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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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2023年6月の記事一覧

【短編小説】似たものが集う

 こちらの後日譚です。  目を覚ますと既に夜だった。  重い瞼をノアがこじ開けたとき、真…

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【短編小説】死を以て伝えた先

 ××駅の近くで飛び降りた男性のものと見られるツイッターには「一生懸命働いてもチンケな給…

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【超短編小説】禍福はあざにゃえる縄のごとし

 一人のサラリーマンが、野良猫に餌をやった。いや、サラリーマンというのは正しくなかった。…

【短編小説】本当なんだって!

 コンビニバイトの給料日直後の日、昼に食べるマックが一郎の一番の楽しみだ。ボリューミーな…

【短編小説】賢者の剣 #3(最終話)

 こちらの続きです。  ラスターに駆けられた呪術は解除できたものの、ノアは酷く憂鬱だった…

【短編小説】賢者の剣 #2

 こちらの続きです。  ――よそ見をしている場合かしら!  あの一撃を回避したつもりでい…

【短編小説】賢者の剣 #1

 荒らされた例の酒場に足を運ぶと、やはりコバルトはそこにいた。ラスターはカウンター近くの椅子に腰掛けて、コバルトが銀貨を数える様子を眺めた。月の光に照らされた銀貨は、月と同じように輝く。ちょっと張り切って、本物より眩しく見えることもある。 「拠点変えないのか?」とラスターが問うと、彼は喉をグウグウ鳴らした。 「いい物件が見つかったら考えるさ」  窓の外で輝く月の様を、コバルトは気に入っていた。呪いを受けて小さな醜男に変貌する前も、この酒場は彼のお気に入りだった。  ラスターは

【超短編小説】流れの速い川にいる

 私はスターバックスの一角を陣取ってひたすらにTwitterと悪戦苦闘している。あの青い鳥の胸…

【短編小説】締切前のチョコレート

 朝は早めに起きて、まずは白湯を飲む。ポストを確認して新聞を回収。これは後で読む。  朝…

【短編小説】二十代目のXXXX

 よくやれるなぁ、というのが正直なところである。  世はソシャゲ戦国時代。黎明期に運よく…

【短編小説】「あほくさ」

 ユーチューバーN氏の新着動画「新しいメンバーが増えました!」を見たとき、ケイコは特に何…

【短編小説】怪物のオムライス -Side Cobalt-

(アングイスもぽかぽか亭のことが大好きだった。だからこそ墓参りにはなかなか行くことができ…

【短編小説】怪物のオムライス -AFTER-

(「石礫の痛みくらいこらえればよかったじゃないか!」と笑う男の影は、他でもなく自分のもの…

【短編小説】怪物のオムライス -Side xxx-

(追い詰められた人間は、大抵の場合、帰りを待つ人が居ることを忘れている) (呼吸ができずに咽せてしまった君を、指差して笑う輩を殺して何が悪い?)  ノアとラスターは、しばらくそのままでいた。互いに何か話を切り出すこともせず、じっと静寂に身を置いていた。外は相変わらずにぎわっている。ここだけが静寂に切り取られている。誰かが壁に石を投げた。心無い暴言を投げた。醜い笑い声が聞こえる。テーブルの木目が不思議な曲線を描いていて、まるで眩暈みたいだとノアは思った。こんな状況でなければ