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2歳から4歳の子どもが急に独り言を話しているの聞いたことありませんか?

誰もいないはずの部屋で誰かと話している・・・

ウルトラマンだったり、仮面ライダーだったり、妖怪だったり、昆虫だったり、シルバニアファミリーだったり、動物だったり、恐竜だったり・・・

でもこの年齢になると「もの」との対話が自然に生まれるんです。

周りに人がいても気になりません。

永遠に架空の友人と対話しています。

これ、7歳以降では徐々に消えていき、大人になったら(ほぼ)消えます。

特に大人の場合、周りに人がいる場合、モノと対話するというのは特殊な場合を除いて(かなりの確率で)ないと思います(*当社調べ)

ぱっとみかなりヤバそうな感じですが、子どもが話す「架空の友人」は、実は成長過程において非常に重要な役割を果たしているんです。

遊びの効果

子どもの仕事は遊ぶこと、とよく言われているように、子どもにとって遊ぶというのは非常に重要な要素だったりします。

これまで何度も私のnoteで取り上げてきましたが、遊びは感情調節や社会の世渡り能力などの成長を促進すると考えられています。

特に言われていることは

他者と定期的に遊んでいる子どもは

1 相手の視点に立つ能力
2 共感能力
3 自分自身や相手の心の状況についての表現力

に優れるそうです。

つまり、誰かと話すこと(友人、保護者、近所のおじさんおばさん)が子どもが成長する上で大切なんですね。

で、一体誰と話そう??

そうなんです。

2−4歳の子どもが話す相手、ウルトラマンだったり動物人形だったり、リカちゃん人形だったり、「モノ」なんです。

しかもただの「モノ」ではありません。自分の頭の中にいる架空の友人が「モノ」に憑依しているです。

タブレットよりも「人形」

カーディフ大学の研究者らがfNIRS(機能的近赤外分光分析法)という装置を用いて、子どもの血流(正確にはヘモグロビンの濃度)の変化を観測研究しました。

fNIRSの設置場所

何をしたかというと、

タブレット1人で遊ぶ
人形で1人で遊ぶ

タブレットで複数人で遊ぶ
人形で複数人で遊ぶ

という条件を比較してみたところ、

〇複数人で遊ぶ場合、人形・タブレットともに右前頭前を活性化

〇1人で人形を使った遊びは後側上側頭溝(カラフルなところ)を活性化させたが、1人でタブレットでは活性化しない

このことから何が分かるかというと、複数人で遊ぶ場合は様々な神経領域を活用するのだけれども、子どもが一人で人形で遊ぶ場合も同様な活性化パターンが生まれる。

つまり、子どもは人形を通じて他の人との会話のシュミレーションをしているんですね。

結構深い話になるんですが、この上側頭溝というミゾが様々な面でめちゃくちゃ重要な箇所だと分かるようになってきています。(語彙力のなさよ)。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26208834/

たとえば、ある研究者がまとめた研究報告によると、この上側頭溝(Superior Temporal Sulcus)は

相手の気持ちを理解する (Theory of mind)
生体運動の知覚 (Biological motion)
表情認識 
音声認識
言語認識

などのインターフェースとして機能すると紹介されています。

つまりですね、

ウルトラマンなどの人形に憑依した架空の友達を話している子どもは、これらの機能をフルマックス活用しているわけです。タブレットでは活性化しないんですよ。

だから、誰もいない部屋で一人人形に話しかけている子どもを危ないと思ったあなた!

人形遊びは、共感などの社会的情動の発達に重要な社会的相互作用を練習するユニークな機会なんですよ。

子どもが人形と話すのは、リアル社会での会話を練習しているんですね。

そ、自主練っす。

2-3歳になると語彙のインプットが脳内にあふれかえり、それを使いたくて使いたくてしょうがない。それが、架空の友人との対話になるんですね。

これからの時代、ICTスキルも間違いなく大切なスキルになってきます。しかし、それより先に、子供たちがこの複雑な社会で生きるための基礎体力としてソーシャルスキルを身につけて欲しいですね。

なんか、人形、アナログですがけっこうイケているみたいです。

ぜひ、お試しあれ。

教育現場への応用として

今回は、人形遊びを通じて子どもたちはソーシャルスキルの練習をしているという話をしました。あまり子どもの独り言には焦点をあてなかったんですけど、こっちもこっちで重要なので別の機会に書きますね。

で、人形遊びがどう教育現場に影響するかって?

これです。

「ごっこ遊び(または、おままごと)」、つまり現実社会のシュミレーションを通じて子供たちは相手の気持ちを理解したり、適切な言葉の使い方を学ぶ

んですね。

つまり、言語活動(特に英語)の授業には

実際に現実を模倣した状況でアウトプットする機会

が必要なんです

日本の英語教育はあまりにもインプットに偏っています。(or いました)

ま、ライティングとかもありますけど、現実を模倣したシュミレーションになっていないですよね。

最近は英語教育の場でCLILという教育手法が注目されています。

CLILの主な特徴は、学習内容(content)の理解に重きを置き、学習者の思考や学習スキル(cognition)に焦点を当て、学習者のコミュニケーション能力(communication)の育成や、学習者の文化(culture)あるいは相互文化(Interculture)の意識を高める点にあると言えるでしょう。

https://www.j-clil.com/clil

脳科学の理論的にはこちらを参照して下さい。東北大学医学系大学院でお世話になっている先生のご研究です。

で、難しい話はともかくい、学校でも家庭でもどうすれば英語アウトプットの機会を作り出せるかについて、2つ提案があります。

1 知育菓子を使う


例えば、こんな知育菓子を活用して英語でお店屋さんごっこは盛り上がりそうですね。

https://www.kracie.co.jp/foods/okashi/chiiku/

2 ICTを使う

保護者の方や友達と英語の発音を楽しく練習するにはこれ!

全世界4000万人以上に愛用され、世界で最も精度の高いフィードバックをしてくれます。

明日なんですが、関西大学初等部の先生がどのようにELSAを授業に組み込んでいるのか紹介して下さいます!

他にもいろいろあると思いますので、ぜひ皆さんの取り組みをご紹介下さい!

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