ライチ
「ライチ」と聞いただけで、あの漫画タイトルが思い浮かぶという方は多いはず。
今回はサブカル好きの間では欠かせない作品である、あの漫画についてお話します。
※ネタバレは極力避けていますが、何も知らない状態で作品を楽しみたいとお考えの方は、作品名を確認後その先からは読むのをお控えください。
作品について
ライチ☆光クラブという古屋兎丸さんが描かれた漫画作品をご存知でしょうか。
太田出版の「マンガ・エロティクス・エフ」33号から39号に掲載された作品で、原作は東京グランギニョルの演劇「ライチ光クラブ」(1985年、1986年)が元になっています。
「ライチ☆光クラブ」の初版は2006年発売され、2011年にはライチ☆光クラブよりも以前のことについて描かれている「ぼくらの☆ひかりクラブ上」、2012年には「ぼくらの☆ひかりクラブ下」が発売されています。
参考⇒ ライチ☆光クラブ
☆その他古屋兎丸さんの作品に関する記事
・球体関節人形の物語(アマネ†ギムナジウム)
・「されたい」物語 (女子高生に殺されたい)
個人的な思い出
どういうわけかこの「ライチ☆光クラブ」の存在を知らぬまま数年が過ぎていたある日(もっと早くに知っていてもおかしくなかったはず)、本屋で仕事をしていた際にこの作品を見つけ、表紙を見ただけで衝撃が走りその日のうちに即購入したおぼえがあります。
なぜ衝撃が走ったのかというと、何も怖いものは描かれていないのにも関わらず不気味な人物たち、セピアのような古く深い色合い。
明らかに本一冊から危険なオーラを感じたので、ヤバそうなものに魅かれてしまう私としては大興奮で、0時~1時頃という夜遅くに帰宅したにも関わらず、深夜から本を開きました。
読み始めると止まらない。
なぜ私は深夜から読み始めてしまったのかと自分を呪いそうになりましたが、深夜の静かな時間にこそ読めてよかった。
多感な時期の学生が鬱蒼とした日常生活の中で、人には言えない大きな計画を確実に叶えるために、人間界で言うところの“道徳”なんていうものは無視して実行していきます。
その鬱蒼とした日常とは裏腹に、少しだけ人間らしい性を見せた耽美な行動が、工場の煙に覆われた薄暗い螢光町の街並に一輪だけ咲いた毒の花のようなものに感じられ、残酷で美しい世界でした。
結局その日のうちに一冊を読み切ってしまいました。
サブカル人間の教科書
私は「ライチ☆光クラブ」の作品を知るまでに時間がかかってしまったということもあり、この作品の認知度などについてもそこまで詳しくなかったのですが、
サブカル好きの本棚には必ずといっていいほど並んでいる教科書のような存在であるということを後々に知りました。
本当に誰の本棚にも並んでいるので、「もし私がこの作品を学生の頃に手にしていたらどうなっていただろうか」ということを考えると、恐ろしいものがあります。
(例えば気軽に取り入れられる要素として、星はついていなくとも手袋を嵌めて学校に行っていたかもしれません。ただでさえ日傘をさして登下校していたのに......)
音楽では世界観に浸れるような作品に既に出会っていましたが、漫画にはまだ出会えいなかったので、ライチ☆光クラブが趣向の原点になったのではないかと思います。
もちろん「ライチ☆光クラブ」を読み終えてからはすぐさまネットで検索し、「ぼくらの☆ひかりクラブ」の上下巻も見つけて秒で追加購入しました。
久しぶりに読み返そうかと思います。
物語の中では「螢光町」とされている工場地帯は、川崎にある大規模工業地帯「夜光町」が舞台になっているそうです。
あんな大規模な工場夜景、一度生で見に行ってみたいものです。
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