【短編小説】賢者の剣 #1
荒らされた例の酒場に足を運ぶと、やはりコバルトはそこにいた。ラスターはカウンター近くの椅子に腰掛けて、コバルトが銀貨を数える様子を眺めた。月の光に照らされた銀貨は、月と同じように輝く。ちょっと張り切って、本物より眩しく見えることもある。
「拠点変えないのか?」とラスターが問うと、彼は喉をグウグウ鳴らした。
「いい物件が見つかったら考えるさ」
窓の外で輝く月の様を、コバルトは気に入っていた。呪いを受けて小さな醜男に変貌する前も、この酒場は彼のお気に入りだった。
ラスターは