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トルコはラム肉好きの天国 マルマラ海沿い街道の旅★2019(10)ちょっと脇道

個人的な生活環境の話になってしまいますが、5,6年前まで自宅から歩いて行ける範囲のお店に生のラム肉は置いてありませんでした。
タレにどっぷり漬かった味付け「ジンギスカン」と称する袋入りが、同様の処理をされた牛や豚の「モツ」と並んで置かれるだけという、きわめて不当な扱いを受けていました。
ラムチョップが食べたくなると、車で町ナカの《ちょっとハイソな》スーパーに早めに出かけ、売り切れる前の肉を、なんでこんなに高いんだよ、とブツブツつぶやきつつ、買ってこなくてはなりませんでした。
ごくたまーに、近所の《庶民派スーパー》に生ラム肉が置かれると、必ず買う、その日は魚が食べたかっただろうが何だろうが必ず買う、という《草の根運動》を密かに行い、「生ラム肉を置く」という英断を下した店舗関係者を陰から《応援》し続けました。
悲しいことに、翌日同じスーパーの精肉コーナーを《視察》すると、私が購入した後の状態のまま、昨日売り場に残された哀れなラム(《ちゃん》付けで普段は読んでいますが省きます)たちは、2割引き3割引き、時には5割引きのシールを貼られ、偉ぶった牛肉とガラの悪い豚肉の大群の狭間はざまで、
『私たち、生まれてきて良かったんでしょうか?』
と肩身を狭くしている。
「かわいそうに……大丈夫だよ」
と手を差し伸べようとするが、さすがに同居人に、オイコラ、連チャンはやめろよ、と叱られ、断念する。
……ちょっと話が長いかな。

しかし、《草の根運動》が実ったのか、状況が改善され、近頃では徒歩圏内スーパーAには、生ラムの《肩ロース》がほぼ毎日置かれ、ライバル・スーパーBには、同じく《モモ肉》が置かれるようになりました。
そして、どちらの店にも、ある頻度で《ラムチョップ》即ち《骨付きロース肉》が現れる。
調理法では、パーソナル1番人気は、ひと袋100円ちょいで何回分か使えるシーズニング「ラム肉の香草焼き」(↓)を事前にまぶしておき、魚焼き用レンジで焼くだけ。

これを置いてある店がまた、限られてる! 生ラム肉を置くならこれも置いてくださいよ。

2番人気の「肩ロースの薄切りのトマト煮」もいけますね。

しかし、相変わらず、売り場で幅をきかせているのは牛豚鶏のお笑いトリオであり、ラムちゃんはわずかなスペースに、Aには肩肉、Bにはモモ肉しか置いていない。

牧場で、「肩」だけの羊、「腿」だけの羊は見たことがある人はいるだろうか。
羊クンたちの他の部位はどこに行ったのだろうか?


そこで、トルコを訪問した時、狙いのひとつが、スーパーマーケットの肉売り場を見ることでした。
そうしたら! ジャーン!

スーパーの精肉コーナーで一番ブイブイ言わせているのは羊クンたち。この写真、端から端まで羊肉です。さすがです!

驚くなかれ、これ全部、羊クンたちです。
日本で威張っている「牛肉」より売り場面積が広い。
もちろん、「豚肉」は、影も形もありません。
ありとあらゆる「部位」が並べられています。
さすが、元・遊牧民の国、なにせ、《羊》の月齢などによって、呼び方の単語がいくつもあるそうですから。
例えばモモ肉も、スライスだけでなく、塊も、骨付きを切り株状にカットしたものもあり、多種多様です。トルコ語で書かれているので想像するしかありませんが……。
上の写真を撮ったところで、肉屋の親父に「こら、やめろ」風に叱られたので、詳細の写真は撮れず、残念でした。

ちなみに、同じスーパーの鮮魚売り場はこんな感じで、パックに入っているものはなく、切り身もサーモンのみで、ほとんどが丸売りでした。

スーパーの中にありますが、いわゆる「魚屋さん」のイメージですね。
調理済の切り身はサーモンのみ

羊肉コーナーの間口は、ほぼ、鮮魚コーナー全てのそれに匹敵する。

「日本では、羊肉は臭みがある、とあまり人気がなくてね。生肉が置いていないスーパーも多いんだよ」
トルコで友人に不満をもらすと、
「それは、年をとっていたり、古い肉なんじゃないか? 新鮮なラムに臭みなんかないぜ」
と言う。

これほど羊クンが幅を利かせているのにもかかわらず、トルコのレストランでは牛肉料理しかおいていないところもあり、注意が必要です。
それどころか、田舎のレストランに行くと、例えば、「ドネルケバブ」などと料理名は書いてあるけど牛か羊か書いていない場合があります。
ウェイターに、ラムで頼むよ、と言うと、厨房で確認しに行き、
「ラムはあいにく切れちゃったよ」
なんて言われ、ガックリくる時もあります。

まあ、でも、ラム肉好きにはたまらない国です。

これは、エスキシェヒルを訪れた時に食べた、煮込みラムチョップ(on 野菜)。

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