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「生きものがいる開発」が当たり前の社会へ〈前編〉 #10環境共生型賃貸住宅「鈴森village」

こんにちは。鈴森villageすずもりヴィレッジ広報チームです。

2023年8月30日(水)、ついに待ちに待った嬉しい知らせが届きました。
鈴森villageが、LEED for Homesリード・フォー・ホームズ※¹の認証を獲得したのです。なんと、レベルは最高位のプラチナに次ぐ「ゴールド」でした!

今回のnote記事では、スタジオテラ代表のランドスケープアーキテクト石井秀幸さんに、鈴森villageのランドスケープデザイン※²について伺いました。

※¹LEED for Homes:LEEDは建物と敷地利用の環境性能を評価する国際認証制度。「建築設計および建設」「既存ビルの運用とメンテナンス」「近隣開発」など6分野に分かれており、LEED for Homesは住宅部門
※²ランドスケープデザイン:自然・まち・建物が一体となるような風景を
つくるデザイン



人と生きものが行き交う「つながりの庭」


――まずは鈴森villageのランドスケープデザインの特徴を教えてください。

石井 ランドスケープデザインのテーマは「つながりの庭」です。鈴森villageを起点として、水平にも垂直にも、人間や生きものや自然がつながっていく――。そんな思いを込めました。

建物を設計した三浦さん(建築家、スターパイロッツ代表の三浦丈典氏)は、住棟の設計や配置について「水平方向の抜け」を意識していました。例えば、元々この敷地の一部が私有地公園として地域に開放されていたことを踏まえて、北側の店舗前を東西方向に通り抜けられるようにしたのをはじめ、6棟の住棟の間の通路も縦横に抜けられるようになっています。

僕たち(スタジオテラ)はそこに、「垂直のつながり」を加えていったらどうでしょう、と提案しました。

通り抜けられる緑の小路


――「垂直のつながり」とは、具体的にはどのようなことでしょうか。

石井 鈴森villageのような集合住宅、つまり「人が集まって住む」ときの共有資産は、二つあると思います。

一つは「緑」です。地上の木が育っていくと、上の階でも緑が見えるし、隣家との視線の「見合い」を柔らかに外すものにもなる。鳥が寄ってくれば、どの階にいてもさえずりが聞こえます。緑が育っていくことで、皆が幸せになれるんじゃないかと。

もう一つは「雨水」です。1戸ではなく複数の住戸の面積を生かせば、そこに降り注ぐ雨水をシェアして緑に返すことができる。下水に流してしまえばそれまでですが、屋根から2階のプランター、2階から地面の植栽へと順番に流していくことで、水と緑のつながりが生まれます。

だから、「水平の抜け」に「垂直のつながり」を加えることで、さらに空間が豊かになると思ったのです。そこで、ランドスケープデザインのテーマを「つながりの庭」としました。

「つながりの庭」のイメージ
地上の植栽が2階からも見える

建物とランドスケープが一体となって育つ住まい


――鈴森villageでは「
雨水灌水うすいかんすいシステム」を導入していますね。

石井 雨樋あまどいを建物2階の外側に配したプランターにつなげ、3階の屋根に降った雨水を自然流下で染み渡らせる仕組みです。雨水は最終的に、1階の植栽をうるおして地面に染み込みます。

日本は雨に恵まれた土地柄なので、そういうものを最大化できる計画を考えたらいいんじゃないか、と以前から思っていました。浸水を防ぐために「雨水をいかに速やかに流すか」というより、建物や地表の緑が「雨水をまとう」イメージです。

雨水を血流のように体の隅々まで行き渡らせてから外へ出す。そんなことができないかと考えました。

1階の庇に設置したプランター
3階から2階へ流れてきた雨水は、鎖樋(くさりどい)を通って地面に染み込む

――そのアイデアを実現するためには、建物の設計も複雑になるのでは?

石井 そこが三浦さんのすごいところで、「よし、やってみよう!」のひとことで検討が始まりました(笑)。うちのスタッフとスターパイロッツの皆で、「屋根から水をどうやって流そう」と侃々諤々かんかんがくがくやってましたね。

三浦さんのもともとの設計では、2階のバルコニーがとても印象的だったので、そこからひさしを少し延ばしてプランターを置くスペースを設けることになりました。屋根と地上の間にもう1層、レイヤーが入るイメージです。

3階まで生きものが行き渡るためにも、中間層の緑は多いほどいいんです。例えば蝶は、3階のバルコニーに緑があっても、地上からいきなり3階までは行きにくい。でも2階に緑があれば、ワンクッション置いて上って行けます。

――建物を設計する三浦さんと、ランドスケープを設計する石井さんがタッグを組まないと、できないことですね。

石井 建物からどうやって庇を延ばすか、そして庇に溜まった水をどうやって流すか。この問題はシンプルに見えて、実はすごく難しい。重力で水を落としていくために、庇も水平ではなく階段状にしなくてはいけないので、三浦さんは大変だったと思います。

結果的に、建物とランドスケープが一体となったような、とてもいい状態が生まれました。僕も三浦さんも「建物が完成したら終わり」とは思っていなくて、「出来上がった後にもっと楽しくなる」ことを想像しながら設計している。そこにシンパシーを感じますね。

「三浦さんには自分と同じニオイを感じる」というスタジオテラ代表の石井秀幸さん

生きものとセットで四季を楽しむ


――2月に鈴森villageがオープンして半年。今日久しぶりに来てみたら、緑がずいぶん繁っていて驚きました。雨水を生かす構想は、以前からお持ちだったのでしょうか。

石井 そうですね。人間の力だけでつくったものには、限界を感じていました。もっといろいろな自然の力を借りることで、豊かな空間をつくれるはずだ、と。雨水もそうだし、鳥や蝶と触れ合うことで季節を感じたりすることもそう。

だから今回は、鳥や蝶が寄り付く樹木を意識的に採り入れています。例えば、シラカシやケヤキ、アオキなどは実を鳥が食べに来ます。コデマリなんかは、蝶が寄って来ますね。

シーズンごとに少しずついろんな花が咲いて、さまざまな生きものが寄って来る。日本の花って、西洋のものに比べて派手さはないんですが、生きものとセットにすることで、十分に季節を楽しめる。そんなことを考えながら樹種を選びました。鈴森villageには、全部で83種の植物を植えています。

鈴森villageのランドスケープに採用した樹種のリスト
庇は階段状になっており、重力によって水が自然に下へ流れる


――多種多様な植物をどこにどう配置するかは、鈴森village全体の将来像みたいなイメージがあって、そこからバックキャスティングで決めていくのですか?

石井 そうです。この木はどのくらいまで高くなって、建物沿いにこんなふうになっているだろうな、そうするとこの小径こみちはどんな感じになるかな…と想像しながら決めていきました。

植物の生長には光と風の環境が大事ですから、それによっても変わります。敷地に合わせて、木の高さだけでなく、横方向にどこまで枝を張らせられるか、という検討も必要です。

――鈴森villageがLEED認証を目指すうえで、ランドスケープも持続可能であることが重要だったんですね。

石井 僕はそう考えています。これから木が生長したら、落ち葉や枝をどう処理するかという問題も出てくるので、少しアクションを変えなければいけない。落ち葉はコンポストで堆肥たいひに、枝はストーブの薪になるので、欲しい人がいるかもしれません。ここから出たものを地域で循環させる仕組みにうまく組み込めるといいな、と思っています。

そうなれば、LEEDの延長上で、鈴森villageの魅力をさらに発信できるでしょう。ここにお住まいの方は、住宅を探すときに何らかのシンパシーを感じてくださった方々でしょうし、将来、他の場所で暮らすことになったとしても、鈴森villageで暮らした経験は、必ず伝播していくような気がします。

あるいは、子どもに「うちで蝶を捕まえられるよ」と聞いた近所の友だちが遊びに来て、ご家族で移り住むかもしれない。子どもは感受性が豊かだから、大人が教えられて鈴森villageのよさに気づくということもあるでしょう。

「生きものが当たり前に身近にいる環境」はLEEDを志向した鈴森villageだからこそ実現できたと思っています。多くの人に、ここでの暮らしを体験してもらいたいですね。

インタビュー当日にも鈴森villageの植栽にアオスジアゲハが降臨!

まとめ

いかがでしたか?
鈴森villageを訪れるたびに感じる心地よさは、建物とランドスケープが一体となったからこそかもし出されるものだということが、石井さんの話を伺ってよく分かりました。

〈後編〉では、石井さんがランドスケープアーキテクトを目指した理由や、鈴森villageのプロジェクトでLEED認証の取得を目指した感想などを伺います。どうぞお楽しみに!

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鈴森village広報チーム
press.svpj2022@gmail.com

鈴森villageについては以下の過去記事でも紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください!
#1 間もなく完成! 緑豊かで一年中快適な住まい
#2 本当にいい、住み続けたい賃貸住宅とは?〈前編〉
#3 本当にいい、住み続けたい賃貸住宅とは?〈後編〉
#4 私たちがLEED認証にこだわる理由とその魅力〈前編〉
#5 私たちがLEED認証にこだわる理由とその魅力〈後編〉
#6 絶賛入居者募集中のヴィレッジ内を探検!
#7 池袋へ14分、和光市でゆったり暮らそう!
#8 行政と地主の連携で持続可能なまちづくり〈前編〉
#9 行政と地主の連携で持続可能なまちづくり〈後編〉


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