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化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:アノードフリーリチウム金属二次電池に電解液添加剤は効くでしょうか?
久しぶりの投稿です.
今回は2021年,カナダのDahn教授の研究グループの研究結果を紹介します.
A. Eldesoky, A. J. Louli, A. Benson, and J. R. Dahn, “Cycling Performance of NMC811 Anode-Free Pouch Cells with 65 Different Electrolyte Fo
化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:リチウム金属負極についてもう少し
化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:リチウム金属負極についてもう少し
(2022年)新年あけましておめでとうございます.本年もよろしくお願いします.
今日はリチウム金属負極についてもう少し触れます.
近年の論文誌などを調べますと,リチウム金属負極について論文が多数発表されていることがわかります.それらのタイトルを見ますと,リチウム金属負極は実用レベルに達しているように錯覚することがあり
化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:リチウム金属負極は絶望的??
化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:リチウム金属負極は絶望的??
読者の皆様,今年(2021年)は大変お世話になりました.誠にありがとうございました.2022年も引き続きよろしくお願いいたします.
今回はリチウム金属負極について少し触れます.
以前の回でリチウムイオン電池にはリチウム金属が使われていませんと申しました.現在の携帯デバイスやノートパソコンに使われているリチウムイオン電
化学屋から見たリチウムイオン電池の不思議:電荷の非局在化
【簡単な自己紹介】
バックグランド:有機合成化学.
現在:リチウムイオン電池関連の仕事をしております.
今回は電荷の非局在化についてつぶやきます.
前の数回の中で,正極と負極についてお話ししました.正極の例としてLiCoO2,負極の例としてグラファイト(炭素)について少し話しました.中で,充電の時に正極からは電子が奪いとられ,リチウムイオンが離れていき,負極には電子が入り,リチウムイオンも入
化学屋から見たリチウムイオン電池の充放電(正極)
【簡単な自己紹介】
バックグランド:有機合成化学.
現在:リチウムイオン電池関連の仕事をしております.
前回、前々回に引き続き,リチウムイオン電池の「化学反応」について,化学の「言語」で書きたいですが,自分のバックグランドが有機合成化学に対し、現在市販されているリチウムイオン電池の正極のほとんどに無機化合物が使われています。同じ化学の中でも有機と無機は分野が違います.正しい言語で語れるかどうか
化学屋から見たリチウムイオン電池の充放電(負極)
リチウムナフタレニド
出典:dx.doi.org/10.1021/jp3118055 | J. Phys. Chem. C 2013, 117, 1257−1267
【簡単な自己紹介】
バックグランド:有機合成化学.
現在:リチウムイオン電池関連の仕事をしております.
前回に引き続き,リチウムイオン電池の「化学反応」について,化学の「言語」で書いてみます.
現在市販されているリチ
化学屋から見たリチウムイオン電池の劣化
【簡単な自己紹介】
バックグランド:有機合成化学.
現在:リチウムイオン電池関連の仕事をしております.
長く働いていると、よく聞く言い方があります.「分野が違えば、言語が違います」と.場合によっては会話が成立しないこともあります.タイトルのリチウムイオン電池についても,このような経験があります.その人のバックグランドによって,同じリチウムイオン電池についての考え方が全く違います.つぎに一つの例