【超短編小説】本人は幸せなので
「読みました」のメッセージで埋め尽くされたディスプレイに思わず彼女の口元が歪む。今日も力作に対して「反応」が届き、彼女はありがとうございます、とブログ上で返事を打つ。小説は他人に読まれてこそ初めて価値が生じる。閲覧数は所詮ページが開かれた数をカウントしているだけなので、中には途中で読むのを辞めたとか、間違えてタップしたとか、そういったこともあるだろう。故に正確な数字ははじき出せない。読まれてこそだ。読まれてこそなのだ。だから彼女は読了に価値を見出す。自分のサイトに「閲覧者が最