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ソムニウム(13)オリオンの三姉妹


かつて友人だった作家に
自分が作った作品を
どう思うか訊いてみた
かつての友人は不機嫌になり
もうつきあえないと去っていった
後ろ姿が手紙になった
三枚の刃がついたハサミで
ざくざくとそれを切り刻んだ
眉間が虚空とつながって
瞬くように青く輝く
三角形の輪郭が三つ
智慧の環のようにカチャカチャと
重なったり組み合ったり離れたりした
キャキャキャ、キヤキヤ、キヒリクと
金属的な声がした
オリオンの三姉妹だとわかった
ハサミは彼女たちなのかと思った
冴え渡った空の下
流麗な白い山がそびえ
手前に赤い椿の花が
斜めに三つ咲いていた
右上の花を摘んで食べた
血とオレンジの味がした
自分の方が食べられていた
いま、ミンタカのおなかの中にいる

(終わり)

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