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木葉功一
2020年5月31日 14:29
数人の仲間と旅をする気候の暖かい都市を巡る歩いてワープしまた歩く北アフリカのカスバで靴を盗られるまあいいやと思って笑うまあいいよと仲間が言うベトナム北部の山間の寒い都市へワープするみぞれの道を裸足で歩くひんやりした感触が爽やかだ橋の上で民族衣装を着た壮年の貴族の女性と出会うその人の家に招かれる長毛の猫が何匹もいて暖かい部屋で眠っている朝になってその家の人達と大きな食堂で食事
2020年5月28日 22:30
かつて友人だった作家に自分が作った作品をどう思うか訊いてみたかつての友人は不機嫌になりもうつきあえないと去っていった後ろ姿が手紙になった三枚の刃がついたハサミでざくざくとそれを切り刻んだ眉間が虚空とつながって瞬くように青く輝く三角形の輪郭が三つ智慧の環のようにカチャカチャと重なったり組み合ったり離れたりしたキャキャキャ、キヤキヤ、キヒリクと金属的な声がしたオリオンの三
2020年5月28日 05:32
ガ・ギシ・ガリゴリ・ゴ・キリリ平屋の日本家屋に住んでいるこの家にはお客が泊まっている東ヨーロッパから来た人たちで黒髪の青年と金髪の女性とアフリカ系の少年だ昼間にステイし夜になると出かけ朝になると戻ってくる彼らが家を出た後に姿の見えない『いつもの奴ら』と和室の広間で料理して食べたり居間で小便をしてみたり色んなことをして一晩遊ぶ朝までに掃除が終わらないガ・ギシ・ガリゴリ・
2020年5月25日 03:55
バイトしていた居酒屋に、 置いていたオートバイを取りに行く。 苦手だった板長が出てくる。 会話を噛んで笑われる。 オートバイは部品が壊れている。 居酒屋の裏が工場になり、 工員が出てきてレストアが始まる。 死んだ父親も出てきて見ている。「バイクが修ったら親父も乗れば」 と話しかけると父親が微笑む。 すると山奥の村にいる。 道の真ん中で数人の村人と石橋蓮司が騒いでいる。
2020年5月24日 23:19
洞窟の中にいた。 シャム双生児の女性になっていた。 片方の自分の肩の上に、 白髪白髭白装束の大柄な老人が手をおいた。 老人の姿にはカーキ色の軍服が重なって見えていた。 日本軍の軍服だ、と思ったところで目が醒めた。 醒めた。 醒めた。 醒めた。 五回続けて夢から醒めた。 ベッドの横にローチェストがあって、 ラップ音が激しく鳴っていた。 一番下の引き出しを
2020年5月23日 06:38
ダンボールの空箱の山を登っている。 こういうところを歩くのは得意だ、と思って進む。 登っているつもりで降りている。 大理石の床に立っている。 そこは中国の奥地の大都市で、 日本と中国が共同で作った迎賓館の中にいる。 別れた妻とそっくりの女性が建物の中を案内する。 ベランダに出ると高原が広がる。 夜になって皆既月蝕が始まる。 月蝕は青白く美しい。 口の中に豚の角煮の食感がする。
2020年5月19日 22:17
江戸の町並みを歩いていた 大きくて真っ黒な牛の群れを連れて 和服とは異なる着物を着た 屈強そうな男たちの一行がやってきた 町人たちに向かって「牛をとれ、連れていっていいぞ」「とらないのか」 と声をかけながら歩いていた 男たちは目の光が強く 髪と肌が艷やかで 生命力に溢れていた 町人たちは畏れて近寄らなかった 侍たちも「構うな、通せ」 と言いながら一行から距離を置いてい
2020年5月18日 20:21
爆撃を受けて荒れ果てたコンクリートの街にいる。 瓦礫が転がる道の上を滑るように飛んでいく。 かさかさに乾き切って一滴の水もない。 半壊した倉庫に入って床下の換気口に吸い込まれる。 きらきらきらと闇が光る。 ぴうぴうぴうと風が鳴る。 和洋折衷の古い洋館の大きな庭園のパーティに着地する。 華やかに着飾った客たちが朗らかに語らっている。 いくつも小さな池があってすべてに橋がかかってる。
2020年5月15日 19:42
繁華街のバーへ行く。 空気も雰囲気もすごく悪い。 カウンターでビールを飲む。 両隣の客に服を脱がされ、尖ったモヒカンに整髪される。 オレンジのアクセントが入った金色に輝くモヒカンだ。 背後から腕が伸びてきて革ジャンを着せられる。 こういうことじゃない、と憮然とする。 存在の芯から酔いたいのだ。 バーテンに手招きされて、カウンターの内側へ入る。 奥に躙り口があり、這うようにしてく
2020年5月11日 19:55
地下のスタジオでヨガのレッスンを受けている。 インストラクターはインド系の女性だ。 黒い髪をシニヨンにまとめ、褐色の肌で、黒目が大きい。 鳩のポーズを決めたまま、じっとこちらを見つめている。 ミンタカ、という言葉が浮かぶ。 彼女の名前なのだと思う。 マンションの隣人の部屋へ遊びにいく。 自分の部屋と鏡写しのレイアウトだ。「前の家から持って来た」と言って、隣人が網戸を指差す。 三
2020年5月8日 22:20
入り組んだ路地を歩いていた。 何かがこちらへ飛んできた。 手でつかむと小さなUFOだった。 大きな目玉がついていて、ギョロリとそれがこっちを見た。 角を曲がると黒い煙が出ていた。 どんどん増えて、どろどろ濃くなり、あっという間に路地を埋めた。 道を戻って全力で逃げた。「ガソリンを撒いた」という声が聞こえた。 あはは、あはは、と笑っていた。 路地の外へ出て「危ない、逃げろ」と大声
2020年5月6日 20:54
冬の夜空に青い星を見た。 きらきらと冷たく輝いていた。「あの星はもともと赤かった」とオートバイを走らせながら思った。 星はどこまでもついてきた。 家に戻ると宅急便が届いた。「すでのもけどとおのらかスウリシ」 箱には少女が入っていた。 首から上のない体だった。 どうしよう、と胸に手を当てると、ズブリと沈んで何かを掴んだ。 引っぱると母親の頭が出てきた。 少女の首に当てたが合わな
2020年5月4日 17:04
公園に行くと砂場で自分が燃えていた。 すっかり炭化して中身が空になっていた。 遊んでいた女の子が、片手で持ち上げて振り回した。 抜け殻がパリパリと崩れて散った。「脱皮したんだな」と思い、嬉しくなって自転車で走った。 白い歩道をすいすい進んだ。 園服を着た幼稚園児が一列に並んで歩いていた。 近寄ってみると子供は一人で、残像を残しながら、同じところを何度も歩いていた。 自転車を止めて
2020年5月3日 17:12
「がっかりだ!」 と耳元で怒鳴られ、頭を平手で叩かれた。 痛い!と思った瞬間に、高い空を落ちていた。 さっきまでの自分から引き剥がされて、ここへ放り出されたのがわかった。 何度か雲を突き抜けると、眼下に大きな川が見えた。 長い橋がかかっていた。 水は透き通ってきらきらと光っていた。 水面が迫って頭から落ちた。 沈んで水を呑み、もがいて浮かんだ。 無数の死体が川面にみっしりと浮いて