしながら、移り変わる自然の中を走っている。
苦しい中、ひとりで走るのは孤独。一緒に走りたい。そう考えた時、ふと思い出した!あっ!今、彼と一緒に走ってるんだった!
高校時代、一緒に走っていた会話などを思い出しながら走った。気持ちが楽になり後半は楽しめるようになった。
いよいよゴールが近づく。いつの間にか大雨だ!おそらく彼はとっくにゴールしている。わたしは2時間を切ることが目標だったが、雨やオーバーペースもあって大きく遅れた。
そして、やっとゴール!
初めてのハーフマラソン完走だ!!
記録は、2時間10分14秒だった。
ゴール直後わたしは、びしょびしょの芝生に倒れ込みながら、すぐに彼とLIVE映像を繋げる。
「完走できた~!!」おもわず涙があふれた。
『おめでとー!すげーよ!すげー!よくやったわー!』
『初挑戦で初完走!凄すぎるよー。よく諦めずに走った! え?画面が濡れてるけど、雨凄くない?大丈夫?』
わたしは、彼からの激励の言葉に、涙が止まらなくなった。
雨と汗と涙で映像が見れない。。倒れたままで泣き崩れた。
そう!
わたしは生まれて初めてハーフマランを走って、初めて完走したのだ。
挑戦した自分に感動し、達成できた自分に涙した。
途中で何度も歩こうかと思ったし、苦しくて諦めようと思った。
何事もやればできる!自分が大きく成長したように感じた。
『雨、凄いみたいだから、一回屋根のあるところに移動しなよ!』
彼が言う。
「いや、ちょっと無理...。歩けない...。どうせ後でシャワー浴びるからいい」
呼吸が整ってから、給水用に置いていたスポーツドリンクで、LIVE映像越しではあるけど、お互いのハーフマラソンの完走をたたえて祝杯を挙げた。
『ハーマラソン完走にかんぱーーい!おめでとう!』
大雨の中、汗と涙でめちゃくちゃの笑顔での祝杯だった!!
走っているときの気持ちや今でも好きという気持ちも伝えた。彼も同じ気持ちだった。
彼が言う
『それにしても、走った後のスポーツドリンクは格別だなあ!この喉ごしもたまらんなあー』
って、ビールかよ。笑。
『じゃあ、今度はフルマラソンの後に乾杯しような!』
「えーーーーーーーっ!?」
おしまい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
また、貴重なお時間まで頂きまして、
ありがとうございました。
今後もがんばっていきますので
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