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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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2023年3月の記事一覧

【短編小説】夢見がちな新人とギルドの受付職員

 ギルドがすいていることなどまずないのだが、今日は普段に比べれば人がいない方であった。こ…

【短編小説】憎悪、共感、理解、断絶

 閲覧5786 評価285 ブックマーク95。 「あー、この絵はあんま伸びなかったなぁ。前回のキ…

【短編小説】神絵師様が二次創作の素晴らしさを教えて下さった

 二次創作はみんな、キラキラひかって美しいものだ。  そういった風潮は神絵師様から生まれ…

【短編小説】承認欲求警察

「それって承認欲求ですよね?」  突然飛んできたリプライにB子は驚いた。先ほど完成した絵を…

【短編小説】お望みのままに

 N国には有名な花の群生地があった。優雅な白の花びらは日の光を受けると虹色に輝き、幻想的…

【短編小説】ラベンダー

 村近郊の洞窟に住み着いた魔物退治はすぐに終わり、あとは帰るだけだった。だが依頼主とちょ…

【短編小説】僕に死に方を教えてくれたおじさん

 僕は死に場所に河川敷を選んだ。河川敷には大きな木が一本生えていて、そこでなら首を吊りやすいなと思ったのだ。人通りがまばらな朝、散歩だと適当なことを言って親を騙し、僕は河川敷に向かった。うっすらと霧が出ていたが、僕には関係のないことだった。僕は持ってきた紐でわっかを作り、死ぬ準備をした。そのときだ。 「なんだ兄ちゃん、あんた死ぬのか」  僕はこの時悲鳴を上げそうになった。霧の向こうからぬぼっと出てきたおじさんは、この辺りに住んでいるホームレスだ。僕は「止めないで下さい!」と言

【短編小説】バカなウサギとかしこいキツネ

 トラに襲われ、今にも食べられそうになった若ウサギがいた。 「久しぶりのごちそうだ」とよ…

【超短編小説】慣れ

 初めて書いた作品を創作SNSにアップロードしたら、ハートを二つも貰えた。正直、ハートをも…

【短編小説】持つ者、持たざる者

 魔術学校には公営のものの他に、私設の魔術学校がある。諸事情で学校に行けなかった人や改め…

【短編小説】屋台のやきそば

 鉄板に触れたソースが香ばしい香りを一斉に叫び始める。夜をまとった夏の風が、日中の暴力的…

【短編小説】役作り

 人権団体の代表は異星人の俳優リストを持って、レイバー監督のところへやってきていた。 「…

【短編小説】星の居場所【星屑ドライブ】

※毎週ショートショートnoteの自分ルールに「410字程度厳守」があるのですが、このお話は410字…

【短編小説】趣味で塔を造る人 -最終話-

 こちらの続きです。  トルンは本当に手紙をよこしてきた。生成色の封筒に赤さび色の封蝋がしゃれている、とノアは思った。「親愛なるノア・ヴィダル様」から始まった他人行儀の手紙は、本文冒頭でその雰囲気を壊す。  ――ノア、元気にしているか? あの時は本当にいろいろ世話になった。俺はシノートの生活に馴染もうとあれこれ頑張っているところ。海鮮は旨いが、やっぱり俺は肉が好きだ。最後に食べた鹿肉の味が忘れられない。  あの森の鹿の肉が如何に美味いか、ラスターの狩りの腕がどれだけ素晴らし