山田 賢治

教育学研究:ポジティブ行動支援(PBS)、ポートフォリオ式ラウンドシステム(at英語教…

山田 賢治

教育学研究:ポジティブ行動支援(PBS)、ポートフォリオ式ラウンドシステム(at英語教員がちサロン)、隂山メソッド(小中接続英語)。 児童文学:林原玉枝先生に師事。 音楽:arrows & bullets や tension notes でクラブジャズピアニストとして演奏活動中。

最近の記事

エアタイピング(シャドータイピング)は令和(ネクストGIGA)の『読み書きそろばん』になる!

ネクストGIGAスクールも助走を始めてますが、ハード面・ネットワーク面が整備されても運用面が不十分なら意味がありません。まあ、うちは高速運用するソフト(授業)にハード(タブレット)が追いついてくれてませんが。 さて、あるタイピング英単語ソフトのモニターをやってますが、最近「これはネクストスタンダードになるな」と確信したことがあります。 エアタイピングです! そういう言葉は、令和6年5月現在、まだ存在していないようですが、ようは机など何もないところで指を動かして、タイピン

    • CBL(クラウドベーストラーニング)

      前述の「学校が地図から消える日」で述べたように、Society5.0あるいはEducation5.0はVUCAすぎてまだまだ見えませんが、個人的にはEducation4.5あたりが見えてきた気がしてます。 実は今日、導入からまとめまで教室でなくても成立するようなクラウド授業を行ったわけですが、参観者や生徒と交わした言葉が自分の中でも象徴的だったなと感じてます。 「166問単語テストをしてる真っ最中に全員の進捗(得点)をタイムリーに計測できてるか起動テストをしたいので、ログ

      • 学校が地図から消える日

        公教育スクラップ&ビルドの記事を読んだ方から、 「何をスクラップして、何をビルドすべきか、したほうがいいか、しないといけないか、その基準みたいなものってどこが拠り所なんだろう・・・?」 というコメントをいただきました。 なので、少し個人的な未来予測を記録しておきます。 ミクロの視点で言えば、アンケートやしょうもない回覧を減らして、授業準備に使える時間を増やすとかいう働き方改革の話になるけど、 マクロの視点で言えば、 ・学校という場所は人間関係訓練所、体験学習所 ・カリキュ

        • 公教育のスクラップ&ビルド時代の到来

          堀内孜先生を悼んだ現代学校研究論集への寄稿より転載(一部改変)  令和は、公教育をスクラップ&ビルドする時代となるだろう。  PISA2018で長文ブログを速読する問題が問われるなど、学習内容のアウトプット方法(問い方や答え方)を変化させる必要に迫られており、(PISA2022での躍進は喜ばしいことではあるが)現行の学習指導要領や教科書、入試問題なども複雑化・高難易度化が急速に進んできた。そんな折にCOVID-19が発生し、その影響でGIGAスクール構想は加速し、教育現場は

        エアタイピング(シャドータイピング)は令和(ネクストGIGA)の『読み書きそろばん』になる!

          中国地区英語教育学会に向けての用語整理

          用語の整理をしておきます。 ラウンドシステムの中に  →本家5ラウンドとか  →ぷちラウンド(派生・バリアント)があって   →テストごと・学期ごとで区切ってラウンドを回したり   (他の教員と足並みを揃えやすい)   →スパイラル状に毎授業少しずつズラしたりする   (短期記憶が維持されているうちに繰り返す) でも「何度も繰り返したぞ」ってだけだと指導者の自己満足で終わってしまうので「ポートフォリオ」で全員の進度を日々記録し、生徒自身が次の課題を選び取って挑戦する自由進

          中国地区英語教育学会に向けての用語整理

          オールイングリッシュの功罪計算式 ~誰が長く話すべきか~

          ■例題A 教師の英語使用率100%(オールイングリッシュ) 生徒のリスニング時の学習従事率(エンゲージメント)50% 生徒の英語活動率10% ▢解答A 100×0.5×0.9(授業の9割は聞きっぱなしで集中力半減) + 10%(少しだけ英語活動) = 55学習強度(インテンシティ)ポイント ■例題B 教師の英語使用率50% 生徒のリスニング時の学習従事率(エンゲージメント)80% 生徒の英語活動率50% ▢解答B 50×0.8×0.5(授業の半分は講義だが集中力そこそこ

          オールイングリッシュの功罪計算式 ~誰が長く話すべきか~

          インテンシティを落とさない列のさばき方

          ポートフォリオ式ラウンドシステムで授業をしていると、あらゆる活動に対しこまめにタスクが設定されている関係で、様々なタイミングで生徒が発表や小テストのクリア報告に来ることになります。 そうなると列のさばき方が重要になってくるわけで、自由進度学習のクオリティを高めるには、教師側のファシリテートスキルが求められてきます。 「行列ができてもったいない!」 「もっとスムーズに回したい!」 という前向きな悲鳴(?)がよく聞こえてきます。 そこで、列のさばき方の一例をまとめてみました。

          インテンシティを落とさない列のさばき方

          ブリをつける2 ~あるいは号令の必要性について~

          学習にブリ(勢い)をつける方法について、もうひとつ。 日本人はBOW(バウ/ボウ/弓なりに腰を曲げて礼節を表すこと)をしますが、海外は握手だったりハグだったりします。 そしてバウは非接触あいさつのため、一対多でできますが、ハグを全員にして回れないので、海外の教室ではお互い声を掛け合うだけってのが多いわけです。 軍隊じゃないんだから「アテンション(注目)!」とか言わないですよね。 なので、学級規律が安定してきたら、英語科では号令を行いません。その代わり「その日はじめて、ろう

          ブリをつける2 ~あるいは号令の必要性について~

          ■終章 アイデア次第でなんでもできる時代になった!

          5ラウンドは実践研究途上の指導法であり、まだまだ改善の余地(伸びしろ)があると思っています。『英語運用力が伸びる5ラウンドシステムの英語授業』にも書かれていたように、プチラウンド制などの派生指導法がどんどん生まれることが望まれていますし、我々執筆陣も日々ポートフォリオ型5ラウンドに改良を重ねています。タブレットPCという教育インフラが整ったことで、今後も爆発的に変化が繰り返されることでしょう。ですが教員自身が自律的に指導法を学び続ける存在であれば、その熱意は子どもたちに伝わり

          ■終章 アイデア次第でなんでもできる時代になった!

          ■第2章 ポートフォリオとは何か

          ポートフォリオとは直訳で『書類一式』のことで、もともとは金融商品の組み合わせのことでした。複数の商品を組み合わせることでリスクヘッジするやり方です。 ですが教育の場面では、単純に数値化できない行動記録などをファイリングして評価するやり方として、ポートフォリオという言葉が使われ始めました。 総合や道徳などでよく使われており、OPPA(一枚ポートフォリオ評価)などの派生もあります。 本章ではポートフォリオを『総合的な英語力を一元管理するためのワークシート(またはデジタルスプレッド

          ■第2章 ポートフォリオとは何か

          ■『ポートフォリオ式ラウンドシステムで こどもが自分から英語を学びだす!』■序章~1章

          ※書籍原稿ですので、実際に書籍化された場合は削除されます。 戦後最大の教育改革で鈍器のように重くなった教科書を、いかにして学ばせるのか? 解決策は、むしろ『速くする』ことだった! 半年で教科書を3周まわした教師陣による、型破りな指導法をここに公開! 速いだけじゃない! 完全に個別最適化された、自分で学習調整して学ぶ英語教育システム! …………………………………… ■目次 序章  半年で15点アップ! その秘密とは? 第1章 5ラウンド・システムとは何か 第2章 ポートフォ

          ■『ポートフォリオ式ラウンドシステムで こどもが自分から英語を学びだす!』■序章~1章

          がちセミナー『ポートフォリオ式ラウンドシステム対談』

          英語教員がちサロンで、ポートフォリオ式ラウンドシステムについてのアンケートをしました。 ありがたいことにアンケート内容のメリット、デメリット、質問、相談などが多岐に渡ったので、サロン運営者のえざわ先生との対談の形でデータ分析をしたり、質問にお答えしたりすることにしました。 1月28日(土)21:00~22:00 がちサロンに参加(無料)してる方は、リアルタイム&アーカイブでご覧になれます。 リアルタイム参加者は、チャット欄での追加質問も可能です。 英語指導の最前線をかいま見

          がちセミナー『ポートフォリオ式ラウンドシステム対談』

          図形で理解させるリーディング指導

          英語教員の中で「日本語訳を生徒にわたしますか?」って話題がよく出ます。 でも渡しちゃうと自分で考えない。 これって、おそらく「わからない」って言われるのが怖くてやっちゃうんだと思うんですよ。 もし何らかの方法で「わかった!」と自信を持たせられるなら、訳を渡さなくてすむはずですよね。 山田は ・日本語訳せずに理解させるため ・クラスター(チャンク)で区切るスラッシュリーディングから更に一歩先に進み ・クラスターに関連性や意味をもたせる『図形分析法』 をやってます。 オススメで

          図形で理解させるリーディング指導

          ブリをつける(岡山弁)=学習に勢いを持たせる

          岡山の正月料理、とくにお雑煮にはブリが入るようです。白味噌のお雑煮で育った兵庫県民には斬新だったわけですが、今日の話題は魚のブリではなく『ブリがつく(勢いがつく)』という言葉と指導法についてです。 よく勉強法で「やりかけの問題集を開きっぱなしにして机を離れる」というテクニックが紹介されてます。 これは、すぐに再開できること、記憶が呼び覚まされやすいこと、キリのいいところまで進めないと落ち着かない感情(ブリがついてしまう)、なんかをうまく利用した作戦で、かなり使えると思ってま

          ブリをつける(岡山弁)=学習に勢いを持たせる

          予習の時間対効果

          英語科では(かつて?)オーソドックスな指導法として ・単語調べ ・本文丸写し という予習方法がありました。 これ、どれだけの学習効果があるか、誰か検証したことある人は教えてほしいんですよね。 とくにタブレットですぐに意味を検索できるようになった令和時代、(紙の辞書を引く訓練はどこかでしておくとしても)「ただ調べるだけ」「ただ写すだけ」の予習は(効果ゼロとは言わないが)かなり効率が悪いだろうと思ってます。 で、アンチテーゼですが、いきなり意味を教えて、いきなり単語テストをす

          予習の時間対効果

          行列のマネジメント

          ポートフォリオ式ラウンドシステムで授業を行っていると(自由進度学習のわずかなデメリットとして)生徒が積極的に学べば学ぶほど、発表やクリアチェックの行列が長くなる、という案件があります。 これは嬉しい悲鳴です。 生徒の学習従事率(エンゲージメント)が高いからこそ起こる現象だからです。 でも「何もせずに行列に並んでるだけ」というのはもったいないので、なんとかして避けたい。 いくつか対策を挙げてみます。 ①まとめて発表に(または見せに)来させる ②「まずは1~10番の人が来ま

          行列のマネジメント