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化学屋から見たリチウムイオン電池の充放電(正極)

【簡単な自己紹介】
バックグランド:有機合成化学.
現在:リチウムイオン電池関連の仕事をしております.

 前回、前々回に引き続き,リチウムイオン電池の「化学反応」について,化学の「言語」で書きたいですが,自分のバックグランドが有機合成化学に対し、現在市販されているリチウムイオン電池の正極のほとんどに無機化合物が使われています。同じ化学の中でも有機と無機は分野が違います.正しい言語で語れるかどうか自信がありません.なお,正極材料の発見の功績で,グッドイナフ教授がノーベル賞に輝きました.
 グッドイナフ教授が最初に発見した正極はコバルト酸リチウム(LiCoO2)です.この状態では,Co(コバルト)は+3価です.充電過程で,Co3+の一部が電子をとられ,+4価のCo4+に酸化されます.同時に電荷の中性を保つためにLi+の一部が結晶の外に出ていきます.その量はCo3+からとられた電子の電気量の絶対値と同じ量です.

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 しかし,とられた電子はCo3+だけのものでしょうか.そこはそうでないという研究結果があります.日産さんが高エネルギー放射線を用いた研究によりますと,酸素(O)の価数も一部変わっているといいます.CoとOが電子を分担していると個人的には考えています.(いわゆる個人の感想です).この辺の研究成果については追って紹介したいと思います.
 引き続きよろしくお願いします.

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