マガジンのカバー画像

アマゾンプライムお薦めビデオ②(51ー100)

50
アマゾンプライムビデオで公開されている映画を紹介するマガジンの第2弾です。第一弾の「アマゾンプライムお薦め映画①」と併せてご覧ください。
運営しているクリエイター

記事一覧

アマゾンプライムお薦めビデオ② 100:B級であってB級ではない隠れた傑作『必殺!恐竜神父』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 100:B級であってB級ではない隠れた傑作『必殺!恐竜神父』

まさか記念すべき100本目の作品がこれになるとは自分でも思っていなかったが、このような隠れた傑作に出会えることがAmazon プライムビデオの最大の魅力である。

今回紹介したい映画はこちら。タイトルからして「?」となると思うが『必殺!恐竜神父』である。

タイトルとパッケージからご想像のとおり、この映画、いわゆるB級低予算映画である。しかし単なるB級映画ではない。B級を題材というか、いわゆる「ネ

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 99:日本側こそが作るべき映画『金子文子と朴烈』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 99:日本側こそが作るべき映画『金子文子と朴烈』

今回お薦めするアマゾンプライムビデオはこちら、事実をもとに作られた韓国映画『金子文子と朴烈』(「朴烈」はパクヨルと読む)です。

どれだけ多くの日本人がこの二人のことを知っているか。恐らく多くの人は知らないでしょう(というか私も映画館で予告編を見て気になって調べてみて知ったのが最初です)。ちなみにとある映画祭で日本で最初に公開された時のタイトルは『朴烈 植民地からのアナキスト』だったそうですが、日

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 98:「映画」を超えた映画としての『子宮に沈める』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 98:「映画」を超えた映画としての『子宮に沈める』

『子宮に沈める』衝撃的なタイトルだし、事実衝撃的な映画である。衝撃的過ぎてだれにでもお勧めできるというものではないが、今回は敢えてこの映画を取り上げてお勧めしたい。

人は映画を見るとき、理性で見る、あるいは知性で見る。つまり、これは映画だ、これはフィクションだということを分かった上で見る。だからこそ、我々は「映画」というものを楽しめるのである。

しかしこの映画はそれを拒否する。これは許せない、

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 97:ワルい時の渡哲也がここにいる!『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 97:ワルい時の渡哲也がここにいる!『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』

本日お薦めする映画はこちら、藤田敏八監督、渡哲也主演の快作(見ていて気持ちいいという意味での快楽作)『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』です。

この映画、とにかくかっこいい!当時野良猫ロックシリーズを手掛けていた藤田敏八監督が、渡哲也、原田芳雄、梶芽衣子、成田三樹夫、沖雅也といった豪華俳優人たちを使い、最高の娯楽作に仕上げています。この映画の公開は1970年ということで日活としても末期で路線に迷ってい

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 96:キング版とキューブリック版の『シャイニング』の和解?:映画『ドクター・スリープ』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 96:キング版とキューブリック版の『シャイニング』の和解?:映画『ドクター・スリープ』

先日、Dommuneで町山智浩さんと平山夢明さんの解説付きでAmazonウォッチパーティーをやっており、最高だったので、その流れで、続編である『ドクター・スリープ』を見てみました。

キューブリックによる映画版の『シャイニング』を原作者のスティーブン・キングは評価していなかったのは有名な話ですが、確かにあの映画ではタイトルにもなっている超能力としての『シャイニング』はそれほど描かれません。しかしだ

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 95:分かりやすさの拒否としての演劇とドキュメンタリー:映画『演劇1』そして『演劇2』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 95:分かりやすさの拒否としての演劇とドキュメンタリー:映画『演劇1』そして『演劇2』

今回お薦めする映画はこちら。ドキュメンタリー監督想田和弘氏による観察映画の第3弾と第4弾となる『演劇1』と『演劇2』です。二つ合わせると5時間45分になりますが、対象となった平田オリザ氏を描き出すのであれば、これぐらいは必要ということでしょう。

平田氏は演劇人であると同時に教育者でもありますが、教育者としての平田氏は常々「他者の立場に立っての想像力を育成することが今の時代必要。それがコミュニケー

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 94 『ミッドサマー』以来、そしてまた別の衝撃としての『X(エックス)』:これだからホラーはやめられない!

アマゾンプライムお薦めビデオ② 94 『ミッドサマー』以来、そしてまた別の衝撃としての『X(エックス)』:これだからホラーはやめられない!

いやー、凄い! また傑作ホラーを見つけてしまった。
ということで今回ご紹介するのは、続編というか前日譚の『Pearl パール』も公開されたばかりの『X(エックス)』です。

実は『Pearl パール』も劇場で見てきたところなのですが、そちらがもはやホラーでありながらホラーを超えた人間ドラマとしての大傑作であるならば、こちらの『X(エックス)』はホラー映画としての大傑作というか完成形です。おそらく監

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 93 アマプラだからこそ出会える傑作『大阪少女』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 93 アマプラだからこそ出会える傑作『大阪少女』

今回お薦めする映画はこちら、『大阪少女』です。

まあ、この映画、何らかの偶然がなければ、おそらく多くの人は出会うことはないでしょう。と、そういう意味でまさに「見っけもの」の傑作です。

監督の石原貴洋氏のプロフィールを調べてみたところ、「大阪外道 OSAKA VIOLENCE」(2012年)「大阪蛇道 Snake of Violence」(2013年)「大阪少女」(2020年)「大阪闇金」(20

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 92 すべてのクリエーターへの応援にして慰めの映画『ショック・ドゥ・フューチャー』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 92 すべてのクリエーターへの応援にして慰めの映画『ショック・ドゥ・フューチャー』

今回お薦めするアマゾンプライム映画はこちら。80年代初頭のフランスのテクノ・クラブ音楽シーンの芽生えとそこで生き、もがく女性たちを描いた傑作『ショック・ドゥ・フューチャー』です。

https://amzn.to/3tKOEaZ

フレンチ・テクノとして真っ先に思い浮かぶのはやはりダフト・パンクでしょうが、調べてみたところダフト・パンクのデビューは1994と思ったより遅いです。この映画は80年代を

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 91 「分人主義」なんて別にどうでもいい、人間ドラマとしての傑作『ある男』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 91 「分人主義」なんて別にどうでもいい、人間ドラマとしての傑作『ある男』

平野敬一郎氏の作品の映画化としては、『マチネの終わりに』の次、2作品目になるのだろうか。あの『蜜蜂と遠雷』『ARC アーク』の石川慶監督が手掛けた『ある男』は、その映画のとしての完成度の高さから、2022年を代表する日本映画となった。

この映画、映画の手法としてはある意味古いとも言える、古典的な映画の文法に乗っ取った作品である。しかし、だからこそ、今の時代には新しくもあり、斬新でもある。とにかく

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 90 アイドルからクソ野郎へ、草彅剛主演の傑作にして快作『台風家族』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 90 アイドルからクソ野郎へ、草彅剛主演の傑作にして快作『台風家族』

今回お薦めするアマゾンプライムビデオはこちら。草彅剛主演の快作『台風家族』です。

皆さんご存じのように、草彅さんですが、この映画に先立ちSMAPを解散し、ジャニーズ事務所を辞めて独立しています。その独立後に新事務所である「新しい地図」のあいさつ的作品として撮られたのか『クソ野郎と美しき世界』なのですが、その中で一番光っていた作品は、爆笑問題太田光監督、草彅剛主演の「光へ、航る」であったことは間違

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 89 シティームービーの傑作『台北暮色』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 89 シティームービーの傑作『台北暮色』

今回お薦めする映画はこちら。
あの『非情城市』のホウ・シャオシエン監督が制作を務め、氏のアシスタントを務めていたホアン・シー監督の記念すべきデビュー作である『台北暮色』です。

ロードムービーというジャンルがあるのであれば、シティームービーというジャンルがあってもいいだろうとかねがね思っていたのですが、これがまさにその作品です。実はこの映画、当初は『ジョニーは行方不明』というタイトルで映画祭で日本

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 88 到達点にして出発点!園子温監督による傑作『自殺サークル』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 88 到達点にして出発点!園子温監督による傑作『自殺サークル』

なんらかの仕事である程度のキャリアを積んだ人であれば、「ああ、あれが私の到達点にして出発点だった」と思い当たる仕事の一つや二つはあるであろう。

鬼才、園子温監督の場合は、恐らく、これがそうではないだろうか。2002年の作品『自殺サークル』である。『紀子の食卓』『気球サークル その後』『愛のむき出し』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』など、その後の氏の一連の傑作はある意味これの

もっとみる
アマゾンプライムお薦めビデオ② 87 鬼才が撮った正統派ラブサスペンスはやはり鬼才映画だった!パク・チャヌク監督作品『別れる決心』

アマゾンプライムお薦めビデオ② 87 鬼才が撮った正統派ラブサスペンスはやはり鬼才映画だった!パク・チャヌク監督作品『別れる決心』

まあ、なんというか、期待通りにして期待以上、それがこの作品、ご存じ韓国の鬼才パク・チャヌク監督の最新作『別れる決心』です。

パク・チャヌク監督といえば、日本における韓国映画のヒットの幕開けとなった『JSA』こそいわゆる正統派映画でしょうが、その後の復習三部作である『復讐者に憐れみを』、『オールド・ボーイ』、『親切なクムジャさん』、そしてそれに続く『渇き』、『お嬢さん』を見てしまった我々にとっては

もっとみる