つちやそうた

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最近の記事

掌編のうち二枚 ①

からっとした天気の木曜日の午後。夕飯の献立を考えているふうだった、金曜日からの勤務について考えているのかもしれない、それか、それらのことをこの瞬間は考えているのだけれど、常に頭の片隅では両親のことを考えていた。 こんなにも嘘ばかりついてどうする。 入院してしまえばこちらのもんだと思ったのだ、と言った。叱責されている最中、他人事のように感じていた、と言った。ここで涙が流れれば相手の気持ちが済むのだろうかと考えたり、ことが真っ直ぐには行えなくなる程度の大きな地震が今この瞬間に

    • henapo

       見ているものは断片で、まさにひとつの物を二つに割ったその二つの内側に向かう表面のことで。黒く尖っていたり、丸く削られていたりする、小さい石、そこには陽が当たり白く小さく泡が輝いて見え、それは岩山の落ち着かない足元を悠然と登っていく動物の毛の束でもあった。拾い上げられなかった石ころ、海辺に、浜にたどり着く頃に岩壁たちは全て小さくなっている、その無数の、数える事の出来ぬ量の、ひとつひとつを手に取り見比べたならば全ての揃いはなく、かと言ってひとつずつに記憶する程度の特徴も無い、そ

      • 浜屋・くすみ屋・コワリ屋

        機械の頭になってから目やにばかりが吹き出して困っている、集めたペン先ばかりが余っている、私の話だけで埋もれて少しずつ野菜が腐っている、もう外は寒くなっても肌着で過ごしている人と、外はまだ虫ばかりがいる。 ○ 隣のビルが相撲部屋で、おどろいた 丸い膝を突き出してにんぎょうのよう 屋上の、広いベランダで何人かの力士がタバコをすってこちらもまた人形みたく座り込んでいる、11月の朝や夜は寒いもの、昼の日光と、抜ける風で彩色豊かな着物や帯がはためいている。 ● 私たちは喜びの表

        • 南楠

          朝、海と浜、眼の二つに水分がたっぷりとあって空気が見える、肌は顔中にあってそれに空気の湿ったものが張り付いてくる、遠くにあって少し移動していた夜に見た光は船だったと思う。夜一杯に貝殻で穴を掘っていた、浜の砂は簡単に掬うことが出来た。腰が埋まる程に掘ったあたりから砂には水分が混ざって重くなっていた、頭が隠れる程に掘った頃に、浜の壁面には草の根がびっしりと繁っていた。その根を貝殻を持っていない方の手で引っ張ってみる、根に付いた土が湿っていた、海が絶えず動いているのが聞こえ続けてい

        掌編のうち二枚 ①

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        • 眠枕
          11本

        記事

          眠枕3

          久しぶりに親と寝て 家はとても改築されていて、間仕切りの豪華なこと。 一回に降りると親戚姉夫婦がいて、 プリンターはレーザープリンターと合体している、紙を3枚吐き出したあとに、手のひらにのる大きさの数字の4と1と2をそれぞれの色でころりと転がし出した。 ペペはエサが出ると器に顔から突っ込んで半狂乱で逆立ちしたりしながらこれも笑顔で飯を食う。ペペは白い服を着ていた。もう一匹の名前はちゃんと思い出せなかったが、灰と黒のしましまの 裸のわたしは二階へ上がることを促される。 握っ

          眠枕2

          いろんなところが青味がかったボロアパート、古い古い病院とも見える、 一階の隅に立ち食いうどんやがあり、僕は初めてのようだった、彼女は慣れていて注文をすぐした。うどんが出てくるのはパチンコ屋の景品交換所と同じ窓口システム。割り箸を割って食べる我々は全裸。 3人で暮らしている、彼女の部屋だけが分かれている、私と友人は畳が繋がった部屋で横机にたくさん物が載っていて、友人はパソコンで映像を作っている、その背中を僕は一段上がっている襖絵が取られた仕切られていない畳の部屋から見ていた。

          ダグズ不動

          1.ダグズ不動 (病気の名称?血管のことだった気がする) 2.足音 友達寝坊だって 3.足音 だれ?? タオル投げてくる 顔を近くに 身長でかい金髪ツインになってる 1、2、3、との間には驚いて目を開けたように感じていたがどうなんだろうか、ずっと目を閉じていたには違いはないが ずいぶんと昔の人の日記が、穴を掘ると出て来て、紙と紙が貼り付いていて、何枚かを引きちぎっていて、読めなくなったが、その残りを友達に披露するための練習をしている、私は、穴の中は、この穴の中へ来たと

          拝む仕草

          思っていたよりもずっと大きい建物で講習を受ける、(エヴァの都市みたいだと言った山も見えます)険しい顔で人の流れを整理している者が居ます(ずっとそういう仕事をしています)、「どちらですか」「行政手続きです」(ですが、ぼんやりしています、) 4階で挨拶をして 5階でお金を払って 6階に1日中居る 声の小さい女性が後ろにいて、それにいちいち駆け寄り、「事故?人を傷つけましたか?という質問です、でしたら、まるをですね、違いましたら、次の欄の、はい、はい、でしたら、」 自販機でパ

          ずっと住む団地の、ずっと住んで居た団地の、外壁の壁や階段の段寸を数えて、冷ややかなドアノブに手をかける、風呂場から聞こえる違う風呂場の音、夕暮れに砂場から声も聞こえ、雑誌を捨てるための大きな鉄のケージは3人で入れる、エロ漫画をそうとは知らずに読んでいて、全く理解はしていないにしろ興奮している、これが興奮だというのは横にいる上級生の顔色から思うのであって、これが興奮だとは知らない、   目配せしてみる左利きだから、あたるかな、バケツを忘れました貸してくれると嬉しいな。筆は持って

          鋭鈍

          余りにも明るいもう見えないばかりかはっきりと見え(昼は農耕者も見ない)。 白い車が速く走っていて前も後ろもなくすっ飛ばしているが、背中のコンクリートは見えないにしろ背中では分かっていて長い時間ここには座っていたくないし、持たずに出たから視界もぼやけていて、トラックの振動がやけにはっきりと分かり、鳥が泣き始める前にはどうにかしたいと分かる、全くもって誰もいない、その翌日の夜勤でエーは溶解炉のアカ掃除で右足を突っ込んで、腿の筋肉は焼けて爛れるアルミを溶かすものに身体を溶かされる、

          覚盆

          腹を出して寝て、腹を出さずに寝て寝ているうちに腹を出して、寝て、はっきりと朝になっていて、喉が渇いたのではないか?水はコップにありますよ ああ  あくまでひとりで目が覚めて腹をだして寝て、この子、シャツがもう小さいのではないか? 立っている扉の前とその扉のクリーム色 集合団地の露出した階段で猫を追う幾つかのチームのひとつに属して、袋を被せるのが役目であり、あくまでも遊戯、我々は猫を苦しめる気は毛頭ない、 (ずっと夏の太陽の位置にカメラがあってそこから観ている) 引越しをす

          眠枕

          地下高校(コンクリとやたらに高い天井と灰の色の階段) 男子のたむろ(ぶっちゃけどのくらい美人だと思ってるよ)上 悪い女子3人組、当回しに聞いてくる 「っていうとさー、ほらー、あたしらの因縁の?伊藤先輩とか?」嫌味な言い方で 「ああ、あんり?」あえてさらっと言う たじろぐ女子3人組 料亭で食事をしたい人(私?)(女性?) 料亭の広い庭から中へ入ろうとするが入れない、中居さんのような人「○○○がいないのでしたら、今日は作られまへんと、言うようなもので御座いますね」 料亭の庭と