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港町チャナッカレを歩く マルマラ海沿い街道の旅★2019(9)

友人Mの自宅でチャイを飲み、一息入れてからチャナッカレ(Çanakkale)の街にでかける。

村からチャナッカレへ向かう街道の南側は、すべて新設された巨大な大学のキャンパスになっている。
チャナッカレは海沿いでこじんまりとした港町だが、駐車場が限られており、誰もが道路横の無料スペースに停めてようとする。しかし、ほとんど余裕がなく、我々も空きスペースを求めてしばらく彷徨さまよった。
 駐車スペースには、神業のように車がきっちり嵌め込まれている。
「俺はお前のようにうまく停められないから、ほかの車にぶつけそうだ。ここに住むなら、それが問題かな」
「大丈夫だ、スーパーマーケットの駐車場に停めればいい。誰も文句は言わない」
日本なら、すべて駐車禁止にして有料の大駐車場を作るところだろうが、ここは欧州の街に似て、そうはならない。

信じられない! 前後ともこの間隔!

ドラッグストアで虫よけスプレーと日焼け止めを買ったら、この2点で190 TL(約4000円)も取られた。
「ぼったくりじゃないか。日本なら2つで1000円以下だぞ」
「ほら、見てみろ、どちらも輸入品だ。この国は自国の産業を守るために、輸入品には高い関税を課しているんだ」
1か月使えるトルコ国内用SIMカードは85 TL。

ダーダネルス海峡に面した港には、ボートやヨットがぎっしりと停泊している。対岸のヨーロッパ側半島に渡る定期船も往来する。
日本の海岸線と違って、内海のため、海難の心配は少ない。

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ダーダネルス海峡に面したチャナッカレの港。

釣り人たちも、のんびりと糸を垂れている。
地中海→エーゲ海→マルマラ海→黒海の順に塩分が薄くなり、獲れる魚も徐々に変化していくそうだ。

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ダーダネルスに糸を垂れるおじさんたち。釣れているようには見えなかったね。

海岸近くには、高さ10メートルほどのトロイの木馬(模型)が観光用に設置されている。この町からトロイは車で20分ほどの距離なので、この町が、観光客の拠点になっている。

海岸通りの広場に設置されたトロイの木馬(もちろん、模型です)

地図(↓)をみていただくと、トロイはチャナッカレから南西に20 kmほどの近さであーる。

チャナッカレからトロイの遺跡まではわずか20 km

海の近くはカフェも軒を連ねている。《注意》しなければならないのは、ビールを置いていない店もあること。
イタリアの港町にも似ており、開放的に見えても、やはりイスラム圏。

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海岸から伸びる道の両側はカフェが並ぶ

ここのモスクはミナレット(塔)がひとつだけ。
イスラム圏では公共トイレがなくても、モスクで貸してくれる。その代わり、番をしている人に小銭を渡す。

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モスクのミナレットが見える。定期的に塔の上から「お祈りしろ~よ」と放送が流れる

街中に屋台を出している、丸くお腹の出た爺さんが、どうやら友人Mとは既知の間柄らしく、固くハグし合った後で、トルコ語で話している。いつもここでツマミを買うのだろうね。
この爺さんの屋台にまで、共和国の初代大統領、ムスタファ・ケマル・アタテュルクの肖像写真が掲げられている。これはすごいね! 「マルマラ海沿い街道の旅★2019(5)↓」で教授室の高みに掲げられていることを書いたけれど、ホント、みんなに尊敬されている。

爺さんの屋台で、ピタの上に並べた生ミンチ肉(とMが言ったが、さすがに完全な生ではなさそう;スモークかな?)と野菜が盛られた、トルコ風ファストフードを20 TL(400円)で買う。
私は若い頃からの山歩きで《鉄の胃袋》を持っているので構わないけれど、繊細な内臓の持ち主は警戒するだろうね。

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見事なお腹の屋台オーナー。初代大統領のシルクハット写真に注目!

大型モールの中のスーパーマーケットで、トルコのビールを5種類×各2本と赤ワインを数本買う。ワインも、輸入品は日本より高く、国産はかなり安い。70%の関税をかけており、かつ、通貨安のせいらしい。
地中海沿いのワインは2017年ものがいい、とMが言うので探したが、さすがにスーパーでは見つからなかった。キャバネはどこのものでも間違いが少なく、メローは産地や都市によって味が大きく変わる、とブドウ畑オーナーらしきことも言う。
スーパーで酒・卵・ベーコン・ソーセージ・野菜・果物、といろいろ買って、170 TL(約3400円)。

家に帰り、シャワーを浴びていると、突然お湯が水になり、かつ2階の電灯もすべて消えて暗闇となった。1階からはわずかに光が漏れてくる。頭も体も石鹸をつけたところだったので、暗闇の中、我慢して冷たい水で髪とからだを濯ぐ。
その昔、ドイツの田舎町Hofのユースホステル地下室で、その建物の中にはたった一人しかいない夜、しかも完全な暗闇の中、凍るような冷水でシャワーを浴びた経験のある人間には、なんということもない。やはりヒトは若い頃に厳しい(というほどでもないね)経験をしておくものだ、ウンウン。
洗濯機を使っていたので2階のブレーカーが容量オーバーで落ちたのだった。

時折、ダーダネルス海峡を進む船の灯りが遠く見えるだけのベランダで、白菜のような野菜をちぎり、例の生肉もどきとトマトの切れ端、ピクルスの切れ端をピタに載せて巻いて食べ、ビールとワインを飲む。
加熱していないのはちょっと不気味であるが、同じウラルーアルタイ語族、こちとら高校時代に恵那山でつかまえたサンショウウオを生きたまま呑み込んで消化してしまったことがあるくらいだ、てやんでい、と胃に収める。
2人でビール3本とワインを飲む。

いつだったか、友人Mが、
「もうラマダンは明けたから、飲んでいいんだ」
と食事の時に私とワインを飲もうとしたら、アルジェリアから彼の大学に客員で来ていた女性教授(もちろん、きっちりスカーフ/ヒジャーブを巻いていた)に、
「何言ってるの! 酒は一切ダメだってコーランに書いてあるでしょ!」
に叱られていたことを想い出した。

うーん、そこかな、トルコで住み辛いのは。
レストランやカフェでは、やっぱり生ビール飲みたいし。


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