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【注目】リーガルテックについて!AI契約審査が違法になる得る!?リーガルテックが普及するために必要なこととは!!

こんにちは!PreVenture編集部です!
6月6日にグレーゾーン解消制度によって経産省が、AI契約審査が違法に当たる可能性があると発表し話題になりました。

そこで、今回はAI契約審査が違法になる可能性があると判断された裏側や、注目を集めているリーガルテックについて解説します!

今回指摘されたポイント

今回の場合は、弁護士72条の適用範囲なのではないかとの指摘がありました。
弁護士法第72条本文は

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事 件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その 他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又 はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」

と規定しています。つまり、弁護士やその他の第3社が、法律事件に関してなんらかの形で事件の仲介役をすることで報酬を得ることを禁止しています。実際に交通事故などの事件で当事者間に入り込み、示談金を請求するようなトラブルは起こっています。

弁護士72条には法律事件が起こった際に、第三者が間を取り持つことで、手数料やサービス料を不当に請求することを防ぐ目的があります。
この弁護士72条について、今回あるサービスにグレーゾーン解消制度が適用されました。
今回の紹介されたサービスは

本件サービスは、ユーザーが法務審査を希望する契約書をアプリケーシ ョン上にアップロードし、照会者において、AI技術を用いて、当該契約書の記載内容につ き、

①法的観点から有利であるか不利であるか
②法的リスク
③法的観点から修正を検討 すべき箇所及びその修正の文案
④法的観点から留意すべき事項について検討を促す旨
⑤ 法的なリスクを数値化したリスクスコア

をいずれもユーザーの立場に立ってアプリケーシ ョン上で表示するというものである。

とされています。

このようなサービス設計について

当サービスが扱う、法務審査を受ける契約書に係る契約が「その他一般の法律事件」に関するものと評価される可能性が無いとは言えない。

と発表

そして、これらのサービス設計が、弁護士法第72条本文に記載されている、「鑑定」に当たると評価され得ると判断しました。

グレーゾーン解消制度とは

グレーゾーン解消制度の定義について、経済産業省は公式ホームページ内で
現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、事業者が安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。”としています

つまり、ビジネスや事業が規制に抵触しているかどうか曖昧な場合に、規制が適用されるかどうかを確認できる制度です。

今回はAI契約審査が、法規制の適用範囲に含まれるのではないかとの指摘があり、グレーゾーン解消制度が施行されました。AI契約審査に対する疑問の声は以前から起こっています。

今後の展開に注目が集まる

今回はある特定のサービスに向けて判断されたもので、他のサービスは今回は該当していません。指摘されたサービスと類似しているサービスを提供しているリーガルテック企業の中には、今回の件を踏まえて、ユーザー向けのコメント・文書をホームページ等に掲載している企業もあります。気になる企業がありましたら、ぜひチェックしてみてください。

今回の件を受けて、全てのAI審査が違法になるわけではありません。しかし、今後同じような事例が出てくる可能性もあります。法律、法務周辺のリーガルテックサービスは、法律に違反しないようにサービスの設計を調整する必要があります。

法務業務にまつわるサービスの精度や質は今後非常に重要なポイントになってきます。

リーガルテックとは

法律×ITのことを指します。リーガルテックでは、法律にまつわる内容をテクノロジーが代替・サポートします。

リーガルテックに含まれる法律の範囲は広く、弁護士の周辺業務だけでなく、企業間の契約や業務委託などの法務関係も含まれます。

リーガルテックの分野

2021リーガルテックカオスマップ(弁護士ドットコム)

リーガルテックに分類される分野・サービス

  • 文書作成・レビュー

  • 文書・案件管理

  • 契約締結

  • 申請/出願

  • リサーチ、検索ポータル

  • デューデリフォレンジック

文書作成・レビュー

文書作成は、契約などの文書作成において、法的なチェックポイントをおしらせし、法律面で問題の文書の作成をサポートしたり、テンプレートから自動的に文書を作成することができるサービスです。

レビューのサービスは、AIによって文書に法律的な問題がないかをチェックするサービスです。システム内に文書をアップロードすると、AIが自動的にチェックしてくれます。他の事例や蓄積されたデータから、判断することができます。

AIが自動的に判断してくれるため、社内に専門家を置く必要もなく省人化や時間の短縮になります。
一方でサービスによって扱える法律レベルが変わってくるので注意が必要です。また、AIの精度には疑問視する声もあります。

文書・案件管理

文書・案件の管理では、顧客ごとに異なる進捗を一元的に管理できるサービスです。書類の数が増え、また顧客ごとに進捗も異なるため、文書・案件の管理は非常に煩雑な作業になります。しかし、文書・案件管理のサービスを導入することで、作業の効率化に繋がります。

契約締結

契約締結のサービスは、オンライン上で契約を結ぶことができるサービスです。捺印が必要なくなり、オンライン上の署名でも契約を結ぶことができるようになったため、急速に普及しました。業務の効率化や、紙代などのコスト削減にも繋がっています。

申請/出願

オンライン上で特許の出願ができるサービスです。スタートアップ等で意外と重要なのが特許です。独自の技術はもちろんビジネスモデルも特許の対象になります。

独自の技術・ビジネスモデルを持っていることが競争優位性にも繋がるため、スタートアップ企業にとって特許は重要な存在です。

実際に、この特許をめぐるトラブルも起こっています。

リサーチ、検索ポータル

膨大量のデータの中から、必要とする過去の判例や、法律関係の情報にすぐにアクセスすることができます。情報量はますます増えていき必要な情報にアクセスするだけでも、時間が掛かります。それを効率的に行えるようにするサービスです。

デューデリフォレンジック

デューデリフォレンジックとは、訴訟において法的に証拠となる情報を見つける作業です。サービスを利用することで、対象とする媒体を分析し、証拠となる情報を見つけてくれます。煩雑な作業を省略することができます。

紛争解決・訴訟

紛争解決・訴訟の分野では、チャットツールを用いてトラブルの解決を目指すサービスが代表的です。弁護士など司法に精通した人が仲介役となってくれるメリットがあります。裁判の申し立て程ではない事件や揉め事の解決を少額で依頼することができます

市場規模

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2018年のリーガルテック国内市場規模は前年比115.2%の228億円でした。2018年~2023年までの年平均成長率は9.8%と予想されています。

また、今後は電子契約が市場を牽引していくとしています。実際にコロナウイルスが蔓延したリモートワークが増えたことで、電子契約を導入する企業が増加しました。

電子契約を提供するクラウドサインは2021年5月からの2022年5月26日発表の約一年間で送信件数が2倍に増えています。クラウドサインを提供する弁護士ドットコムは、大企業や自治体での活用が拡大したとしています。

リーガルテック 世界

ここで世界のリーガルテック事情を見てみましょう。

リーガルテック大国アメリカ

リーガルテックがもっとも進んでいる国がアメリカであるとされています。市場規模は日本と比較しても大規模になっています。アメリカでは、訴訟の証拠に電子情報も認められていいます。そのため、膨大な情報量からいち早く必要とする情報にアクセスできる、リーガルテックが普及したとされています。訴訟大国と言われるアメリカでは、法律に関する環境や文化がリーガルテックの普及を後押しした形になります。

日本が電子契約サービスが市場を牽引しているのに対し、アメリカはリサーチや検索ポータルサービス、デューデリフォレンジックサービスなどの弁護士や訴訟に関するサービスが市場を牽引しています。

Jetoroの調査によると、アメリカでは2000年代からクラウドテクノロジーやAIを活用したリーガルテック市場が拡大しています。アメリカの全体での市場規模はおよそ 159 億ドル法律事務所:94 億ドル企業法務部:65 億ドル)としています。

カナダでスタートアップが誕生

2021年の4月にカナダのリーガルテック企業であるCLIO(クリオ)約119億円の資金調達を実施し、ユニコーン企業となりました。
CLIO(クリオ)は弁護士がクラウドベースのテクノロジーを使ってより効率的に業務を行うのをサポートしているソフトウェア企業です。

他にもヨーロッパではイギリスでリーガルテックが進んでいます。
リーガルテックは国によって、弁護士や法律事務所の業務に関するサービスが普及するのか、企業法務向けのサービスが普及するのかが異なります。

注目されている理由

日本では企業法務向けの電子契約サービスがリーガルテック市場を牽引しています。

業務の効率化ができる

リーガルテックサービスを導入することで弁護士や法律事務所の業務、企業法務の業務の多くを効率化することができます。

書類の管理や郵送、不備のチェックなどの作業は煩雑な作業で、かなりの時間を必要とします。また、法律面は企業活動においても重要性が高く、ミスが許されません。細かく決められた法律に従い業務を進めても、ヒューマンエラーは起こり得ます。

しかし、AIやクラウドを活用することで、ミスの削減時間の短縮になります。

省人化ができる

AIやクラウドを活用することで、専門的な知識がなくても業務を行うことができます。そのため、専門的な知識を持った人材を配置する必要が無くなります。

また、一人当たりの扱える案件数が増えます。そのため、少ない人数で多くの案件を処理することができます。

一定の品質が担保される

AIやクラウドを活用したリーガルテックサービスを利用することで、質が担保されたサービスを受けることができます。担当者によって品質がばらつくことも無くなります。

品質が担保されているため、他の業務に時間を割くこともできます。

注意点:法律に違反しないサービス設計が必要

弁護士、法律事務所の業務に関する法律も、企業法務に関する法律も、許可されていることと禁止されていることが細かく決められています。また、法規制の緩和は段階を踏んでいます。そのため、サービスを開発・提供する側は、法律を正しく理解し法に抵触しないようにサービスを設計する必要があります。

リーガルテックの今後

日本のリーガルテックは今後も電子契約サービスが市場を牽引していくと見られます。
また、企業法務の分野で文書作成やAIレビューも伸びています。しかし、これらはサービスの品質が非常に重要です。法律とのバランスを取りながら、高品質なサービスを提供できるかどうかがカギになります。

リーガルテックは法律の規制に合わせてサービスを設計する必要があります。法律がどのような影響を与えるのかにも注目です。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はリーガルテックについてまとめました。近年あらゆる分野でDXが進んでいます。企業法務やその他法曹界もITを活用し業務の効率化や、省人化を支援するサービスが続々と登場しており注目されています。しかし、法律が規制している範囲もあり、法律とのバランスを取りながら高品質なサービスを展開していくことが求められています。

最後に。。。

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