![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26598812/rectangle_large_type_2_0c79d62feab24cf6dee520aa03baedd2.png?width=800)
ソムニウム(10)シャム双生児と緑の蛾
洞窟の中にいた。
シャム双生児の女性になっていた。
片方の自分の肩の上に、
白髪白髭白装束の大柄な老人が手をおいた。
老人の姿にはカーキ色の軍服が重なって見えていた。
日本軍の軍服だ、と思ったところで目が醒めた。
醒めた。
醒めた。
醒めた。
五回続けて夢から醒めた。
ベッドの横にローチェストがあって、
ラップ音が激しく鳴っていた。
一番下の引き出しを開けると、
緑色の大きな蛾が何十羽も羽化していた。
あわてて閉めたが、一、二羽外へ出てしまった。
どうやらすべての引き出しの中で、
蛾がみっしりと羽化したようだ。
布団とベッドを片付けてから処理しよう、
と考えながら、起き出して洗面所で歯を磨いた。
鏡に映った自分の両目が、
大きくなって輝いた。
(終わり)
長編小説は完結するまで、詩は100本書けるまで、無料公開しています。途中でサポートをもらえると嬉しくて筆が進みます☆