ソムニウム(7)古代魚の庭園
爆撃を受けて荒れ果てたコンクリートの街にいる。
瓦礫が転がる道の上を滑るように飛んでいく。
かさかさに乾き切って一滴の水もない。
半壊した倉庫に入って床下の換気口に吸い込まれる。
きらきらきらと闇が光る。
ぴうぴうぴうと風が鳴る。
和洋折衷の古い洋館の大きな庭園のパーティに着地する。
華やかに着飾った客たちが朗らかに語らっている。
いくつも小さな池があってすべてに橋がかかってる。
池の中を覗き込むと古代魚がたくさん泳いでいる。
ダンクルオステウス、ヴェンタステガ。
ディプノリンクス、エウステノプテロン。
ハイネリア、 クラドセラケ、 ビルケニア。
足場がどんどん高くなって堤防の上に立っている。
はるか下に海があって無数の魚影が動いている。
夕陽が沈む荒れた海で巨大なパンデリクティスが跳ね上がる。
それを狙って漁船に乗った男たちが銛を投げる。
きらきらきらと銛が光る。
ばくばくばくと胸が鳴る。
獲った古代魚を担ぎながら裸の男たちと海岸を歩く。
あるわあるら、ほう、あるらあるり、ほう、
しゅきるきん、さきりきん、とみんなで歌う。
(終わり)
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