ソムニウム(4)天空バス
入り組んだ路地を歩いていた。
何かがこちらへ飛んできた。
手でつかむと小さなUFOだった。
大きな目玉がついていて、ギョロリとそれがこっちを見た。
角を曲がると黒い煙が出ていた。
どんどん増えて、どろどろ濃くなり、あっという間に路地を埋めた。
道を戻って全力で逃げた。
「ガソリンを撒いた」という声が聞こえた。
あはは、あはは、と笑っていた。
路地の外へ出て「危ない、逃げろ」と大声で叫びながら走った。
真夜中の坂道の途中で休んだ。
照明を消した回送バスが、坂を滑るように走ってきた。
窓が真っ黒で中が見えなかった。
通り過ぎた後の道に、大量の靴が落ちていた。
ゾッとしてバスの方を見ると、坂道の下で宙に浮き、オリオン座へ向かって飛んでいった。
ぞくぞくと悪寒を感じながら、地下道を見知らぬ人と歩いた。
「あのバスが恐ろしい、もう少し一緒にいて下さい」と頼むと、その人が手を差し出した。
オレンジ色に光っていた。
握手すると自分の手に光が移った。
「もう大丈夫」と言って、その人は居酒屋に入っていった。
後に続いて入ると友人たちが飲んでいた。
ああ、ここがあった、と安心した。
酔っ払って合気道を使って見せた。
猿のようにぴょんぴょん跳ねた。
あはは、あはは、とみんなが笑った。
(終わり)
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