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海外生活振り返り日記-ニュージーランド前編-#20

新学期とホームシック

 クリスマスホリデーも終わり、学校が始まると皆新しいクラスへと進級した。
 知っているクラスメイトは3、4人程度となってしまったがクラスも入れ替わったり新しい人たちが入ってきたりして新鮮だった。色々な国籍の人たちが入って来たがこの時期はタイとスイスからの生徒が多かった。
 午前中は相変わらず文法の勉強をし、午後は選択授業となった。ライティングとリスニング、リーディング、カンバセーション、ボキャブラリー等の中から二つほど選択して週に2、3回ずつ交代で授業が組まれた。私は文を書くのが苦手なのと、早く英語を話せる様になりたいという事で、ライティングとカンバセーションを選択した。因みに日本人はよく、ライティングが得意で話すのが苦手だと言われていて先生方もそれを知っているので、日本人は大抵ライティングテストはいつでも満点だと言っていた。しかしながら私は何よりライティングが苦手な上に単語のスペルも中々覚えられないので苦戦していた。ライティングを伸ばしてければ本を沢山読めと言われたが本は日本語の本さえも読むのが苦手で、ライティングとリーディングの授業はいつも大変だった。
 午前中の先生はブラジル人女性で腕にタトゥーの入った陽気でハキハキとした先生で、午後のライティングとカンバセーションの先生は南アフリカ出身でブロンドヘアーの若い女性の先生だった。
 ある午後の授業の初めに、先生が生徒達に色々と質問をした。ニュージーランドの物価について高いと思うか安いと思うか。あなたたちの国では何の職業が人気で、何の職業のお給料がいいか。ニュージーランドの気候はあなたたちにとって過ごしやすいか、そうではないか。そして最後に今ホームシックの人はどれくらいいますか。という質問でどれも聞いていて興味深かった。
 職業についてはタイの子が将来フライトアテンダントになりたいと言っていたが給料は安いと言っていて、他の国でもこの職業は割りかし給料は低いとされていると話していた。私の考えが古いのかもしれないが、フライトアテンダントと言ったら高収入というイメージがあったのでそのギャップに驚いた。
 それから最後の質問のホームシックかどうかの質問の時、先生がホームシックの人は手を上げてと聞いたら男女国籍問わず私以外全ての人が手を上げたのでとても驚いた。こんなにも多くの生徒がネガティブな気持ちの中で頑張っていたのかと。もしも親がお金を出してくれて親の勧めで留学に来ていたらホームシックになるかもしれないなと思ったが、毎日楽しく過ごしていたのは私くらいだったという事にこの時初めて気がついた。
 とても残念だったのは、私と同じ日に入学した日本人の女性がホームシックを患って日本に帰ってしまったことだ。同じクラスではなかったので殆ど会うことはなかったが、たまたま職員室の前を通った時その人と先生が深刻そうに話しているのを見かけた。私も同じ日本人だったので呼び止められて話を聞いたら、最近ホームシックになってしまってもう帰りたいと先生に相談していたのだった。先生からは一度休学して南島でも旅行してリフレッシュしてみたらどう?と言っていた。私もそれは良い考えだと思って勧め、その時はその人も考えてみると言って話を終えた。
 後日どうなったか気になって連絡してみたら、やっぱりもうだめだと言い、既に数ヶ月先の授業料は払ってあるけど帰ることにしたと言っていた。まぁ私でも落ち込んでいる時に一人で南島を旅するのは逆にしんどいし、合わなかったら帰っていただろう。ホストファミリーとの相性も関係していたのかもしれないが何だか残念な気持ちになった。
 そんなしんみりな出来事もあったがこうして新学期は幕を開けた。


新しいクラスメイト

 午後のクラスは選択授業なので他のクラスの人たちと一緒になる。なんだか午前中のクラスメイトよりも各々個性が強い。
 初めてのカンバセーションの授業では、二人一組になり、自己紹介がてら決められた質問をしてそれに答える練習をした。机は円になるようにぐるっと繋がっている。生徒は机を挟んで向かい合わせに座り、3分くらい話したら席を横に移動してまた同じ質問をする。まるで街コンのようだ。
 このクラスには3人スイス人が居た。この人たちは何でこのコースを取ったんだと言うくらい、紙も見ずにペラペラと会話ができていて先生にもジョークを言えるくらい話せていた。しかし書くとなると、てんで駄目だと言っていたのでとても不思議だった。
 この中の一人がちょっと怖かった。初めはいつも笑顔で優しそうという印象だったが、後から考えると最初の授業の自己紹介の時から違和感があった。何の本を読むかという質問で彼は、兵隊の本や銃などの武器の本、犯罪についての本を読むのが好きだと言っていた。話している時は皆まだ英語初心者なので違和感を覚えづらかったが、ワッツアップというLINEの様なアプリで学校以外で連絡を取っていた時、一度異様なメッセージが送られてきた。
 初めは軽く挨拶程度の連絡をしていたのだが、段々と一つのことに対してしつこく、何度も同じ様な事を聞いてきてエスカレートし、終いには画面いっぱい埋まるほどの大量の不快な絵文字が繰り返し送られてきた。これにはぞっとして次の日の朝先生に相談してその日の授業から急遽クラスを変えてもらった。後日たまたまその人に会った時は何も無かったかのような態度だったので、私がクラスを変えた原因に気が付いていない様だったのでホッとした。
 話はもう少し続く。ある時期、日本人の大学生が大勢2週間ほどの短期留学にやってきた。クラスもレベルも違うので話したことはなかったが、水曜日のバーで何人か見かけた。そしてその時楽しそうに話していたのがあのスイス人の青年だった。
 次の日学校のカフェテリアでその日本人たちが日本語で話しているのが聞こえてきた。どうやらあの青年とキスをしたらしく嬉しそうに話していた。このまま長期で滞在するなら気をつけた方が良いよと言ったかもしれないが、翌週には日本に帰るらしかったので、青い目の男とキスをしたという思い出ができてはしゃいでいる女の子に帰り際に変なことを言って後味悪い嫌な気分にさせるのも気が引けて何も言えなかった。

 今回は少し暗めな話になってしまったが、留学生活にはこんな事もあったよというメモ書き日記でした。

つづく


おまけの英語
先生に相談する前に調べた英語
depressed (I'm depressed)
これを全面に出してクラスを変えてもらえるよう訴えた。

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