知られざる名指揮者”ヤングさん”と反田恭平さんの姿を重ねて――絵本『ヤングさんのオーケストラ』をご紹介します!
先月上旬、ロングセラー絵本『ねずみくんのチョッキ』シリーズの作者・なかえよしをさんによる新しい絵本が発売されました!
その名も『ヤングさんのオーケストラ』(なかえよしを/作 小池敏彦/絵)です。
この絵本の原案が作られたのは今から30年ほど前。知られざる名指揮者”ヤングさん”の感動ストーリーは、長い年月を経て1冊の本となりました。
まずは絵本の中をご覧ください!
それにしても、この作品の主人公・ヤングさん。
「ヤングさんっていったい誰……!?」と思われた方もいるのではないでしょうか。一度耳にしたら記憶に残る、なんともキャッチーで素敵なお名前ですよね。
ここで絵本の中から、ヤングさんのお仕事姿を少しお見せしましょう!
華やかなオーケストラの演奏を一人でまとめあげ、ステージを堂々と後にするヤングさん。かっこいい!!
誰かがその職業を目指したきっかけって、つい聞いてみたくなりますよね。では、ヤングさんはどうして指揮者になったのでしょう? この絵本の大きなテーマでもあります。
ヤングさんは記者の質問に答えながら、記憶を遡っていきます。
なんときっかけは一人のおばあさんとの出会い! 子どもの頃の小さな出来事が、指揮者への道のりの始まりだったのです。ドラマチックですね。
ヤングさんってもしかしてあの人……?
ところで、お話を読んでいると本当にヤングさんのような人が存在する気がしてきてしまいます。もしかしてヤングさんのモデルになった人がいたりして?
ヤングさんの正体が気になった私は、なかえさんにご質問してみました。ですが、「実在するモデルがはっきりといるわけではないよ」とのこと。ますますその正体の謎が深まります。
才能あふれる音楽家となり、大きな成功をおさめたヤングさん。
自分の歩んできた道のりを振り返り、感謝の気持ちを忘れないヤングさん。
そしていつも自分らしく、ずっと音楽を愛し続けるヤングさん……。
むむ??? ちょっと待てよ、、、
なんだか、ヤングさんの人物像って、、、
「あの方」の姿と重なる気がする!!!
「反田恭平さん×ヤングさん」夢のコラボ
そう、そのとき思い浮かんだのが、ピアニスト・反田恭平さんです。
編集担当・長谷川と反田さんの出会い(もちろん一方的)は、遡ること2015年。コンサートで反田さんの演奏を初めて聞いた際のことでした。
圧巻のパフォーマンスに、いつまでも鳴りやまない拍手!! 何度もカーテンコールを繰り返した後、笑顔の反田さんが自らの手でピアノの蓋を閉めると、観客席からドッと笑いが沸き起こりました。当時の演奏、そして反田さんの姿は今でも忘れられません。
2021年にはショパン国際ピアノコンクールにて2位という素晴らしい結果をおさめられた反田さん。ピアニストのお仕事に加えて、ご自身が指揮者としてタクトを振られることもあります。
その反田さんが今、『ヤングさんオーケストラ』を読んでくださったら、どんなお言葉をいただけるだろう……?
何度も不安になりながら勇気を出して反田さんにご連絡を差し上げ、お返事を待ち続けました。
するとご多忙の中にもかかわらず快く絵本を読んでくださり、お送りいただいたコメントがこちら。既に冒頭の写真でお気づきかと思いますが、帯にも有難く掲載させていただきました!(涙)
作品に込められた、なかえさんの思い
反田さん&ヤングさんのエピソードに加えてもう一つ、この記事を書き終える前にご紹介したい文章があります。
それは絵本の最後のページにある、作者・なかえよしをさんの言葉です。『ヤングさんのオーケストラ』に込められた思いが綴られています。
実際の絵本では物語のラストとともに、なかえさんからのメッセージがじんわりと胸に広がります。これからの人生を生きていく上で、ずっと大切に心にしまっておきたい言葉です。
自分が音楽を始めたルーツをたどり、
「おばあさん」との出会いを思い出したヤングさん。
ヤングさんのお話を読んで、
自分自身のきっかけを思い出してくださった反田さん。
そしてこれからは、この本が読者のみなさんにとって大切な人との出会いや出来事を振り返るきっかけとなることを願っています。
ヤングさんのことが少しでも気になった方は、是非絵本を手に取ってみてください!♬
(文・長谷川舞)
★なかえよしをさん、過去のインタビュー記事はこちらから読めます🐭